ホームニュースプライマリ・ケア Field LIVE!日本プライマリ・ケア連合学会 四国ブロック支部長 大倉佳宏先生・副支部長 原穂高先生インタビュー
ニュース
プライマリ・ケア Field LIVE!
日本プライマリ・ケア連合学会 四国ブロック支部長 大倉佳宏先生・副支部長 原穂高先生インタビュー
日本プライマリ・ケア連合学会には、北海道から九州まで8つの地域で活動するブロック支部があります。
『プライマリ・ケアField Live!』の特別編として、各ブロック支部の取り組みや活動をご紹介する本企画。
今回は徳島県・香川県・愛媛県・高知県の4県からなる<四国ブロック>の支部長 大倉佳宏先生と副支部長 原穂高先生にお話を伺いました。
『プライマリ・ケアField Live!』の特別編として、各ブロック支部の取り組みや活動をご紹介する本企画。
今回は徳島県・香川県・愛媛県・高知県の4県からなる<四国ブロック>の支部長 大倉佳宏先生と副支部長 原穂高先生にお話を伺いました。
四国を「協調のネットワーク」で包み、多職種と若手がともに育つ持続可能な医療風土をつくります。
四国4県の地理的壁を越える連携。地域偏在という課題に挑む支部の土台と理念。
― まず、四国ブロック支部の概要や四国地域が直面している医療現場の状況についてお聞かせください。
私たち四国ブロック支部は、徳島・香川・愛媛・高知の4県をカバーしており、現在の会員数は名簿上で約380名です。元々は中国・四国合同のブロックでしたが、地域に密着した活動を推進するため分離し、現在の四国独立の支部体制となりました。地理的特徴としては中央に四国山脈がそびえ立ち、都市部に人口や医療機関が一局集中していることがあげられます。徳島の東部、香川の高松・丸亀、愛媛の松山周辺等に医療資源が集まる一方、中山間地域や過疎地、離島では深刻な医療手薄状態が続いています。人口あたりの医師数自体は全国上位の県が多いものの、都市部への偏在が顕著であり、まさに「医療課題先進地域」としての側面を色濃く持っているのが四国の実態です。
― そうした地域課題に対する大倉先生ご自身の原点や支部長としての思いをお聞かせいただけますか?
私がプライマリ・ケアを志した原点は、学生時代の訪問診療実習にあります。特定の臓器にとらわれず全身を総合的に診療し、患者さんが住み慣れた自宅で穏やかに過ごせる医療に大きな衝撃を受けました。この「人を総合的に診る」情熱が私の軸となっています。四国支部は前支部長の阿波谷敏英先生が10年にわたり発展させてくださいました。この重責を引き継ぐにあたり、強引に引っ張るのではなく、4県の先生方や多職種の仲間と膝を突き合わせ、一緒に医療現場を作り上げたいと考えています。コンパクトな四国だからこそ県境を越えて密に連携し、互いの現状や課題を共有し合える協力体制を築くことが重要です。
― 支部として展開されている日常的な取り組みや、全体の連携体制についてはいかがでしょうか?
支部全体の集合機会として、年に2回の行事軸を設定しています。春(4〜5月)には「新専攻医オリエンテーション」と「ポートフォリオ発表会」を合同開催し、若手専攻医を迎えて学びを深めています。秋(11月)には4県持ち回りで「支部地方会」を開催し、学術発表や多職種交流を実施。また学生に関しては、「中国四国学生部会」として中国ブロックの学生と共に交流や勉強会を継続しています。四国は狭いようで交通手段が車移動中心ですが、オンラインと対面を柔軟に組み合わせ、距離の壁を克服しながら「顔の見える関係性」を着実に育んでいます。
若手医師を育み多職種を支える現場主義。草の根のプログラム訪問とお遍路文化に通じる温かな風土。
― 次世代を担う若手医師や専攻医の育成に関する取り組みについてお教えください。
四国の総合診療専門医や家庭医療専門医数はまだ十分とは言えず、後進育成は最優先の命題です。そこで従来の「オンラインポートフォリオ相談会」に加え、支部独自の「プログラムサイト訪問企画」(サイトビジット)を始めました。役員や指導医が各地の研修プログラムを直接訪問し、機能確認を行いつつ、指導医や専攻医の生の声を聴き取る草の根活動です。現場の困り事や課題を拾い上げ、必要なレクチャーを行うだけでなく、対話を通じて心を通わせています。孤立しがちな地域の研修現場へ足を運んで「私たちがバックアップしている」という安心感と人間的な繋がりを届けることが若手の成長を支える最高の糧になると考えています。
― 多職種連携の推進や医師以外の職種の方々の参入・活躍の現状はいかがですか?
プライマリ・ケアにおいて看護師や薬剤師、リハビリ職やケアマネジャー等との協働は不可欠です。四国でも名簿上は多くの他職種が在籍していますが、支部活動の表舞台に関与できている方はまだ限られています。これは本人の情熱というより、地理的距離や同じ志を持つ仲間が見つかりにくい環境的要因が大きいためと感じています。だからこそ「実は近くに仲間がいる」ことを可視化し、職種別ネットワークや気軽に集えるコミュニティの場を用意する必要があります。医師主導ではなく、あらゆる職種が対等な視点で日常の課題を語り合い、主体的にアイディアを形にできる温かいプラットフォームへと深化させていきたいですね。
― 四国という土地柄で医療者が育ち、長く働き続けるための「風土づくり」についてお聞かせください。
四国には古来より人々の心を結びつけてきた「お遍路(八十八箇所巡礼)」という独自の文化があります。お遍路の道が四国をぐるりと一周するように、医療者のキャリアも単一ではありません。若い医療者が四国で学び、他地域へ大きく羽ばたいていったとしても、四国は常に温かく迎え入れ、緩やかにつながり続ける包容力を持っています。そして「やはりあの環境で医療がしたい」と再び戻ってこられる安らぎの居場所でありたいのです。私たちは「四国だから総合診療の研修がしにくい」という壁をなくし、誰もが安心して育っていける魅力的な土壌を、支部全員で築いていきたいと考えています。
臨床と学術を繋ぐ「PBRN」構想。市民や地域と共に「総合診療」をひろげる未来へ。
― 学術や研究面で今後打ち出していきたい構想や大学との連携についてお教えください。
日常の臨床疑問を研究へと昇華させ、その成果をケアに還元する「PBRN(Practice-Based Research Network:診療所・地域基盤研究ネットワーク)」の構築に注力したいと考えています。四国には各県に一つずつ国立大学医学部があり、総合診療科の先生方とも距離が近く、良好な関係を築いています。地域の臨床現場と大学をつなぐ研究ネットワークを整備し、学術活動を支部全体でバックアップしていきます。医学部教育では臓器別の専門志向が強くなりがちですが「地域で臨床を行いながら論文を書き、学位を取得し、アカデミックに活躍する」という「アカデミックGP」のキャリアパスを提示し、知的な刺激に満ちた学びの環境を提供していきたいと考えています。
― 一般市民に対するプライマリ・ケアの普及啓発についてはどうお考えですか?
従来の医師・専攻医教育に加え、今後は地域市民へ向けた情報発信が極めて重要になります。どれほど素晴らしい総合診療医が地域にいても、住民に役割や価値が知られていなければ、真の安心感を提供できません。市民公開講座や地域メディアを通じて「何か困ったときに真っ先に相談できる総合診療医」が身近にいる安心感を四国全土に広げていきたいと考えています。幸い、四国各県で熱量ある情報発信が生まれていますので、成功事例や熱気を四国全体で共有し、地域住民を巻き込んだファンづくりを推進してまいります。
― 最後に、2026年11月に徳島で開催される第26回支部地方会への意気込みをお願いします。
2026年11月7日・8日、徳島県医師会館にて「第26回日本プライマリ・ケア連合学会四国ブロック支部地方会/第33回四国地域医学研究会合同学術集会」を開催いたします。大会長として「ひろげる、ひるがる。総合診療 〜」をテーマに掲げ、ハイブリッド配信や託児所設置など、あらゆる人が集いやすい環境を整えています。医学生・若手医師・多職種・地域住民の皆さんが一堂に会し、総合診療の魅力を肌で感じて希望を持ち帰れる熱い場を目指します。四国という課題先進地は地域の未来を先取りして創り出せる最高のフィールドです。情熱あふれる仲間の皆さんと共に手を取り合い、一歩ずつ前に進んでいきたいですね。
― 四国ブロック支部 ホームページもご覧ください
最終更新:2026年10月06日 18時26分

















