ホームスキルアップがんとプライマリ・ケア 悪い知らせの伝え方:SPIKES

スキルアップ

がんとプライマリ・ケア

 悪い知らせの伝え方:SPIKES

 コミュニケーションスキル

自治医科大学 臨床腫瘍科の 知念 崇 と申します。
私は、卒後10年間はプライマリ・ケア医をしていましたが、現在は薬物療法の専門医として日々診療しております。切除不能・再発がんに対しての化学療法を行うため、患者さんに Bad News を伝えるシチュエーションが多いですが、失敗と反省を繰り返しながら、コミュニケーションスキルを磨いております。
プライマリ・ケア医には、コミュニケーション能力が求められるますので、ここでは、いつもとは違った切り口で一つ紹介ししたいと思います。

 告知と告白

ところで、自分が何か別の作業をしているときに、雰囲気もない、タイミングもなく、いきなり「好きです」と告白されたらどうでしょうか?

「はぁ〜?」となるか、「何?よく聞こえなかった」となるか、こんなデリカシーのない人なんだと恋心があっても引いてしまい、最悪、百年の恋も一時で冷めることになりかねません。

悪い知らせを伝えるコミュニケーションスキルに、SPIKES(*1)がありますが、次の表のように、告知と告白は同じ構図になっています。
  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-1078-1.jpg
これは、伝えたい相手に、伝える準備と、伝えた後の反応をみることが、構造的に共通しています。医師アタマとしては、忙しい外来の中では、早く次のマネージメントに進もうとするため、こちらが患者さんに伝えなければならないことを「伝えて終わり」になりがちです。

  「悪い知らせを伝えた後の、感情に対応する。その予定で伝える前にも準備をする。

このSPIKESの穴埋めをしていくだけで、難しいコミュニケーションを乗り切られるので、非常に良いツールだと思います。

一方で、悪い知らせのみを言いっ放し、という状況にしばしば遭遇すると思います。その時、何て言えばその方は気づいてくれるでしょうか?
「そんな言い方ないんじゃないですか?」と言うことはナンセンスであるため、そんな時は、

                      「先生、愛がないですよ!

と言ってみるのはいかがでしょうか? 
みなさんで、日本の医療を、より良い方向へ変えていきましょう!

 引用文献

1.  伊藤香, 大内刑: 新訂版 緊急ACP 悪い知らせの伝え方、大切なことの決め方. 医学書院. 2022

最終更新:2024年11月14日 21時57分

がん診療に関するプライマリ・ケアWG

記事の投稿者

がん診療に関するプライマリ・ケアWG

タイトルとURLをコピーする