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Current topics - プライマリ・ケア実践誌
医療の質と安全/質改善を実現する組織 ーチームやグループの組織づくりー
最近、製造業においてデータ改竄事件が多発している。
監査水準を突破するためにデータ改竄を行い、それが長期間で常態化したという一連の事件である。
改竄されたデータであっても、日本の安全基準は欧米より高いので、決して安全性に問題があるわけではないという意見もある。
しかし、改竄前のデータ自体がわからないのであるから、そんな意見は本末転倒であるし、それでは監査の意味をなさない。
データをおかしいと思いつつも働いていた現場の作業員や管理職は、売上に目が眩み悪事に手を染めるような人々だろうか?
実際には、普通の常識や善意、倫理観を持ち合わせた人々であり、どこにでもいる普通の家庭人だと思う。
では、我々医療現場ではどうだろうか?
回避できない合併症と主張して、決してインシデントレポートを書こうとしない医者、決められたリスク評価をせずに転倒転落を防げなかった看護師、合併症や診療ミスの多い診療科に対して介入できない管理者など、どの医療機関でも同じ風景が見られる。
実は監査基準のない医療界のほうが根深い問題だろう。
それでも個々の人々を見たら、みんな善人だったりする。
集団や組織になると、何かが変わるとしか考えられない。
監査水準を突破するためにデータ改竄を行い、それが長期間で常態化したという一連の事件である。
改竄されたデータであっても、日本の安全基準は欧米より高いので、決して安全性に問題があるわけではないという意見もある。
しかし、改竄前のデータ自体がわからないのであるから、そんな意見は本末転倒であるし、それでは監査の意味をなさない。
データをおかしいと思いつつも働いていた現場の作業員や管理職は、売上に目が眩み悪事に手を染めるような人々だろうか?
実際には、普通の常識や善意、倫理観を持ち合わせた人々であり、どこにでもいる普通の家庭人だと思う。
では、我々医療現場ではどうだろうか?
回避できない合併症と主張して、決してインシデントレポートを書こうとしない医者、決められたリスク評価をせずに転倒転落を防げなかった看護師、合併症や診療ミスの多い診療科に対して介入できない管理者など、どの医療機関でも同じ風景が見られる。
実は監査基準のない医療界のほうが根深い問題だろう。
それでも個々の人々を見たら、みんな善人だったりする。
集団や組織になると、何かが変わるとしか考えられない。
医療の質・安全の組織づくり
医療機関において安全・質改善は組織的に行わなければならない。
プロフェッショナルとして、医師は自己研鑽を通じて、個人としての知識や技術を蓄積していく。
もちろん、個々の技量によって質も安全も大きく影響する。
しかし、今は一人のスーパードクターで完結する時代ではない。
医療機関におけるすべてのサービスプロセスにおいて、システム全体で高度な知識と技術を蓄積、実践しなければならない。
前回紹介したKnowledgeマネジメントのように、個人の暗黙知を組織の形式知、暗黙知に転換していくことである。
個人の意思決定や実行力の速さにはかなわないが、標準的で持続的な質改善には必要なプロセスとなる。
質・安全の改善を仕掛けるには、「企画」と「意思決定」、「実行」の三つのフレームを考える。
インシデントレポートや業務の不具合から、質改善の必要性が発生したときには、調査と分析を行う。
事例の解析や改善策の検討では、実際には同一職種内で行うよりも、多職種のチームを結成してとりかかるほうが、大きな成果を得ることができる。
インシデントやアクシデントは提供した医療サービスによって患者に有害事象が発生することであり、実社会では車の不具合で交通事故を起こした状況と同一である。
その事故に対して、車の整備士、エンジンやブレーキの専門家、警察、保険会社、道路管理者などが事例を検討するだろう。
そして検討チームが産み出すパフォーマンスは、適切なチーム・ビルディングができたかどうかに大きく依存する。
チームで作成された改善策を医療機関全体で行うか否かについては、意思決定のプロセスが必要である。
その改善策を組織全体の行動計画に入れ込むには、職種や部門の代表者が集まるグループ、実際には◯◯委員会や△△会議、での承認を受けなければならない。
会議や委員会に出席しても無意味な報告やムダな議論を経験することはよくあるが、適切に機能していれば、民主的な承認プロセスをもつ価値あるグループと考えられる。
プロフェッショナルとして、医師は自己研鑽を通じて、個人としての知識や技術を蓄積していく。
もちろん、個々の技量によって質も安全も大きく影響する。
しかし、今は一人のスーパードクターで完結する時代ではない。
医療機関におけるすべてのサービスプロセスにおいて、システム全体で高度な知識と技術を蓄積、実践しなければならない。
前回紹介したKnowledgeマネジメントのように、個人の暗黙知を組織の形式知、暗黙知に転換していくことである。
個人の意思決定や実行力の速さにはかなわないが、標準的で持続的な質改善には必要なプロセスとなる。
質・安全の改善を仕掛けるには、「企画」と「意思決定」、「実行」の三つのフレームを考える。
インシデントレポートや業務の不具合から、質改善の必要性が発生したときには、調査と分析を行う。
事例の解析や改善策の検討では、実際には同一職種内で行うよりも、多職種のチームを結成してとりかかるほうが、大きな成果を得ることができる。
インシデントやアクシデントは提供した医療サービスによって患者に有害事象が発生することであり、実社会では車の不具合で交通事故を起こした状況と同一である。
その事故に対して、車の整備士、エンジンやブレーキの専門家、警察、保険会社、道路管理者などが事例を検討するだろう。
そして検討チームが産み出すパフォーマンスは、適切なチーム・ビルディングができたかどうかに大きく依存する。
チームで作成された改善策を医療機関全体で行うか否かについては、意思決定のプロセスが必要である。
その改善策を組織全体の行動計画に入れ込むには、職種や部門の代表者が集まるグループ、実際には◯◯委員会や△△会議、での承認を受けなければならない。
会議や委員会に出席しても無意味な報告やムダな議論を経験することはよくあるが、適切に機能していれば、民主的な承認プロセスをもつ価値あるグループと考えられる。
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最終更新:2025年09月25日 00時00分