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離島・へき地医療の現場

「しまの家庭医になる」 / vol.1/03 隠岐病院 小川将也先生(現地訪問リポート(後編)~しま暮らしの巻~)

離島医療・へき地医療と聞くと、
 興味はあるけど身近にない。イメージが湧きにくい。だから、飛び込みづらい…
そういう方多くないですか?

JPCA「島嶼およびへき地医療委員会」では、多くの方が島嶼・へき地にもっと関心をもってもらう為に、日本全国の島嶼やへき地などの医療現場を訪れ、働いている医師を通して離島やへき地で実践されているリアルな医療、そしてそこでの生活を紹介するシリーズをお届けします。中高生や医大生、これからそのような医療に飛び込んでみたいと考えている先生方には、このシリーズでいろいろなロールモデルに出会えると思います。また、地域で生活されている方には、医師がどのような想いでその地で医療を行っているのかを垣間見て頂ければと思います。

島根県の離島 隠岐の総合診療医 小川先生へお会いしてきました!

2023年10月初旬 島根県の隠岐へ訪問し、「しまの総合診療医」である、小川先生にお会いしてまいりました。総合診療医として離島医療の実践の様子や、ご家族との離島生活など、直接お話をうかがうことができました。現地リポートの(後編)では、しま暮らしの様子をお届けします。
(訪問者:JPCA島嶼およびへき地医療委員会 青木信也)

<現地訪問リポート(後編)~しま暮らしの巻~>では、医師から見た、離島で働くドクターの暮らしって?をテーマに、
・ご家族構成・移住にあたって・1日の生活サイクル・休日の過ごし方
・離島ならではの幸福感・島の方たちとの触れ合い
などを見たり、聞いたりしてきました。
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「隠岐で医療者として生きる」 離島での生活を聞いてみました

普段小川家族がよく行く定食屋さんへ。まだ、小さいお子様2人と4人家族。
「こういう定食屋さんで、子供がうるさくしてたり、はしゃいだりして動き回っても、笑顔で『元気やねー。』って言ってくれるんです。スーパーとかでも、どこの誰かわからないお年寄りの人でも、こどもに優しく声をかけてくれるんですよ。みんなが見てくれているって感じがあって、子育てするのに、とてもしやすいです。」

そうはいっても、「子供が2人になって、より家族の時間を意識するようになりました。仕事ばかりに時間が使えないようになって、どのようにやりくりするか悩んでるんですよね。」と。両親が近くにいるわけではないので、お互いで当直や日常業務をやりくりしながら、託児所利用をフル活用して子育ても頑張っている。近所のかたにベビーシッターもお願いしたりして、夫婦共に仕事が出来る環境にもしている。
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ふと、コンビニがないことに気付いた。コンビニのない生活はどう?と聞くと、さらりと「なければ、行かなければいいんです。まえもって、ストックも少しするのが普通になるので。台風前なんかは、食パンとか牛乳とか食材はスーパーから消えますよ。みんなストックするので。」自分自身が離島で生活していたときのことをふと思い出した。そういえば、食パンがやたらに並んでいて、その翌日にはなにもなくなっていたなと…。

「島に住む」地域の一員としてプライベートも充実した日々

翌日の夜は、派遣看護師の方の庭先でBBQ。たくさんのサザエと共に。派遣看護師や毎月来る研修医のみなさんと地元の方なんかも呼んで、盛大にBBQを開催している。
「せっかく来た島だから、楽しんでもらいたい」と。
病院職員以外の方とも地域住民の一員として遊んでいる。
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島を出る日の朝から、放射線科の磯部さんとともに船に乗って、隠岐の海へ魚突きに。あいにくの天気で海の中はあまり視界は良くなかったので、魚は取れなかったが、この時間がとても有意義だと。
「携帯から、唯一離れられる時間。携帯がつながっていると本当はチームのみんなが診てくれるんですが、島の中にいるといつでも対応が必要な感じがして、少し気が休まらないというか。ここにいると、何も考えずにぼーっと魚突きのことだけを考えられるんです。」
 休みの日は、家族とお世話になっている人とBBQをしたり、魚突きをしたりして日常の生活も楽しんでいる。天候がとても変わりやすい離島。島外に旅行とかした際に、飛行機や船が欠航で戻れなくなっても、「お互い様なので・・・」ということで、診療などは補完し合っているという。
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「隠岐で医療者として生きる」離島での生活の様子を伺ってみました

小川先生の奥様にも、「離島医療について向いている人はどんな人?」と聞いてみた。
「仕事のonとoffを分けなくてもいいと思っている人には向いていると思います。例えば、居酒屋で会う顔やスーパーで子供を連れてる時の顔と外来で会う顔が一緒かどうか。人によっては、プライベートと仕事は分けたいという人もいると思うので、そこは一つの分かれ道かもしれませんね。」
(パートナーである小川先生はどう?)
「外面(そとづら)が良すぎて(笑 家のことももっとやって欲しいって思うこともよくありますよ。それは。でも、私にはない若い医師や学生を魅了する発信力のある人なので、そこは尊敬しますね。」
と、夫婦で医師をする大変さも少しお聞きすることができたかもしれない。
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さいごに

3日間の取材で、
・自分自身の成長のための努力を惜しまない
・継続性のあるチームをどのように作るか日々考える
・地域のために出来ることを考え、行動する
・離島を楽しむ・家族での生活を楽しむ
全てに全力の小川先生はとても活き活きしていた。
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■取材
日本プライマリ・ケア連合学会 島嶼およびへき地医療委員会
医療法人SHIODA塩田病院 総合診療科 医師 青木 信也

最終更新:2023年12月20日 21時05分

島嶼およびへき地医療委員会

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島嶼およびへき地医療委員会

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