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プライマリ・ケア現場でのうつ病診療/15分の認知行動療法②-非言語的精神療-

認知行動療法はプライマリ・ケア領域の診療の場面で活用可能か?

ある家庭医との問答がきっかけとなり、「活用可能なはず」の仮定のもと、多くの精神科医が精神分析の部分的応用を実践しているように(認知行動療法は精神分析が起源ともいえる)、プライマリ・ケア医が施行できる、短くも凝縮された15分間枠組みの「切り売り」認知行動療法について論考している。前号では、基本の姿勢について述べたので、第2回の本稿では、筆者が実際に行っている部分使用の具体例について述べる予定であったが、執筆中に同様の着眼点の書籍がすでに諸先輩により発刊されていると知り、筆が止まってしまった。
緩和ケア領域の研究では、医師以外のコメディカルが実践の中心となる、簡単な技法の認知行動療法が抑うつ症状の改善に役立つと報告されており、時間の短縮と簡略化、施行可能な治療者の拡大が、この技法の全体的な傾向となっている。当初予定していた筆者が面接の場面で使っている具体的なキーワードについては次号以降に他書の引用を交えて紹介することとして、本稿では、面接技法からすこし角度を変えて、言語以外にクライアントの心に訴えかけるための「非言語的」認知行動療法について私見を述べる。

距離感

すこし古いたとえになるが、精神療法的にかかわるのが困難とされる依存症医療におけるクライアントとのかかわり方について、適切な距離感のたとえとして「親切なたばこ屋の娘」というものがある(現在ではさしずめ、親切なコンビニ店員か?)。目的地(治療のゴール)に向かう途中、道がわからなくなったとき、たまたま出会ったたばこ屋の店員が、適切な案内をしてくれれば、未知の土地(病いを得た状態)でも、目的地に到達できる。
ここで店員が自分の持ち場を一歩も離れないのが、重要なポイントである。いくら相手が困っているからといって、店を離れてまで旅行者の手を引いて目的地まで案内してしまうのはやりすぎで(これを逆転移という)、的確な道案内で相手の目的達成に役立ち、自身の立ち位置を崩さないのが基本の構えと考える。この距離感は、筆者は依存症以外の方にとっても継続可能で効果的な距離感と考えている。

精神療法家の服装考

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最終更新:2024年05月08日 00時00分

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