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【地域で活躍する看護師紹介⑥】楓庵訪問看護・リハビリステーション サテライト宝塚・伊丹 松根明日香さん 編

プライマリ・ケア領域で活躍する看護師を知っていますか?
シリーズでお伝えする【地域で活躍する看護師紹介】。

今回は、阪神間にある「楓庵訪問看護・リハビリステーション サテライト宝塚・伊丹」で勤務している 松根明日香さん の活動を紹介します。
松根さんには、Q&Aに答える形で、ご自身の活動などについてお話を聞かせていただきました。

Q.どのようなプライマリ・ケアの場で働いていますか?

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    訪問に向かう様子
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    サテライト伊丹の内観
兵庫県、阪神間の伊丹市と宝塚市にある、楓庵訪問看護・リハビリステーション サテライト伊丹とサテライト宝塚で働いています。
サテライト宝塚は開設して10年、サテライト伊丹は2022年の4月に開設しました。

伊丹市・宝塚市・川西市・西宮市・尼崎市の利用者様のご自宅やグループホーム、こども園、高齢者住宅などに訪問しています。

訪問看護師の業務と特徴について

訪問看護師の業務には、主に医療的ケアと生活支援があります。

医療的ケアでは、お薬・点滴・吸引・人工呼吸器の管理・インスリン注射・傷の手当て・チューブの管理・胃ろうの注入などをおこなっています。
生活支援では、入浴介助や身体を拭く、髪を洗うといった清潔に関すること、食事の介助や栄養の管理、水分補給といった飲食に関すること、オムツ交換やトイレに行くことの支援といった排泄に関することが主です。
その他には、病院から退院するときのご自宅の環境を整えたり、ご自宅で最期を過ごしたいといった場合に、利用者様のご自宅に行って看護を提供することが訪問看護師の仕事です。

訪問看護師の業務の特徴として、他事業所の他職種との連携が欠かせないという点があります。
自分の働いている場所だけでなく、外部の人と協力して働くときには、高い人間性が求められます。
礼節や、専門職として分かりやすく自分の意見を伝えることができるか、病院やクリニックの医師または看護師に利用者様の正しい状況を伝え、必要な指示を受けることができるか、ということも評価されます。

私の仕事について

今は、訪問看護課の課長という立場で、2つの事業所を兼務しています。
主に、事業所の運営や人材育成に携わっているため、訪問看護を実践することが少なくなりました。
これからは、スタッフ1人1人またはチームが質の高い看護を提供できるように働くことが多くなります。
利用者様と直接関わることが減ることは少し寂しく感じますが、その分、客観的な視点や広い視野で訪問看護師の仕事を見つめることができると思っています。

Q.プライマリ・ケア領域で働く魅力(やりがい)はなんですか?

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    訪問時の様子
訪問看護師の仕事は、一対一で、1人の方に対して約60分とゆっくりと関わることができるのが魅力です。
そのため、利用者様やご家族の価値観や特性も理解しやすく、ささいな変化にも気付くことができます。
また、一定水準以上の看護を提供できれば、利用者様の満足度も高く、良好な関係を築きやすいと感じます。

そして、訪問看護師の仕事は、看護師の質がサービスの質に直結すると感じています。
そのために一人一人の研鑽が不可欠である反面、自分の展開する看護がうまくいった時はとてもモチベーションが上がります。
自分が頑張れば利用者様も変わる、そうしたらもっと勉強したい、経験を積みたいといった意識になり、それをまた周りの仲間と共有することで、事業所全体の質も上がります。

難しいケースを担当して

そうは言っても難しいケースを担当することもあります。

つい先日ですが、雑誌のコラムで、「看護師とは何をする人か」という問いに、石垣靖子さんが、「看護師は常に隙間を埋める人」とお答えになっていて感銘を受けました。
私たちが日々やっていることの中に、医療者と非医療者の意識のギャップを埋めることがあります。
ここがうまくいかないとトラブルになりやすく、お家に迎え入れてもらえなかったり、最悪の場合は、看護師が危険な目に合うこともありますので、とても神経を使います。
また、利用者様への医療やケアが切れてしまうことと、看護師の負担との間で葛藤や焦りが生じます。

訪問看護師として経験を積んだおかげで、今では、自分にできる範囲で、できることからやる!という対応が取れるようになってきました。
自分の家に来る人が安全な人かどうか見極めたいという気持ちは、利用者様の誰しもがあると思います。
難しいと感じたケースも、看護師が来ることが嫌なのではなく、不安な気持ちを看護師にぶつけるという形で表出しているのだと考えることができました。

また、事務所に帰れば、話を聞いてくれる上司や仲間がいるということも支えになっています。
難しい時期を乗り越えて、利用者様やご家族の笑顔が見れたときの感動は、ひと言では言い表せません。
しかし、安全の優先順位は下げることはできないので、限界は知っておく、引くべきところは引く、という覚悟は持っています。

Q.プライマリ・ケア領域で働く看護職や働こうと考えている仲間へのメッセージ

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    サテライト伊丹スタッフと
プライマリ・ケアの領域で働きはじめて、「看護師にはもっと出来ることがあるんじゃないか」と考えるようになりました。
病院という決められた業務と違い、在宅で毎日を支えるということは、創造的で独創的な看護を求められます。

例えば、訪問看護師のやりがいを感じる業務の中に、「看取り」がよく挙げられます。
看取りの看護はタイミングが難しく、介入方法もルーティンのようなものは存在しません。
看護師1人1人が、利用者様の価値観に合わせて、家族の様子を観察しながら進めていきます。

私は、看取りの看護は、ご家族や本人が具体的に死を意識したときから始まると考えていて、その瞬間を感じ取れるようにアンテナを張っています。
その瞬間、怖くなったり、怒りが込み上げてきたり、悲しくて涙が出たり、様々な感情が押し寄せて来るので、そのときの関わりが1番大切だと考えています。
どんな言葉を選んで伝えたらよいのか、そこに明確な答えはありませんが、こういった瞬間にきちんと向き合うことが自分の看護なのだと思います。

このように、「これが自分の看護です」というものを見つけられるのが、プライマリ・ケアの領域です。
皆さん、楽しいプライマリ・ケアの世界にへぜひ飛び込んでみてくださいね!

編集後記

今回は、日本プライマリ・ケア連合学会認定看護師の資格をお持ちの松根さんに、プライマリ・ケア領域で働く看護の魅力を教えていただきました。

「ナースのお仕事」では、素敵な看護師の活動を引き続き紹介していきたいと思います。

あなたもぜひプライマリ・ケア領域の看護師の仲間になりませんか?
お待ちしています!

最終更新:2024年01月10日 19時05分

看護師部会 広報活動支援部門

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