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気候変動×医療、世界では今 ~ WONCAが緊急の気候変動対策を呼びかけ。COP28では初めて健康に焦点 ~

今回は、今年秋~冬の気候変動×医療に関する世界のトピックを紹介します。

WONCA World2023にてGreen Dayの開催

1つめは、先月末にオーストラリア シドニーで開催されたWONCA World2023(世界家庭医療気候 世界大会)での取り組みです。


大会の3日目、10月28日には「グリーンデー」と称して気候変動と環境の問題に焦点を当てたイベントが開催されました。

プライマリ・ケアが持続可能性に与える影響や、気候変動がプライマリ・ケアや人々の健康に与えている影響について紹介されました。

また、参加者たちは緑の衣類や小物を身につけ、昼食にはCO2排出量削減のために地元の農産物を使用したベジタリアンメニューが提供されました。

さらに、大会全体としてCO2排出量削減を心がけた運営がされていたようです。
 ・リサイクル可能な資源は、確実に会場内のリサイクルボックスで回収する
 ・使い捨てになる物品の使用量を極力減らし、本当に必要なものだけを採用する
 ・会場への行き来は、公共交通機関、相乗り、自転車、徒歩の利用を推奨する

 Green Day – WONCA 2023

WONCAや世界の医療界からの気候変動対策の呼びかけ

次に、WONCAのプラネタリーヘルスワーキングパーティが中心となり行われた気候変動対策の呼びかけについてお知らせします。
WONCAは他の医療団体と共に、今月末から開催されるCOP28(第28回気候変動枠組条約締約国会議)に向けて、気候変動による緊急事態から健康を守るよう世界の指導者たちに呼びかけました。

今年夏にWONCAが提案した気候変動対策に関する声明文の呼びかけに 39 団体、のべ 300 万人以上の医療者が賛同しました。

私たちプラネタリーヘルスワーキンググループのメンバーも活動する一般社団法人「みどりのドクターズ」もこの声名に賛同しました。
  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-599-1.jpg
    「みどりのドクターズ」も声名に賛同しました(一番右下)

この声名は、上にも述べたWONCA世界大会の記者会見で公表されました。
その声明文を訳したものを介します。

持続可能なエネルギーへの公正かつ公平な移行を確保し、健康を守るための呼びかけ

私たち世界中の家庭医、医師、医療専門家は、世界のリーダーに対し、気候危機から世界の人々の健康を守るために緊急の行動を取るよう呼びかけます。

気候変動はすでに人間の健康に広範囲に影響を与えています。最前線の医療従事者として、私たちは気候危機によって引き起こされた健康上の緊急事態によりいっそう対応しています。しかし、危害と苦しみの増大に直面する中で、新しい化石燃料資源は開発され続け、温室効果ガス排出量は増え続けています。

温暖化を1.5℃に抑え、気候変動による健康上の緊急事態の拡大を食い止めるチャンスがあるなら、化石燃料の拡大を止めなければなりません。

世界保健機関は化石燃料不拡散条約の締結と化石燃料補助金の廃止を求めています。  

そして、私たちはこれらの呼びかけに参加し、緊急の健康への介入として以下を採択するようすべての政府に要請します。

• 新たな化石燃料インフラと生産の拡大を中止する。

• 化石燃料の既存の生産と使用を段階的に廃止します。

• 化石燃料補助金を廃止し、再生可能エネルギーに投資する。

• 化石燃料エネルギーシステムから再生可能エネルギーによるより多様で強靱で包括的な経済へ移行するという個人、地域社会、国家のニーズに応える公正な移行を急ぐ。

WONCA World は、WONCA Working Party on Planetary Health を代表してこの呼びかけを共有します。  

この呼びかけは、300 万人の医療専門家を代表する以下の組織によって支持されています。
      声名(公開書簡)の原文

この取り組みは、英紙 Guardian にも取り上げられました。
 Doctors from around the world unite to call for urgent climate action_The Guardian




また、時を同じくして、世界医師会や世界公衆衛生連合、国際小児科学会などもCOP28の議長国(UAE)と各国の指導者に対して化石燃料の公正かつ段階的廃止を約束するよう要請しています。
この「医療・健康グローバルコミュニティからの化石燃料に関する公開書簡」には、世界各国の4630万人を上回る医療関係者らが賛同しており、みどりのドクターズもその一つです。
 COP28 Open Letter on fossil fuels from the Global Medical and Health Community

こちらも国内外で報道されています。
 医師ら書簡「化石燃料の廃止を」 気候変動で健康被害が深刻_共同通信

COP28では初めて健康に焦点

今月末から開催されるCOP28(第28回気候変動枠組条約締約国会議)に向けて、上述のように世界の医療界が注目しています。
その理由の一つは、WHOやWellcome Trustらが協力して、COPで初めて健康に焦点を当てたイベント・会議が開催されるためです。

12月3日に「ヘルスデー(Health Day)」が設けられ、健康の日では、次の 5 つの主要なトピックに焦点を当てられます。

 1)気候変動と人間の健康の間のエビデンスに基づく明確な影響経路を示す
 2)「気候変動対策に向けた健康に関する議論」と健康との双方への利益(co-benefit)をもたらす緩和策の促進
 3)医療システムの気候変動に対するレジリエンスを強化するためのニーズ、障壁、ベストプラクティスを強調する
 4)気候変動が人間の健康に及ぼす影響に対処するための適応策の特定と拡大(One Healthを含む)
 5)健康と救済、復興と平和を結び付けて行動を起こす。

COP28の保健閣僚会合では、気候変動と保健に関する各国の取組や進捗状況を紹介しつつ、「気候と健康に関するCOP28宣言」が採択される予定です。
この宣言への賛同は、気候変動と保健の統合の重要性、そして気候変動が人間の健康に与える影響に関する各国のコンセンサスを示す上で、重要かつ象徴的なものとなります。

12月3日は、COP28のヘルスデーに私たちも注目していきましょう。
  COP28 Health Day_WHO

  HEALTH / RELIEF /RECOVERY AND PEACE_COP28UAE

私たち、プラネタリーヘルスワーキンググループも頑張ります!

今回は、今年秋~冬の気候変動×医療の世界のトピックを紹介しました。

日本でも健康・医療分野の気候変動対策が本格化してゆくよう、私たちも情報発信や働きかけを積極的に行ってまいります。
ただいま、来年度学術大会の企画・運営への協力に精力的に取り組んでいます!

JPCA2024では、企画・運営に協力しています!

その詳細についても、こちらで紹介していきたいと思います。

プラネタリーヘルスワーキンググループを引き続きよろしくお願いいたします。

プラネタリーヘルスワーキンググループ みどりのドクターズ
             greenpracticejp@gmail.com

             医療者が取り組む気候変動対策活動の紹介とお誘い

最終更新:2023年11月13日 21時37分

プラネタリーヘルスWG

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