ホームニュースCurrent topics - プライマリ・ケア実践誌プライマリ・ケア診療各論(漢方)/漢方薬が効きません…②-こむら返りに芍薬甘草湯-
ニュース
Current topics - プライマリ・ケア実践誌
プライマリ・ケア診療各論(漢方)/漢方薬が効きません…②-こむら返りに芍薬甘草湯-
はじめに
前号から漢方薬が頻用される疾患・病態に対して漢方薬が無効だった場合にどのように考え、治療すべきかを解説する「漢方薬が効きません・・・」シリーズをはじめた。定番の漢方薬が効かない症例は、漢方治療の腕前が上達するチャンスである。今回は、「こむら返りに芍薬甘草湯が効かない」場合を解説する。
こむら返りと芍薬甘草湯(No.68)
こむら返りに芍薬甘草湯が使用されることは広く知られており、またその有効性も高く、60〜100%と報告されている。芍薬甘草湯は芍薬と甘草の二つの生薬から構成され、芍薬に含まれるペオニフロリンによるカルシウムイオンの細胞内流入抑制と甘草に含まれるグリチルリチンのカリウムイオンの細胞外流出促進の相互作用により筋弛緩作用を示すと考えられている。
こむら返りに対する芍薬甘草湯による治療の問題点として偽性アルドステロン症のリスクがあげられる。偽性アルドステロン症の発症頻度に関して、過去の臨床研究を調査した報告では、甘草1日あたりの使用量が、1g、2g、4g、6gで、それぞれ1.0%、1.7%、3.3%、11.1%と用量依存的に増加するとされる。芍薬甘草湯は漢方エキス製剤のなかで最も多く甘草を含有し、常用量3包(7.5g)分3では、6.0g/日の甘草が投与される。よって、芍薬甘草湯エキス3包分3を長期に処方することは偽性アルドステロン症の発症リスクが高いため、お勧めできない。芍薬甘草湯エキスは、足がつったとき、またはつりそうなときに頓用での投与が原則である。毎晩こむら返りを起こす患者の場合には、1包2.5g分1を就寝前に定期内服してもらうことになるが、その場合も期間を限定するか、つりそうなときだけに内服するように指導しながら、偽性アルドステロン症の症状である浮腫や血圧上昇がないか確認しながら診察を行う。連用しないよう注意することで、運動前や運動した日の就寝前、長く歩いたり、汗をたくさんかいた日など、患者がこむら返りの起こりそうな予感があるときに患者自身で判断して内服できるようになることが筆者の外来では多い。
また、こむら返りに芍薬甘草湯が効かない症例も存在する。その場合には、芍薬甘草湯に工夫をして投与するか、こむら返りの予防薬として別の漢方薬を投与することで治療効果を高めることができる。以下に、こむら返りに芍薬甘草湯が無効であった場合を解説する。
こむら返りに対する芍薬甘草湯
(1)頓用での治療が原則
(2)連日投与の場合も2.5g1包分1(期間を限定、つりそうなとき)効かない場合は…
(1)芍薬甘草湯に工夫を加える
(2)予防薬なる漢方薬を投与する
こむら返りに対する芍薬甘草湯による治療の問題点として偽性アルドステロン症のリスクがあげられる。偽性アルドステロン症の発症頻度に関して、過去の臨床研究を調査した報告では、甘草1日あたりの使用量が、1g、2g、4g、6gで、それぞれ1.0%、1.7%、3.3%、11.1%と用量依存的に増加するとされる。芍薬甘草湯は漢方エキス製剤のなかで最も多く甘草を含有し、常用量3包(7.5g)分3では、6.0g/日の甘草が投与される。よって、芍薬甘草湯エキス3包分3を長期に処方することは偽性アルドステロン症の発症リスクが高いため、お勧めできない。芍薬甘草湯エキスは、足がつったとき、またはつりそうなときに頓用での投与が原則である。毎晩こむら返りを起こす患者の場合には、1包2.5g分1を就寝前に定期内服してもらうことになるが、その場合も期間を限定するか、つりそうなときだけに内服するように指導しながら、偽性アルドステロン症の症状である浮腫や血圧上昇がないか確認しながら診察を行う。連用しないよう注意することで、運動前や運動した日の就寝前、長く歩いたり、汗をたくさんかいた日など、患者がこむら返りの起こりそうな予感があるときに患者自身で判断して内服できるようになることが筆者の外来では多い。
また、こむら返りに芍薬甘草湯が効かない症例も存在する。その場合には、芍薬甘草湯に工夫をして投与するか、こむら返りの予防薬として別の漢方薬を投与することで治療効果を高めることができる。以下に、こむら返りに芍薬甘草湯が無効であった場合を解説する。
こむら返りに対する芍薬甘草湯
(1)頓用での治療が原則
(2)連日投与の場合も2.5g1包分1(期間を限定、つりそうなとき)効かない場合は…
(1)芍薬甘草湯に工夫を加える
(2)予防薬なる漢方薬を投与する
芍薬甘草湯に工夫を加える
ここから先は
日本プライマリ・ケア連合学会の
会員記事です
最終更新:2024年10月16日 00時00分