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がんサバイバーと疼痛について
がん診療に関するプライマリ・ケアワーキンググループの伊藤圭一郎(東北大学大学院医学系研究科緩和医療学分野)です.今回は、がんサバイバーと「痛み」の問題について取り上げたいと思います。
がん治療の向上と増加するがんサバイバーへの配慮
近年、がんの早期診断や治療法は日々進歩しており、がんサバイバーの数は増加しています。がんサバイバーの抱える問題多岐にわたり、リンパ浮腫や、がん薬物療法・放射線治療による心毒性、認知機能の低下といった身体症状に加え、外見の変化や就労、妊孕性など、心理社会的な問題も多く含まれます。
がんサバイバーと慢性疼痛
がんサバイバーにおける疼痛の有病率は40%にも及ぶと報告されており1)、多くのがんサバイバーの方のQOLに直結する重大な課題の一つです。がんサバイバーが疼痛を訴えた場合、疼痛の要因について必ず評価を行う必要があります。がんサバイバーは、「痛みの原因ががんの進行や再発によるものではないか」という不安を抱えていることが多いため、問診や診察は丁寧に行うことが重要です。
がん患者とオピオイド処方
緩和ケア講習会などで「オピオイドは正しく使えば中毒は起こらない」「天井効果がないので効果があるまで増量する」「レスキュー薬を積極的に処方する」といったことを勉強した記憶がある方もいるかもしれません。しかしながら、長期予後が見込まれるがんサバイバーの患者さんに対しては、オピオイド使用における有害事象にも気を配る必要があります。日本ペインクリニック学会の提言2)では、がんによる痛みであっても、数ヶ月以上の長期予後が見込まれる場合は、レスキュー薬の使用を最小限にとどめることが推奨されています。また、非がん性疼痛であれば経口モルヒネ換算で 60 mg~90 mg/日が上限とされ、最長でも 6 ヵ月でオピオイドの休薬・減量を検討することが望ましいとされています。
さらに、身体的な痛みの緩和ではなく、精神的苦痛やスピリチュアルな苦痛の軽減のためにオピオイドを使用することは「ケミカルコーピング」と呼ばれ、オピオイドの乱用や依存に繋がる初期段階と考えられています。オピオイド処方後は注意深い経過観察を行い、早期発見と予防に繋げる必要があります。
さらに、身体的な痛みの緩和ではなく、精神的苦痛やスピリチュアルな苦痛の軽減のためにオピオイドを使用することは「ケミカルコーピング」と呼ばれ、オピオイドの乱用や依存に繋がる初期段階と考えられています。オピオイド処方後は注意深い経過観察を行い、早期発見と予防に繋げる必要があります。
まとめ
がん生存率が向上するなかで、プライマリケアの現場でもがんサバイバーと関わる機会は今後さらに増えてくると考えられます。疼痛も含めた日常生活の困りごとに耳を傾け、患者の人生に寄り添う伴走者として、適切な対応が医療者には求められます。
参考文献
1)Paice JA, et al. Management of Chronic Pain in Survivors of Adult Cancers: American Society of Clinical Oncology Clinical Practice Guideline. J Clin Oncol. 2016 Sep 20;34(27):3325-45. doi: 10.1200/JCO.2016.68.5206. Epub 2016 Jul 25.
2)日本ペインクリニック学会.がんサバイバーの慢性疼痛治療に関するステートメント.2023年09月04日発行 Available at:https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/statement_02.pdf
2)日本ペインクリニック学会.がんサバイバーの慢性疼痛治療に関するステートメント.2023年09月04日発行 Available at:https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/statement_02.pdf
最終更新:2026年04月12日 21時22分








