ホームスキルアップ看護師対象 研修会・セミナー開催報告 2023年度プライマリ・ケア看護学ワークショップ夏<必須領域編>in 福岡

スキルアップ

看護師対象 研修会・セミナー

開催報告 2023年度プライマリ・ケア看護学ワークショップ夏<必須領域編>in 福岡

2023年6月10.11日にプライマリ・ケア看護学ワークショップが福岡市で開催されました。
12名の方が参加され、和やかな雰囲気の中で学びを深めることができました。

参加者からは、「少人数でグループワークなどあってとても話しやすくわかりやすかった」
「具体的な内容で、日々の診療をおもいながら考えることができた」
「対面での研修はプライマリ・ケアの仲間をみつけることができてよかった」
「選択領域についての研修会にも参加したい」などの感想をいただきました。

【慢性疾患管理 慢性心不全】 6月10日(土)14:00~17:00

  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-545-1.jpg
    慢性疾患管理 講義の様子
  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-545-2.jpg
    慢性疾患管理 心音聴取の練習

水川真理子先生(神戸市看護大学 慢性疾患看護専門看護師)より慢性心不全患者への看護について学びました。

我が国の心不全の患者数は増加傾向で、再入院率が高く、増悪を繰り返される方が多い特徴があります。
高齢の複数の疾患をお持ちの患者さんに対して、心不全の可能性があることを考えてケアを行う必要があると感じました。
 
看護師が問診する際には、患者さんの何気ない言葉のなかの心不全症状を受け止めることが大切で、そのためには病態生理をおさえておくことが必須であると学びました。
持参した聴診器で自分の心音を実際に聞き、異常な心音も講義のなかで聞くことができました。日ごろの観察で、聴診器で心音や胸の音を聞いている受講生は多くありませんでした。
今後は積極的に患者さんの観察に活用していきたいと思います。

また、心不全の発症後の悪化を予防するために、自宅で過ごされる際の療養支援や心臓リハビリが大切と学び、その具体的な内容も興味深いものでした。概論の講義後の具体的な事例を踏まえてのグループワークでは、実際のケアのイメージをさらに明確にできました。
講義では、臓器の解剖生理等の基本的理解が前提で進められますので、今後受講される方は事前に自己学習及び復習する必要があると思いました。

【家族志向のケア】 6月11日(日)9:00~12:00

  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-545-4.jpg
    家族志向のケア 講義の様子
森山美知子先生(広島大学大学院医系化学研究科教授)より家族志向のケアについて学びました。

プライマリ・ケア看護師は、患者さんだけではなく家族もあわせてケアをすることも求められます。
疾患の経過に家族の状況が大きく影響されるからです。
家族のケアを行うための家族看護理論を学びました。

家族に何が起こっているのかを見ていくのにジェノグラム(家族図)を用いていくと、とても分かりやすく、家族の関係が一目瞭然でわかります。
多くの看護師が家族関係を示す図を描いたことはあると思いますが、今回、統一した標記についても説明があり、職場で他のスタッフとともに使用していこうと思いました。

また、「家族は組織」であり、親と子供は友達ではなく境界があり、それらを意識することが家族としての機能をより円滑に導いていくことも学びました。加えて、家族の歴史の中には、その時期に解決することが望ましい課題があって、それを念頭に置いておくことも看護師が家族に何が起きているのかを考えるときに役に立つものであるということも学びました。
家族員はそれぞれビリーフ(信念、考え方やものの見方)がちがって、それを看護師がいかに把握できるということが家族支援において大きなポイントとなると感じました。
家族志向の講義を職場の看護職や医師が同時に聞いて、概念を統一したうえで日々の業務に携わることができるとスタッフ間の問題共有もさらに円滑に進むのではないかと思いました。

ロールプレイにおいては、「早い時点で家族のいいところを見つけてほめる」ことが大切と言われていて、家族の方との信頼関係を築けて今後の支援が円滑に進むためにも忘れてはいけない視点であると痛感しました。

【トリアージ 臨床推論】 6月11日(日)13:00~15:00

  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-545-7.jpg
    臨床推論 グループワークの様子
  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-545-8.jpg
後藤智美先生(東京ほくと医療生活協同組合:生協浮間診療所 診療看護師)よりトリアージ/臨床推論について学びました。

臨床現場で活動していると、災害トリアージとはちがう、プライマリ・ケアの現場での判断、トリアージが必要になります。振り返ると「本当にあの時の判断は適切だっただろうか」と思うことも少なくありません。
そのような中、今回の学びはとても役に立つものでした。

判断の基盤となる臨床推論の講義も印象深く、グループワークでは、様々な可能性を念頭に置きながらの情報収集とアセスメントを行うことを学びました。事例の情報から段階を追って何が起こっているかを評価をしたうえで、患者さんが、どのような疾患・病態が予測されるか、否定しがたい疾患があるかどうか、追加でどのような情報が必要かなどを検討しました。
講義の内容は、実際現場で展開しているイメージをつけやすく理解の助けとなりました。
まず、直観的に浮かんだ推論も大切で、それに医学的な根拠や情報収集、アセスメントを加えた分析的な推論をする力をつけていき、この二つをバランスよく行っていきたいと思いました。
現場で学んだ内容を伝達し共有してチームで同じ視点で取り組むことができるように展開していきたいと思います。

【事例の書き方】 6月11日(日)15:00~16:00

水川真理子先生(神戸市看護大学 慢性疾患看護専門看護師)より事例の書き方(慢性疾患管理)について学びました。

今回のワークショップに参加する動機として、学会認定看護師を目指している方が多く、参加者の多くが緊張感を持ってこの講義に臨んでいました。
ルーブリックに基づいてどのような内容を書いていくといいのかという丁寧な説明を受けました。
今まで、看護師として科学的な根拠に基づいて患者さんに様々な看護サービスを提供してきましたが、
事例を書くことで、さらに支援の内容が明確に整理され、自分の成長に繋がるだけでなく、同じチームで働く仲間たちにも還元できるのではないかと思いました。それがひいては患者さんのためにもなるのではないかと思います。
認定を目指して事例を書くことに挑戦してみたいと意欲が高まる内容でした。
看護学ワークショップは対面講座の他に、WEB講座も実施されています。
多くの皆様の参加をお待ちしております。

最新の研修の案内はこちらをご参照ください。
https://www.primarycare-japan.com/assoc/seminar/sm_index_n/

看護師部会 教育研修運営部門 田中千恵美

最終更新:2023年10月11日 13時13分

看護師部会 広報活動支援部門

記事の投稿者

看護師部会 広報活動支援部門

タイトルとURLをコピーする