ホームニュース理事長 草場先生の部屋診療報酬が促すプライマリ・ケア

ニュース

理事長 草場先生の部屋

診療報酬が促すプライマリ・ケア

今年は2年に1度の診療報酬改訂の年でした。今回から改訂が実行されるのが6月からということもあり、今はまさに改訂への対応でバタバタしている医療機関も多いことと思います。特に今回の改訂は外来診療・在宅診療・入院診療・介護などが連動しながら幅広い影響を受ける内容になっており、細部に対して丁寧な対応が求められます。

プライマリ・ケアを正当に評価する方向を向いている

具体的には、診療所や中小病院の外来診療については特定疾患療養管理料の対象から高血圧・脂質異常症・糖尿病が外れたこともあり、その代わりに生活習慣病指導管理料Ⅱが新設されるという大きな動きがありました。これについては批判的な声が大きいかと思いますが、私はこの流れはプライマリ・ケアを正当に評価する方向を向いていると捉えています。生活習慣病指導管理料は生活習慣病への行動変容アプローチ、更には栄養士や看護師も含む多職種アプローチを評価するものと考えて良いですし、ⅡでなくⅠを算定するとよりその色彩が強くなります。今まで、こうした要素は診療報酬ではほとんど評価対象になっていませんでしたが、ようやく日が当たり始めたと考えて良いでしょう。
更に、多疾患を合併し生活機能の低下が見られる中高年患者に対する算定が主に想定される地域包括診療料も同じようなコンセプトの包括払いの診療報酬です。こうした患者に対しては単なる検査・投薬だけでなく、包括的ケアや統合ケア、そして患者中心の医療といった枠組みが必須であり、自然と提供するケアは複雑になります。この報酬はそうした高度なプライマリ・ケアに対する対価と考えて良く、金額もたいへん高く設定されています。
現在の仕組みでは診療報酬による高い評価はそのまま患者の自己負担増加につながるという課題があるのはもちろんですが、私たちプライマリ・ケアの立場の医療機関はこうした出来高払いから包括払いという方向については積極的に適応していくことが重要だと考えています。日本の外来診療では常識とされていた薄利多売の思想を、高品質の医療を相応の対価で提供する思想へと変えていく端緒とすべく、しっかり対応して参りましょう!

  草場鉄周

最終更新:2024年05月07日 19時17分

「プライマリ・ケア公式WEB」 編集担当

記事の投稿者

「プライマリ・ケア公式WEB」 編集担当

タイトルとURLをコピーする