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プライマリ・ケア Field LIVE!
日本プライマリ・ケア連合学会 近畿ブロック支部長 鈴木富雄先生インタビュー
日本プライマリ・ケア連合学会には、北海道から九州まで8つの地域で活動するブロック支部があります。
『プライマリ・ケアFieldLive!』の特別編として、各ブロック支部の取り組みや活動をご紹介する本企画。
今回は2府4県、会員数約2,000名で組織される<近畿ブロック>の支部長 鈴木富雄先生にお話を伺いました。
『プライマリ・ケアFieldLive!』の特別編として、各ブロック支部の取り組みや活動をご紹介する本企画。
今回は2府4県、会員数約2,000名で組織される<近畿ブロック>の支部長 鈴木富雄先生にお話を伺いました。
安定した運営体制で、若手と多職種を温かく育むコミュニティが特徴です。
1987年から培った歴史と連帯感。最大の強みはオンラインを活用した運営委員会。
― 近畿ブロック支部の歩みや組織としての特徴をお聞かせください。
近畿ブロック支部は、滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の2府4県で構成され、現在の会員数は1968名。学会全体の約6分の1を占める規模で、地域に根ざしたプライマリ・ケアの普及・発展に向けて活発な活動を展開しています。歴史は古く、旧日本プライマリ・ケア学会時代の1987年に第1回近畿地方会が開催され、その後、毎年継続されてきました。2011年11月20日の第25回近畿地方会で、規約と予算を有する「近畿ブロック支部」が正式に発足し、初代支部長には小泉俊三先生が就任しました。その後、各府県支部も順次立ち上がりました。近畿は地理的に府県同士がギュッと固まっているため、お互いの顔が見えやすく、古くから実地医家や開業医の先生方の緊密な連携が培われてきた、恵まれた土壌があります。
― これほど活発な活動を維持できている秘訣は何でしょうか。
最大の強みは「毎月第二火曜日の夜9時」から必ず開催されるオンラインの運営委員会です。各府県の代表や理事経験者ら約20名が参加し、月1回欠かさずオンラインで顔を合わせ、議論を重ねています。特筆すべきは、この運営委員会がそのまま学術大会などの実行委員会を兼ねている点です。そのため、先日の京都大会(第17回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会)でも特別な組織を別途作る必要がなく、オール近畿でスムーズに準備を進めることができました。イベント企画や予算審議まで、ここからすべて始まります。年1回の「幹事会」は主に予算などの承認の場、「代議員会」は最終的な意思決定の場であり、実務はすべて運営委員会に集約されています。この仕組みが日常的に回っているからこそ、タスクがしっかりとスケジュールに落とし込まれ、行き詰まることなく実行できるということですね。
― コロナ禍を経て、運営のあり方にも変化はありましたか。
2020年は私が大会長を務め大阪医科薬科大学で地方会を行う予定でしたが、コロナ禍で中止となりました。しかし翌2021年にオンラインを活用した初の地方会に挑戦し、オンラインの可能性を確信しました。その後は、オンライン開催と府県持ち回りの現地・ハイブリッド開催を組み合わせ、状況に応じて柔軟に運営しています。これにより各府県の運営負担を抑えつつ、オンラインの手軽さと、現地で対面するお祭りのような熱量、その双方の良さを生かせるようになりました。
関西らしさ全開の多彩な企画。孤独を生まない「若手支援」と「多職種連携」の最前線。
― 近畿ブロック支部は、学生や若手医師向けの非常にユニークなコンテンツが豊富ですね。
関西人は「目立ちたがり」「やりたがり」が多いですからね(笑)。とにかく楽しく、分かりやすく面白い企画を次々と生み出しています。まず、医学部1~4年生を対象にした「ドクター体験プロジェクト」は今年で5年目を迎え、2025年度には12名の学生が参加しました。実際に診療所や病院の現場へ出向いてプライマリ・ケアを肌で感じてもらう早期体験企画で、参加した学生が学会で発表するほど素晴らしい成果を上げています。また、専門研修1年目の専攻医を対象とした「スタートアップミーティング」は、グランフロント大阪で開催し、昨年は全国のブロック支部でも最多の71名が参加しました。さらに、年1回大阪医科薬科大学で開催する「P-FES(ピーフェス:近畿家庭医療・総合診療 専攻医ポートフォリオ発表会(Portfolio festival))」は、託児所も用意するハイブリッドイベントです。2026年2月の第18回には140名以上が参加し、うち約40名がオンライン参加でした。百人以上が集う、まさにブロックの一大お祭りです。
― 若手医師を孤独にさせず、徹底的にバックアップしようという姿勢が伝わってきます。
そこは本当に大切にしています。ほかにも研修1年目の方向けに、総合診療専門医に対する不安や疑問を気軽に語り合う、数名規模の「しゃべりば企画」を行っていますし、専攻医のための学習・資格取得支援プロジェクトとして「KONPass(近畿オフィシャルナビゲーションパスポート)」を年会費3,000円で提供しています。これは優秀なポートフォリオを閲覧できたり、P-FESの参加費が無料になったりするものです。また、毎月第一木曜日の夜9時からはオンラインで「ポートフォリオ相談会(ポートフォリオブラッシュアップセミナー)」を開催しており、専攻医を1人にせず、みんなで悩みを共有しながら成長を支える文化が根づいています。私たちの運営委員会メンバーも「家庭医・JPCAど真ん中」の若手や中堅が多く、自分たちもそうして先輩方に育ててもらったからこそ、次は後輩を全力で支えようという好循環が生まれていると言えますね。
― 多職種連携、特に医師以外の職種の活動についても非常に活発だと伺いました。
はい。特に薬剤師ワーキンググループの活動は非常に活発で、竹内あずさ先生が中心となって、滋賀のユニークな薬局などをみんなで楽しく視察する「大人の遠足」などのイベントを企画しています。また、昨年から活動していた「近畿ブロック支部看護師部会」も、水川真理子さんらの積極的な働きかけによって、今年の代議員会で正式に認可されました。学会全体でも薬剤師会員のみならず、看護師をはじめとする多職種が参加しており、こうした多職種の存在が近畿ブロックの大きな活力になっています。さらに、朝倉健太郎先生が担当しているポッドキャスト(LEGEND of GP in KPCA)では、近畿のレジェンドたちのライフヒストリーなどの音声を配信しており、誰でもプライマリ・ケアの魅力に触れられる開かれた環境を作っています。
「300人の壁」を越えるマンパワーの強化。府県の壁を超え、市民へ届く医療を目指して。
― 一見すると非常に充実した体制に見えますが、現在の課題や今後の展望はいかがでしょうか。
課題もあります。一つは「府県間の温度差」です。近畿には古くから熱心な実地医家の先生方が多く、全体として活動が盛んな一方で、大学の総合診療科との結びつきが弱い府県や地域もあります。2府4県全体のバランスを考えたとき、滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山のすべてが足並みを揃えて底上げされ、コミュニケーションを密に取ることで、近畿ブロック支部全体の力が初めて発揮されます。
もう一つの課題は、近畿に限った問題ではないのですが、「総合診療専門医のマンパワー不足」です。全国で総合診療専門医を目指す専攻医の年間採用数は、2025年度に300人、2026年度は282人で、300人前後にとどまっています。私自身は、少なくとも年間500人程度まで増やしていく必要があると考えています。実際、病院に総合診療科があっても、医師が1~2名しかおらず、外来の振り分けが中心になるなど、十分な機能が発揮できずにいるケースもあります。
もう一つの課題は、近畿に限った問題ではないのですが、「総合診療専門医のマンパワー不足」です。全国で総合診療専門医を目指す専攻医の年間採用数は、2025年度に300人、2026年度は282人で、300人前後にとどまっています。私自身は、少なくとも年間500人程度まで増やしていく必要があると考えています。実際、病院に総合診療科があっても、医師が1~2名しかおらず、外来の振り分けが中心になるなど、十分な機能が発揮できずにいるケースもあります。
― その高い壁を打ち破るために、どのような仕掛けを考えていますか。
まずはマンパワー全体の底上げ、つまり総合診療を選ぶ新規専攻医を増やすことが不可欠です。第17回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会でも、若い人にしっかり『つながる、つなげる』ことを重視し、若手との接点づくりに力を入れました。今蒔いている種が数年後に花を開き、年間採用数が300人台を安定して超え、320人、350人、そして400人と段階的に増えていけば、日本の地域医療を支える力も着実に強まると考えています。また、一般市民の方への認知拡大も重要です。メディアで「総合診療」が取り上げられる機会は増えてきましたが、「じゃあ、どこに行けば会えるの?」という具体的な疑問に十分答えられていません。これは標榜科の問題が未解決で、個々の医療機関の宣伝と受け取られない形でアピールする難しさもありますが、今後は市民に向けてより広くアピールできる公開講座やセミナーなどのアウトリーチ活動を強化し、外へ向けて安心感を届けていきたいと考えています。
― 最後に、まだ支部活動に関わっていない方や、これからプライマリ・ケアの門を叩こうとしている方へメッセージをお願いします。
近畿ブロック支部の魅力は、歴史に裏打ちされた安定した体制と、お互いを思いやり助け合う温かいコミュニティです。何か困ったとき、迷ったときにすぐ相談できる、頼れるネットワークがここにあります。若手医師や学生、薬剤師、看護師、そして行政や地域住民の方々も含めて、一人で抱え込まずにこのネットワークにぜひ加わってほしいですね。お互いに良い刺激を与え合いながら、近畿、そして日本の未来の地域医療を私たちと一緒に形作っていきましょう!皆様の積極的なご参画を心からお待ちしています。
― 近畿ブロック支部 ホームページもご覧ください
最終更新:2026年09月04日 10時28分















