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BCP:Business Continuity Plan(事業継続計画)について

このたび石川県能登地方を中心とする大規模な地震により犠牲となられた方々に、謹んでお悔やみを申し上げます。同時に、被災され不安な日々を送っていらっしゃる皆様に、心からお見舞い申し上げます。皆様の安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
 
また、いち早く救済に動いてくださっている自衛隊、消防、警察、医療などに関係する皆さま、1日も早いインフラの復旧にたずさわってくださっている皆さま、個人的な支援をされる皆さまを心より尊敬致します。
 
私たち、日本プライマリ・ケア連合学会学 予防医療・健康増進・産業保健委員会 産業保健チームでは、これまで、医療者の職場環境支援に関する発信やシンポジウムを開催して参りました。
 
産業保健分野では、災害復旧時の労働者の安全確保、健康保護のための施策にも産業医が専門的な見解を持って関わっております。そのなかで、近年注目されているのが、BCP:Business Continuity Plan(事業継続計画)です。これは、災害時などの非常時に、地域で重要な役割を果たしている企業や行政機関等が、「地域から求められる重要な役割」を止めてしまわないための準備の一環となる「事業継続計画」です。
 
私たち、
プライマリ・ケア医の役割として「災害時の対応」も非常に重要です。
ですが、このBCPについては、臨床医の間で十分に認知されていると言いがたい状況です。
 
熊本地震の反省から、厚生労働省は災害拠点病院に対して「病院BCP作成」を義務化し、災害時の医療機能の維持に取り組んでいます。こうした流れを受けて、地域医療においても、BCPの取り組みが各地で広まりを見せています。この数年、私たちプライマリ・ケア医および医療機関の多くは、災害級のCOVID-19の流行に、個々の組織および地域で協力しながら、十分な医薬品や防護服・マスクといった自らを守るための医療資源が大幅に不足するなか、社会や地域から求められている役割を果たそうと、前例の無い事態に手探りながらも、懸命に、かつ真摯に対応して参りました。慣れない状況のなか、自施設での感染流行などにより、「地域における医療活動」を一時的に停止せざるを得ない状況にまで追い込まれる医療機関もありました。さらには、感染症のパンデミックに限らず、熊本や大阪北部、北海道、石川県など各地で大規模な地震が発生することで病院が被災し、停電が発生する状況などから、入院患者の転院が必要となる事態が発生しました。そのような有事に、「医療機能の維持のために必要な対応」を迅速に実施するためには、有事に起こり得ることを知り(図)、関係各部署と調整しながら事前に対策を検討し、計画を作成しておく必要があります。こうしてできる計画が、BCP:Business Continuity Plan(事業継続計画)となります。
 
私たちは、こうした事態が、今後も発生し得ることを念頭に、これまでの経験から多くを学び、地域医療において、「災害時の医療機能の維持」に努めていく必要があります。さらに、気候変動による自然災害の発生頻度も増すなかで、「災害時の医療機能の維持」は、ますます大きな課題となってきています。今後、私たちプライマリ・ケア領域の医療機関においても、BCPの必要性への理解が高まり、地域住民や行政、地域の企業などと協力し、「災害に強い地域づくり」の意識が高まるよう、私たち産業保健チームにでき得る最善と思われることに取り組んで参りたいと思います。今後とも、何卒よろしくお願い致します。
 
2024年1月
予防医療・健康増進・産業保健委員会 産業保健チーム
安藤明美
  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-665-1.jpg

最終更新:2024年01月09日 00時00分

予防医療・健康増進・産業保健委員会 産業保健チーム

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予防医療・健康増進・産業保健委員会 産業保健チーム

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