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【開催報告】パネルディスカッション「実践!効果的な再入院予防・退院支援としてのSDHへの取り組みとエビデンス」【病院総合診療医学会】

2025年2月23日、広島国際会議場で開催された第30回病院総合診療医学会において、SDH検討委員会によりパネルディスカッション「実践!効果的な再入院予防・退院支援としてのSDHへの取り組みとエビデンス」を企画しました。
 
 今回は病院総合診療医学会と若手医師のための家庭医療学冬期セミナーの合同開催であり、病院総合診療と家庭医療の両方の分野に共通するテーマとして、「再入院予防・退院支援」をSDHの視点から考察しました。
 参加者は70名以上にご参加いただき、各方面から大変関心が高い様子が伺えました。
 
 まず、水本潤希先生より、社会的フレイルをはじめとしたSDH要素が心不全入院などのアウトカムと関連している日本国内からのエビデンスをご紹介頂きました。SDHへの介入エビデンスについては、確実な改善要因はないものの、患者の個別性に合わせた介入が重要であること、具体的には認知症患者には週1回の見守りが予後改善につながることや、比較的若年の男性には退院後の増悪リスクが高いため食事、服薬、運動への重点的な介入が望ましいことなどを提案いただきました。
 
 次に、小坂鎮太郎先生より、練馬光が丘病院や都立広尾病院で実際に取り組んできた事例の紹介をいただきました。退院支援の視点では、治療後も「動けない」「食べられない」状態がハイリスクであり、食事形態の調整や専門科介入が適切なタイミングで実施できるようなクリニカルパスを作成しました。更に日本語版PCAMを導入して患者の社会的フレイルリスクをトリアージできる仕組みを導入しました。結果的に急性期の総合病院においてもSDHを含めた病歴理解や介入が促進できているという貴重な事例を報告いただきました。
 
 パネルディスカッションでは、横田先生より実際に経験した心不全患者の入退院における地域連携の課題を共有していただき、一人の医療者としてどのような介入ができるかパネリストの先生方と積極的に意見がかわされました。
 
 フロアからの質問では開業医、病院総合医、循環器内科医の先生方にもコメントを頂き、パネリストの先生方にとっても示唆に富む時間となりました。まさに、病院総合診療医学会と冬期セミナーの同時開催だったからこその意義深いテーマであったと思います。
 
 今後も様々なテーマに関して、SDHの視点から考察し、実践につなげていけるような企画を開催してまいります。

(報告:青ヶ島診療所 岩瀬翔)
  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-1269-1.jpeg

最終更新:2025年04月25日 17時04分

健康の社会的決定要因検討委員会

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