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冷えのミカタ② -上熱下寒(冷えのぼせ)-

はじめに

漢方治療の特徴は「冷え」を重視することである。冷えの漢方治療を行うと、冷えだけでなく、さまざまな症状や病態が改善することを経験する。本連載で漢方の冷えの「診方」を学び、冷えに悩む患者さんの「味方」になってほしい。今回は、下半身は冷えるが上半身にはのぼせのある「上熱下寒(じょうねつげかん)」型について解説する。

上熱下寒とは

前回、「冷え」は大きく全身型、上熱下寒型、四肢末端型の三つに分類されることを解説した。このなかでいわゆる真の冷えは全身型で、漢方医学的には「寒(かん)」が主体の病態、「陰証(いんしょう)」の冷えである。適応を誤らずに全身型の冷えに対して附子(ぶし)や乾姜(かんきょう)などの生薬を含む温める漢方治療を行うため、まず他の上熱下寒型、四肢末端型の冷えを除外する必要がある。
上熱下寒型は、下半身は冷えるが上半身、とくに顔面は暑いと感じる冷えのぼせの状態である。これは、「気が動転して、顔が真っ赤になる」というように、主に上半身から下半身へ巡るべき「気(き)」が逆流したために生じる「気逆(きぎゃく)」による症状と考える。全身型との鑑別点として、上熱下寒型の冷えは、入浴や暖房はすぐにのぼせてしまうので好まない、体が火照るので冷たい飲み物や冷房を好むなどの特徴が典型である。また気逆による症状は冷えのぼせ以外にも、動悸・物事に驚きやすい・焦燥感などがある。上熱下寒の成因として、冷え症の自律神経バランスを調査した報告では、冷えのぼせタイプでは電子瞳孔計による中枢性の自律神経バランスは副交感神経優位で、0°Cの氷水に10分間足を漬ける氷水浸漬試験で血管収縮性交感神経の緊張があったことから、自律神経系のアンバランスが考えられている。また、下肢の冷えと顔面紅潮を目標に気逆の漢方治療を行った症例報告では、下肢血管の過剰収縮により放熱が妨げられた結果、代償性に顔面頭部の表在血管が拡張し、放熱を図ろうとする交感神経活動の部位的な不整合性が気逆のメカニズムの一因と推測されている。

★上熱下寒型の冷え
→下肢が冷えるが上半身に熱感がある
(動悸、驚きやすい、焦燥感などを伴う場合がある)

上熱下寒型の治療

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最終更新:2024年01月18日 00時00分

実践誌編集委員会

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