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Current topics - プライマリ・ケア実践誌

健康と社会を考える/酔っ払いのおじさんと青白い女の子/医学教育では出会いにくい「社会構造と健康・疾病との関係」の事例

はじめに

医学生の卒業時の到達目標を示す「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に、「社会構造と健康・疾病との関係(健康の社会的決定要因:SDH)を概説できる」という学修目標が明記されたのは、平成 28(2016)年度改訂版(2017 年 3 月)である 1)。
現在(2022 年度)の医学部 6 年生は、SDH を医学教育で学びはじめた最初の学年ということになる。本稿ではその医学部 6 年生である筆者(中島:以下、私)のある経験をもとに、既存の医学教育のカリキュラムでは事例として参照されることの少ない「社会構造と健康・疾病との関係」の現実に医学生が出会ったときに何を学べるか、どういう困難に直面するのか、どういう感情の揺らぎが生じるのか、そのストレスにどのような対処ができるのか?をまとめ、考察してみたい。

出会い

2022 年の 5 月の夜、ある酔っ払いのおじさんの帰宅を手伝った。酔っ払いのおじさん、という表現は医学を学ぶ者として不適切な表現かもしれない。医学的には酩酊した中年男性、だろうか。
しかし当時の私にとって、彼は「酔っ払いのおじさん」であるからそう表現させていただきたい。
その経緯と私が感じたこと、そして考えさせられたことをここに記す。

事の発端は、大学の近くを深夜に同じ学部の友人と歩いていたときに起こった。ガシャン、と背後で音がして振り向くと、30 m 先で人が自転車から落ちたようだった。駆け寄ると、おじさんが道路の真ん中で呻いていた。「大丈夫ですか?」、「道の真ん中は危ないですよ」と道の脇に座らせた。
タバコとアルコールの臭いがし、会話が通じないほどに酩酊していた。「シンショウシャなんです」とおじさんは繰り返したが、どこが不自由なのか聞いてもよくわからない。「これで家族に電話をかけてくれ」と携帯電話を差し出された。

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最終更新:2026年11月06日 00時00分

実践誌編集委員会

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