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【地域で活躍する看護師紹介⑧】三次市国民健康保険作木診療所 藤倉絵理香さん 編

プライマリ・ケア領域で活躍する看護師を知っていますか?シリーズでお伝えする【地域で活躍する看護師紹介】。

今回は、広島県北部の三次市作木町にある「三次市国民健康保険作木診療所」で勤務している藤倉絵理香さんの活動を紹介します。
藤倉さんには、Q&Aに答える形で、看護師の仕事内容やご自身の活動などについてお話を聞かせていただきました。

Q1 どのようなプライマリケアの現場で働いていますか? 仕事内容を教えてください

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    作木診療所
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    待合室の様子
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    診療所前の江の川
広島県北部の三次市作木町という山間部の人口約1200人の地域に位置する三次市直営の国民健康保健診療所(無床診療所)に勤務しています。
同じ敷地内に保健センターと、管理者は違いますがデイサービスがあります。

診療所の前には中国地方最大の江の川が流れており、診療所の向かい側は島根県になります。
この地域は年間約40~50人の方が亡くなり新しく誕生する赤ちゃんは年間数人(令和5年度は0人)と高齢化率が進んでいる地域です(高齢化率:約50%)。

当院を受診する患者さんの年齢層は幅広く、赤ちゃんから高齢の方まで来院されます。
私たちスタッフは、慢性疾患だけでなく、患者さんのさまざまな相談に応じており、健診や予防接種、発熱などの身近な病気への対応、自宅療養支援や看取りなどの訪問診療への同行をしています。
これらに加えて、看護師が気になっている患者さんへの自宅訪問も行っています。
介護認定を受けておられる患者さんも多いため、日常的に多職種連携を行なって、ケアマネジャーや訪問看護ステーションの看護師などとこまめに情報共有を行うよう心がけています。

一日の流れについて

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    朝礼風景
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    予診の様子
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    往診先で実習生による測定場場面
一日の流れを紹介します。

8:30~ 朝礼
夜間待機電話の報告、前日の訪問診療の申し送り、ケアマネジャーなど他職種からの情報共有、その日のスケジュールの確認などを行います。
 
朝礼後~12:00 診察
看護師は予診担当・診察介助担当・フリー担当と3か所に分かれて、1週間ずつそれぞれの持ち場を担当しています。

予診担当者は、医師の診察の前に、予診室という予診専用の部屋で個別に患者さんの症状やそれに伴う困りごとなどをお聞きしています。
そこで、トリアージを行い、緊急性のある患者さんの診察を優先して医師の診察に繋いでいます。

診察介助者は、診察の介助を行い、患者さんの隣に寄り添って、患者さんの主訴や医療者に伝えたい内容をお聞きすると同時に、医師の伝えたいことを患者さんが理解しやすいようにお伝えする橋渡しの役割を果たしています。
そして、気を付けることや生活で役立つご助言等をお伝えしています。

フリー担当者は、診療所全体を見渡し、診察の流れをみて采配を行っています。
待ち合いの患者さんの様子に気を配り、気分不良や急な状態の変化がないか確認をしています。
電話対応もフリー担当者の役割で、患者さんやご家族からの受診や症状についてのご相談に応じたり、ワクチンの予約の受付や、関係多職種との情報共有を多く行っています。
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    往診先で研修医と体位調整
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    内服カレンダー
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    空き箱を利用した内服セット
14:00~16:00 訪問診療同行・看護師による自宅訪問
【訪問診療】
平日は医師に看護師が同行して2~3件の訪問診療を行っています。
グループホームや特別養護老人ホームへの訪問診療も行います。
近隣の病院からほぼ通年研修医が勉強に来られるので、現地で一緒にケアを行ったり、血圧測定や採血をしています。

 【看護師による自宅訪問】
訪問診療とは別に、看護師は気になっている患者さんの状態を確認するために、訪問や内服薬のセットなどに度々でかけています。

ある方は、受診日に来られないことがあったためご自宅に訪問したところ、手つかずの内服薬が多量に残っており、内服管理が難しくなってきていることに気づきました。
そこで、定期的に訪問して、ご自身で忘れずに服用できるように内服薬のセットを行うようにしました。

また、別の方には、もともと1枚の内服カレンダーに2週間分をセットしていましたが、内服の認識が難しくなったため、カレンダーを2枚貼り付けて縦に2週間分セットするようにしました。
この工夫で、日付の認識がしやすくなり内服ができるようになりました。

このように、お薬のことをきっかけに訪問を始めることも多く、軌道にのったところで訪問看護などに移行するようにしています。

16:00~18:00 午後の診療
午後の診察は18時までの受付なので、保育所に通っているお子さんやお勤めの方の受診が多い傾向にあります。
最近は、ストレスなどから心身の不調を訴える方も多く、その場合は診察の一番最後に来ていただき、予診から診察まで丁寧に時間をかけて話をお聴きしています。

終了
片づけをしてドタバタの1日が終了になります。
今日はどんな患者さんが来院したのか、一通りカルテに目を通して終了となります。

こんなことも!~地域に赴き劇を披露~

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    地域での講演会
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    劇の様子
とある地域から「地域でともにいきいきとー身近なつながりを大切にするー」というタイトルで当院佐古医師へ講演の依頼がありました。
講演だけじゃ面白くないよねということになり、スタッフ総出で素人ながら寸劇を披露しました。

この劇では、実際に当院であったパーキンソン病の患者さんのことを題材にして脚本を作りました。
この方は、近所の方から診療所に連絡があったことでサービスの調整につながり、状態が回復していきました。
日頃からの身近なつながりの大切さを寸劇で伝えることができたように思います。

Q2 プライマリケアで働く魅力、やりがいはなんですか?

私のプライマリ・ケア看護との出会いは、「患者さんの生活を含めた全体像を見る」「患者さんを路頭に迷わせない」「『ここ(作木診療所)に行けばなんとかなる』という診療所でいよう」という当院医師(家庭医療専門医)の言葉でした。
患者さんの一部分を見るのではなく、家族を含めた患者さんをとりまく全体像を見ること、課題に目を背けずに一緒に解決していくこと、困っている患者さんがいればこちらから手を差し伸べることは、まさに私がやりたかった看護で、これだ!と思いました。

作木という小さな町ですが、その分、赤ちゃんから高齢の方まで顔見知りであることが多く、信頼関係も構築しやすいと思います。
これまで、その信頼関係に何度も救われた気がします。

ある患者さんから「藤倉さんがいうことならやってみようか」と言われたことがありました。
迷っている方の背中を後押しできたことにとても嬉しく感じました。
このように、普段の診療の中で患者さんに関わっていることすべてがやりがいのように思います。
なんでも相談してもらえるような敷居の低い診療所でありたいと心がけています。

Q3 プライマリケア領域で働く看護師や働こうとしている仲間へのメッセージ

「ひとりの患者さんの全体像を見る」ということは信頼関係構築の近道かなと思います。
普段なにげなくしている会話のなかにその患者さんを知るチャンスがいっぱい隠されています。
プライマリ・ケア看護は、赤ちゃんから高齢者まで、予防から治療まで、幅広い知識や経験が必要です。
私もまだまだ日々勉強が必要ではありますが、全国のプライマリ・ケア看護師とつながって、勉強会や学術大会に参加できることが刺激になっています。

プライマリ・ケア看護に興味のある方はぜひ一緒に勉強していきましょう!
楽しさや気づきがたくさん待っていますよ。

編集後記

今回は、日本プライマリ・ケア連合学会認定看護師の資格をお持ちの藤倉さんに、プライマリ・ケア領域で働く看護の魅力を教えていただきました。

「ナースのお仕事」では、素敵な看護師の活動を引き続き紹介していきたいと思います。

あなたもぜひプライマリ・ケア領域の看護師の仲間になりませんか?
お待ちしています!

最終更新:2024年04月01日 15時07分

看護師部会 広報活動支援部門

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