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【聞かせてください!あなたの産業保健活動】松村 真司先生

【聞かせてください!あなたの産業保健活動】

予防医療・健康増進・産業保健委員会
産業保健チームの新しい企画
【聞かせてください!あなたの産業保健活動】が始まります!

プライマリ・ケア医(家庭医・総合診療医)のコアスキルが、産業保健活動にいかせることをご存じでしょうか?また、プライマリ・ケア医による産業保健活動は、日常診療に産業保健の視点を取り入れることでも実践できます。

第1回目は、東京都世田谷区 松村医院医院長で
産業医としてもご活躍の松村 真司先生に、地域における産業医活動の様子やその魅力について教えていただきました。

【多摩美術大学上野毛キャンパスでの産業医活動】

  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-634-1.jpg
当院が位置する東京都世田谷区上野毛に1935年に開設された多摩美術大学は、私が子どもの頃からあるわが町のランドマークの一つである。1990年代になって、その機能の多くは八王子キャンパスへ移転したが、2023年現在上野毛キャンパスには統合デザイン学科と演劇舞踊デザイン学科があり、多くの学生や職員が座学のみならずアートに関するさまざまな教育活動を行い、その成果を日々発信している。

私の医院は上野毛キャンパスから本当に近く、徒歩数分のところに位置している。医院を継承した20年ほど前から地域で教職員や学生たちを日常的に診療する中で、産業医資格を持っておりかつて嘱託産業医として某企業で勤務したことを聞きつけた同キャンパスの職員から嘱託産業医および学校医への就任を依頼されたのを機に、その後現在まで長年活動を行ってきた。

主たる業務は通常の産業医活動、すなわち衛生委員会への参加、職場巡視、健康管理、および保健・健康相談である。ふだんは同校の産業衛生スタッフおよび保健室の看護師と連携を取りながら産業医活動を継続的に行っている。以前はキャンパスへの訪問は月1回であったが、産業医面接等業務の増加に伴い、現在は診療の合間に月2回キャンパスを訪問し業務を行うという勤務形態である。大学、特に美術大学というやや特殊な環境下での労働は、一般の職種とは異なる部分も多い。もちろん慢性疾患の予防や、メンタルヘルスへの関わりなどはプライマリ・ケア医が得意とする分野ではあるが、大学特有の問題もあるため、産業衛生スタッフや他の人事部門とその都度相談しながら取り組んでいく日々である。

COVID-19が拡大した2019年以降は、感染対策と教育活動の両立をいかに達成するかという難問が突き付けられ、これに対してこれまで以上に多くの部門の人々と協働し活動を行ってきた。特に、上野毛キャンパスのメインの学部の一つである演劇舞踏デザイン学科では、いかに感染を抑えつつ活動を行っていくかという難問が立ちはだかった。そんな中、多くの若きアーチストたちと試行錯誤を続けながらも活動を続けることができたことは、医師としての価値観にも大きな影響を与えてくれた。世の中をアートの力で変えていく大きな夢を抱いてこの道を志した若きアーチストたちを、近くで応援できるのはとてもやりがいのあることである。ふだんはなかなか知りえない、このようなアートの世界を垣間見ることができたのは、長年の産業医活動から私が得た最大の財産である。

【編集後記】

【聞かせてください!あなたの産業保健活動】では、
学会員の皆さまの産業保健活動を引き続き紹介していきたいと思います。

皆さんもぜひ、プライマリ・ケア(家庭医療・総合診療)のスキルをいかした産業保健活動を実践し、
日常診療に産業保健の視点をぜひ取り入れませんか?

最終更新:2023年12月13日 00時00分

予防医療・健康増進・産業保健委員会 産業保健チーム

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予防医療・健康増進・産業保健委員会 産業保健チーム

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