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【移行期医療】成人移行支援を推進するための提言(日本小児科学会)の御紹介

当委員会は、プライマリ・ケアにおける、小児期発症慢性疾患を持つ子どもたちの成人移行支援を重要な課題と考えています。2022年11月、日本小児科学会から「小児期発症慢性疾患を有する患者の成人移行支援を推進するための提言」が発表されており、御紹介します。

小児期発症慢性疾患を有する患者の成人移行支援を推進するための提言
日本小児科学会(2022)
http://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=144

移行期医療と成人移行支援

移行期医療とは「小児期発症の慢性疾患を持つ患者が小児を対象としたヘルスケアから成人を対象とするヘルスケアへ切れ目なく移る計画的、継続的、包括的な患者中心のプロセス」です。
本提言では、トランジションの支援である「成人移行支援」という概念も提唱されています。これは「小児期発症の慢性疾患を持つ患者が成人期を迎えるにあたり、本来の持てる能力や機能を最大限に発揮でき、その人らしい生活を送れることを目的とした支援」で、医療だけでなく健康・福祉という広い視点から提供されるものです。成人移行支援を推進するための基本姿勢(自己決定権の尊重、医療連携、多職種によるチーム支援、制度等の理解)、生涯を見据えた包括的支援(自律・自立支援、移行準備、保護者への支援、医療の継続、性及び妊娠・出産に関する支援、社会参加への支援)、さらに、転科支援や体制整備に関して説明されています。

是非、御参照ください。
トランジション(移行)は「小児期発症の慢性疾患を持つ患者が小児を対象としたヘルスケアから成人を対象とするヘルスケアへ切れ目なく移る計画的、継続的、包括的な患者中心のプロセス」を意味し、白い横矢印で示した 1.患者自身の自律・自立、2.診療スタイルの移行、3.診療体制の移行が柱となる。
成人移行支援はトランジションのための支援で、適切で必要な医療を切れ目なく提供することやその人らしい生活を送れることを目的とし、自律・自立支援、転科支援や併診などによる診療体制の整備が含まれる。自律・自立支援には、自己管理・自己決定・ヘルスリテラシー獲得のための支援や、就学・就労支援が含まれる。(図・説明とも「小児期発症慢性疾患を有する患者の成人移行支援を推進するための提言」から引用)

  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-461-1.jpg
    成人移行支援の概念図

具体例で学ぶ

なお、支援の具体例は、大阪府移行期医療支援センターが公開している「大阪版移行期医療・自律自立支援マニュアル」に詳しく、参考文献として、あわせて御紹介します。疾患別症例集も公開されています。お子さんや保護者さんと関わる上でのヒントが見つかると思います。

大阪版移行期医療・自律自立支援マニュアル
大阪府移行期医療支援センター
(Vol.1: 2021公開, Vol.2: 2022更新:2023/7最終閲覧)
https://ikoukishien.com/jiritumanual



(文責:日本プライマリ・ケア連合学会 小児・思春期医療保健委員会 杉山)

最終更新:2023年07月07日 22時44分

小児・思春期医療保健委員会

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小児・思春期医療保健委員会

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