投稿原稿／超高齢社会にみる意識障害−何を考え、何に気をつける?

【患者】83歳男性。
【既往歴】膀胱癌、尿管癌、S状結腸癌、慢性心不全、発作性心房細動、慢性腎臓病。
【生活歴】妻と二人暮らし(同じ敷地内に息子夫婦が在住)
【現病歴】膀胱癌、尿管癌が終末期の状態であり、近医より訪問診療でベスト・サポーティブ・ケアを受けていた。1ヵ月ほど前より血尿が増え、ここ最近は食欲の低下を認めていた。ある日、夕食はあまり食べられなかったが、内服薬は普段どおりに妻が管理のもと内服した。夜中3時ころ、呼吸状態がおかしいとのことで妻が救急要請し、当院に搬送された。
【身体所見】意識Glasgow Coma Scale(GCS)E1 V1 M1、血圧 197/104mmHg、脈拍80回/分、呼吸回数24回/分、SpO2 100%(Face Mask 5L)、体温36.2°C。身体所見上、瞳孔不同あり(左1.0mm、右 2.5mm)、対光反射は両側ともやや遅鈍、眼底所見上うっ血乳頭なし、髄膜刺激徴候なし、病的反射なし、舌咬傷なし、ほか、明らかな異常所見なし。

本症例で意識障害の原因として考えられるものはどれか。すべて選べ。

1. 高カルシウム血症
2. 尿毒症
3. 感染症
4. 低血糖症
5. 頭蓋内疾患


【検査所見】
簡易血糖測定 : 血糖値30mg/dL.
動脈血液ガス(Face Mask 5L):pH7.441, pCO2 27.1mmHg, pO2 168.9mmHg, HCO3-18.0 mmol/L, Lactate1.57mmol/L.
血液検査 : WBC 12,300/μL, Hb10.0g/dL, Plt23.8万μL, TP7.7g/dL, Alb3.4g/dL, AST21 U/L, ALT9U/L, γGTP47U/L, BUN38mg/dL, Cre3.38mg/dL, Na140mEq/L, K4.9mEq/L, Cl 108mEq/L, Ca7.8mg/dL, CRP0.27mg/dL, BNP349.9pg/mL, PT100%, PT-INR0.91, NH3 19μg/dL, 血糖値33mg/dL.
心電図:異常所見なし。
頭部CT:異常所見なし。