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プライマリ・ケア診療各論/進行する手足のしびれ-ERで出会う神経障害①-

ケース

●主訴:足がしびれる 動かしづらい
●現病歴:患者は27歳の男性
来院10日前から左足の裏がじりじりするような、しびれる感覚を覚えた。来院7日前には、左膝下まで症状は拡大し、右足にも同様のしびれ感が出現した。来院3日前より両下肢の力の入りにくさを自覚するようになった。
来院2日前くらいから、左上肢の先のじりじりする感じも出現した。現在、歩行は伝い歩きである。呼吸苦はなく、食事摂取時に飲み込みづらさもない。
●既往歴:特記すべきことなし
●内服薬:違法薬物やサプリメント・漢方含めなし
●生活歴:独居、建築業をしている。仕事では足場を組んだり、高所での作業をしている。
●嗜好歴:喫煙なし。飲酒は機会飲酒。
●身体所見:バイタルサイン:血圧110/74mmHg、脈拍89回/分、呼吸数18回/分、体温36.0℃ 酸素飽和度98%(室内気)全身状態は良好。
一般身体診察:頭頸部に特記所見なし。胸部・腹部に特記所見なし。皮膚・関節所見なし。
神経学的所見:図1は感覚や運動系の異常部位を示したものである。
神経所見:意識:清明、高次脳機能:正常、脳神経:正常
運動系:腸腰筋R2/L2 大腿四頭筋3/3 大腿二頭筋3/3 腓腹筋4/3 腓腹筋4/4 前脛骨筋 3/2、短母指外転筋5/4 小指外転筋5/5 腕橈骨筋5/5上腕二頭筋5/5 上腕三頭筋5/5 三角筋5/5
感覚系:両側足底・前脛骨部に知覚異常、左正中神経領域に知覚異常
腱反射:上腕二頭筋R+/L+ 上腕三頭筋+/+ 膝蓋腱反射±/−アキレス腱反射+/±
病的反射:バビンスキー徴候−/− チャドック徴候−/−
●胸部X線:特記所見なし
●心電図:1度房室ブロック、心室性期外収縮を散発的に認める。
●血液検査:血算、血糖値、甲状腺ホルモン、肝機能、腎機能、電解質では異常を認めなかった。
  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-1073-1.jpg

はじめに

手足のしびれを主訴に救急外来にやってくる症例は、圧倒的に脳卒中が多いと思われる。しかし頭部CTやMRIを撮影し異常がなかった場合、鑑別疾患が思い浮かばず思考停止してしまうことがある。このような状況では、ていねいな問診と診察所見で診断に迫る必要がある。本稿では、救急外来で発見すべき末梢神経の救急症例について検討していく。

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最終更新:2025年01月22日 00時00分

実践誌編集委員会

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