ホームニュース「やく THE いし ~徒然なるままに~」2023『第35回学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー』のMTEに参加して 2

ニュース

「やく THE いし ~徒然なるままに~」

2023『第35回学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー』のMTEに参加して 2

2023『第35回学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー』が、2023年08月12日(土) から2023年08月14日(月)の間の日程で、今年はクロス・ウェーブ府中(東京都)での現地会場を復活させてのハイブリッド形式で行われました。
2日目のMTE(Meet The Experts)に参加されたもうお一人、富山弘野先生(せわのわ在宅支援&健康薬局)に、感想や質問されたこと等についてお聞きしました。

「第35回学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー」のMTEに参加して

第35回学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー(通称:夏セミ)のMeet The Experts(MTE)に講師として参加させて頂きました。
早い段階からプライマリ・ケアに触れ、見聞を広め、長い関係性を築くきっかけとなるこの企画への参加を、私自身も楽しみにしておりました。そして当日は、医学生、研修医、鍼灸師、就職の決まった薬学生、既に就職した薬剤師と計8名ほどの、普段はあまりお話をする機会のない方々ともお話することができ、とても有意義でした。実際は以下の様なご質問を元にお話をさせて頂きました。

色々と質問いただきました!

Q「プライマリ・ケアを学び始めたきっかけはなんですか?」
A)私がプライマリ・ケアを学び始めたきっかけは「幅広く、総合的な学びを深め、常にアップデートしていくことで、薬剤師としての引き出しを増やし、少しでも人の役に立ちたい」と考えたからでした。
「 私が大学病院に勤務していた頃は、入院患者さんの生活スペースはカーテンで区切られた空間だけでした。病気が少しでも良くなるためには、たくさんの‘その方らしさ’が失われた生活でも仕方がない、それどころではないという雰囲気を感じていました。そのため、退院すれば、心身共に解放された明るい未来が待ってくれているのだろうと思っていました。
しかし調剤薬局に勤務してみると、退院後の生活の中で、患者さんやその周りにいる方々が治療と向き合うことの難しさを知りました。薬局のカウンターで、日常生活に根差した問題や疑問について直接ご相談頂く機会が増え、限られた時間でそれらを解決する難しさと重要性を実感しただけでなく、日頃から健康を維持することも大切だと思うようになりました。
もちろん、ただただ思いを聞くことが大切な場合もたくさんあります。
しかし、状況・段階・対象によっては、検討をつけながら傾聴し、思いを汲み取り、タイミングを見て適切な何かに繋げること。もし自分の力が及ばないのであれば、多職種にも相談し、連携の輪を作り、少しでも良いこれからに繋げること。そして、長きに渡り、いつでも何でも相談したくなる薬剤師になること。これらを強く意識するようになり、実現するための学びの場を探し始めたところ、ほどなくしてプライマリ・ケアの5つの理念、そしてプライマリ・ケア認定薬剤師の存在を知り、学び始めました。」

Q「プライマリ・ケアについて学ぶことは、どの様なことに役立ちますか?」
A)プライマリ・ケアの5つの理念(近接性、協調性、包括性、継続性、責任性)を元に学び続けることは、薬剤師が本来の役割を担うために非常に意味があることだと感じています。日常業務の中で、患者さんの役に立ちたい、問題の解決の糸口を見つけたい、より高みを目指したいと思った時に、研修会やセミナー、学術大会などで得られた多方面からの学びを総合的に活用していくことで、よりきめ細やかなケアの提供に繋がると実感しています。
「これまで、‘より良く生き、より良い終わりを迎えるために何ができるか?’ということを考えながら取り組んできました。しかし経験を積むにつれ、‘より良い’という言葉の意味さえ分からなくなってしまうことがあります。しかしプライマリ・ケアの学びの場に参加することで、正解がないが故に迷ってしまう時でも、相談できる仲間に会うことができたり、ヒントを得ることができるので、学びの場は私の心の拠り所です。」

Q「患者さんとコミュニケーションが上手くとれるようにするには、どうすればよいですか?」
Q「先輩の医師とは違い、研修医という立場では、患者さんと話しが上手く進まない時があり、困ってしまうことがあります。何かアドバイスはありますか?」
「私自身が元々極度な人見知りであることもあり、薬学部での病院実習時に患者さんとコミュニケーションがうまくとれず、本気で悩み、身動きが取れなかった時のことを思い出しました。結局、実習で一番ハードルが高かったのはコミュニケーションでした。しかしその後、病院勤務の時には入院患者さんのベッドサイドにあるお写真、本や手紙など、調剤薬局勤務になってからは外来患者さんのバックについているキーホルダーや服装、待合室でのご様子など、些細なことをきっかけに少しずつ自分から話しかけるようになり、今では人見知りであることを周囲から驚かれるまでになりました。また薬学実習生や新人さんと一緒に居る時には、患者さんとの輪に積極的に入れながらお話することを心掛けています。」

 Q「多職種と関わる時に、気を付けていることはどの様なことですか?」
「上記の様な背景を持つ私ですので、プライマリ・ケアを学ぶ場での多職種の方々との関わりに、初めはとても緊張していました。しかしこの自然と多職種と関わる、共に学ぶ経験により、それぞれの職種の力を持ち寄り、患者さんやその周りにいる方々を中心とした輪を作っていく具体的な方法を考えるようになりました。
その結果、日常業務における多職種連携の際には‘それぞれの立場からの見え方を尊重しつつ、薬剤師として何を持ち寄ることができるか?’を意識して、必要な時にはいつでも対応できるように準備することを目標にしています。そしてこれからも多職種で学ぶ場に参加し‘多職種の立場、見方、考え方を知る’努力を続けたいと思っています。」

参加後に改めて感じたこと

私自身がプライマリ・ケアの理念に強く共感し、認定薬剤師を習得したいと強く思い学び始めた頃のことを、改めて鮮明に思い出しました。
習得後も学びは続き、研修会やセミナー、学会は楽しみに参加しておりますが、今回はまた違う、とても素晴らしい機会を頂いたことを感謝しております。
また若い時から、志を高く持ち、現実的に行動に移している皆さんとお話をさせて頂き、‘これからの医療・介護の未来が、もっと素敵なものになるのではないかな、なるといいな’と感じています。順風満帆、きれいごとばかりではいかないかもしれません。でも、命に関わる職種として、真剣にこれからを考えている皆さんの存在は、既に現場に出ている薬剤師として、とても心強い味方の様に感じました。

最後になりましたが、この様な機会を作って下さいました先生方、本当にありがとうございました。

最終更新:2023年10月30日 00時00分

プライマリ・ケア薬剤師認定制度委員会

記事の投稿者

プライマリ・ケア薬剤師認定制度委員会

タイトルとURLをコピーする