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理事長 草場先生の部屋
総合診療専門医制度の近況
日本プライマリ・ケア連合学会は日本専門医機構が運営する総合診療専門医制度の運営の一翼を担っています。具体的にはこの制度の運用を担う総合診療専門医検討委員会に私草場と吉田伸理事が参加し、その下部組織である総合診療あり方検討ワーキンググループに私草場が参加し、研修医・専攻医支援部会の部会長に吉田理事が就任しています。更に、各委員会や部会には学会の会員も多く参加しています。
2018年からスタートした総合診療専門医プログラムはすでに7年目を迎えましたが、運営を進めるにつれ様々な課題が見えてきました。残念ながら研修を開始する専攻医数は300名程度と伸びは鈍く、医学生・研修医に対する広報がまだ不足しています。また、すでに最初に認定された総合診療専門医には5年後の資格更新の時期が近づきつつあり、更新要件に必要な学習コンテンツの作成と要件の詳細な規定の策定も必要です。また、必修の内科研修の期間が6ヶ月に短縮されましたので、それに応じて多様な研修が展開されているかを見守る必要もありますし、内科や救急科とのダブルボードを希望する専攻医の研修実態の把握と資格更新のあり方も今後の課題となります。
そして、現在、指導医のほとんどが特任指導医ですが、制度の成熟につれて正規の指導医、つまり総合診療専門医資格を持つ指導医に移行することが必要となります。ただ、まだ十分な教育経験を持つ新卒の総合診療専門医は少なく、試験を受けて総合診療専門医へ移行する特任指導医も多くはありません。制度開始前から総合診療に携わるベテラン医師と総合診療専門医資格の関係も今後の検討課題となるでしょう。そして、総合診療専門医と対になる総合診療科の標榜というテーマも大きな宿題として残っている状況です。
このように、まだまだ課題山積の総合診療専門医制度ですが、学会としては引き続き制度運営と改革に主体的に取り組んでいく所存です。会員の皆様もぜひ関心を持って見守って頂ければと思います。
草場鉄周
草場鉄周
最終更新:2024年11月05日 14時20分