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どうせ偽痛風でしょ!ちがう?/ 本当はこわーい関節炎

ケース

●主訴:左肩の痛み

●現病歴:自宅の畑で農作業を行うADLの自立している90歳男性。独居であり、長女が週に2回ほど買い物や食事を届けて生活支援をしていた。来院3日前より左肩の疼痛を認め、左肩の上げ下げがしにくくなっていた。疼痛は徐々に増強し、肩全体に熱感を認めるようになった。来院当日朝、長女が自宅を訪れると、元気ではあるが左肩の疼痛を強く訴えた。そのため当院救急センターに独歩での受診となった。来院時、左肩の熱感は著明で可動域はかなり制限されていた。悪寒・戦慄は認めなかった。気道症状や尿路系の症状の訴えは認めなかった。

●既往歴:前立腺肥大症 高血圧症

●内服歴:ヒドロクロロチアジド、ロサルタン、ビソプロロール

●身体所見:全身状態は良好。意識清明。バイタルサイン:血圧 132/84mmHg、脈拍数 78回/分(整)、呼吸数16回/分、体温37.4℃、SPO297%(室内気)頭頸部・胸部所見特記なく、心雑音を認めなかった。左肩関節周囲の腫脹・熱感・圧痛を認めた。四肢末梢や皮膚所見で感染性心内膜炎を示唆する所見を指摘できなかった。

●左肩X線:図1

●血液検査:WBC 8.8×103/μL、Hb 8.5g/dL、Ht 24.6%、血小板 14.7万/μL、総蛋白 6.0g/dL、アルブミン 3.6g/dL、総ビリルビン1.0g/dL、直接ビリルビン 0.4g/dL、GOT 34IU/L、GPT 35IU/L、ALP 502IU/L、γ GTP 38IU/L、Na 142 mEq/L、K 3,5mEq/L、Cl 101mEq/L、BUN 40mg/dL、Cre 1.64mg/dL、CRP 15.8mg/dL、ESR 102.0mm/h

(実際のケースをアレンジしたものです)
  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-569-1.jpg

はじめに

関節炎の原因は多岐にわたる。そのなかでも見逃すと致命的かつ大きな後遺症を残す疾患が「化膿性関節炎」である。アンダートリアージによる見逃しを避けるには、どのようにしたらよいのか、本症例を通して、化膿性関節炎のマネージメントについて考察してみる。

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最終更新:2023年10月31日 14時52分

実践誌編集委員会

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