ホームニュース災害医療日本プライマリ・ケア連合学会によるPCAT (Primary care assistance team) 導入研修パイロット版を開催

ニュース

災害医療

日本プライマリ・ケア連合学会によるPCAT (Primary care assistance team) 導入研修パイロット版を開催

  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-764-1.png
2024年2月17日(土)、2月18日(日)の2日間にわたり、日本プライマリ・ケア連合学会はプライマリ・ケアを介して大規模災害発生時の災害の影響を受けた地域の健康に貢献する災害支援活動組織PCAT(Primary care assistance team)の導入研修パイロット版を開催いたしました。
本研修には、学会理事や部会代表11名、災害医療システム委員会委員10名、学会事務2名に加え、講師・オブザーバーとしてDMAT(Disaster Medical Assistance Team)、DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team)、日本赤十字社、DWAT(災害派遣福祉チーム)、TMAT(徳洲会災害医療救援隊)、防衛省、避難所等ラピッドアセスメントシステム開発チームから7名の専門家にご参加いただき、計30名が集いました。

災害の影響を受けた地域ではプライマリ・ケアのニーズが極めて高い

日本プライマリ・ケア連合学会は、地域におけるプライマリ・ケアの実践を支援する学術団体であり、近接性・包括性・協調性・継続性・責任性 (ACCCA) をプライマリ・ケアの原則として重視しています。プライマリ・ケアを担う医療者にとって、災害医療は常に何らかの形で巻き込まれる/関わる可能性のある非常事態であり、特に救急対応が優先される超急性期~急性期以降、すなわち亜急性期から慢性期にかけての地域ケアの一環として、災害医療における役割を担う必要があります。
災害の影響を受けた地域ではプライマリ・ケアのニーズが極めて高く、住民の生活を支えるためには、公衆衛生の視点をもって介護・福祉領域さらには行政との連携が極めて重要です。多職種連携を得意とするプライマリ・ケアを担う医療者がもっともその力を発揮できると考えられます。東日本大震災後の災害の影響を受けた地域においても、医療機関・行政・住民からの要望は専門領域にとらわれないプライマリ・ケアのニーズがあり、震災後の復興にはプライマリ・ケアを提供できる医師の養成こそ重要との世論が形成されました。
日本プライマリ・ケア連合学会は、2011年3月の東日本大震災時にPCAT (当時はPrimary Care for All Team) を発動し、2013年度に「プライマリ・ケア災害研修委員会」を発足、2016年度に「災害医療システム委員会」に改称しました。同年6月の熊本地震ではPCAT2016を発動し、2011年の寄付金残金で活動しましたが、PCATとしての資金留保はなくなり、一時委員会としては教育啓発活動・防災をメインにして災害支援よりも受援能力向上を活動の中心に変更していました。2019年度より学会としての災害支援は継続する方針に転換し、PCAT (Primary care assistance team) として2022年度に本格的に組織化する方針として活動方針提案が承認されました。2023年度には災害支援活動に関する規則案・細則策定が承認され、PCAT登録者導入研修のパイロット研修が開催されるに至りました。

導入研修を受講した学会員をPCAT登録者とした支援活動組織として構築

新たに準備する導入研修を受講した学会員をPCAT登録者とした支援活動組織として構築し、気候変動や高確率で発生が予測されている南海トラフ地震や首都直下地震等の将来起こりうる災害に際して、プライマリ・ケアのニーズにこたえ被災地域の健康に貢献すべく、活動に向けた準備に取り組んでまいります。
今回のパイロット研修では、災害医療の基礎知識や災害時のコミュニケーション、指示命令系統、精神保健、各種災害医療チームの役割、災害診療記録、クラスターアプローチ、スフィア基準、避難所環境整備など多岐にわたる内容について、講義と演習を通して学びを深めました。
今後は、オブザーバーや理事のフィードバックをもとに、導入研修や技能維持研修をはじめとする体制整備を進めてまいります。引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

最終更新:2024年04月04日 15時04分

災害医療システム委員会

記事の投稿者

災害医療システム委員会

災害時のプライマリ・ケアの維持とプライマリ・ヘルスの維持と向上を目指して、学会としてできる取り組みを見出し、形にすることを目的とした委員会です。

タイトルとURLをコピーする