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医療の質と安全/質改善を実現する組織 ー経済学から行動変容を考えるー

経済原則的な行動変容

経済学は「人間は合理的である」という原則に立っている。
つまり、どんな人でも自分の利益(経済学的には効用)が最大化される方向に行動するということである。
商売であれば、売り手はより高い値段で売り、買い手はより安い値段で買う方向となり、最終的には売値と買値が一致する値段で商売が成立する。
個人間だけでなく市場においても、その原則が働く。
医療に置き換えれば、医療者も患者も合理性に従って当事者にとって利益がある診療に向かうということである。
医療者は病気のコントロール、治癒、患者満足度を望み、患者は痛みや苦しみの軽減、病気の治癒に向かう。
もちろん、ヤブ医者よりは良医を求めるだろう。

 「医療は仁術」というが実際はどうだろうか。
もちろん、私たちが行う外来や救急などの診療現場レベルでは、儲かる医療をしたいとか、この診療でいくら利益が出るなんて計算はしないだろう。
日頃、病院経営を専門にしている私でさえ、眼の前で行う診療にお金を意識することはない。
しかし診療全体や組織という面で見ると、我々は驚くほどに経済的合理性のもとに動かされている。
同じ治療をするのであれば、診療報酬が最大化する方向で行っている。
外来診療は基本的には出来高払いであり、ルールの範囲内で最大数の検査や治療を行うことに誘導される。
実践誌の読者の皆さんは医学的に最も費用対効果の高い診療を心がけておられるでしょうが、全国の平均的な外来診療を評価したら、決して費用対効果が高いとはいえない。
Choosing Wiselyの活動が全世界的に広げられているが、残念ながら日本ではメジャーな動きにはつながっていないのは出来高払い制度も一つの要因である。

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最終更新:2025年11月05日 00時00分

実践誌編集委員会

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