ホームニュースナースのお仕事【地域で活躍する看護師紹介⑪】ホームケアクリニック横浜港南 吉田千佳さん 上村智子さん 編

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【地域で活躍する看護師紹介⑪】ホームケアクリニック横浜港南 吉田千佳さん 上村智子さん 編

プライマリ・ケア領域で活躍する看護師を知っていますか?
シリーズでお伝えする【地域で活躍する看護師紹介】。

今回は、横浜市港南区にある「ホームケアクリニック横浜港南」で勤務している吉田千佳さんと上村智子さんの活動を紹介します。
吉田さんと上村さんには、Q&Aに答える形で、看護師の仕事内容やご自身の活動などについてお話を聞かせていただきました。

Q.どのようなプライマリケアの現場で働いていますか? 仕事内容を教えてください!

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    クリニックの外観
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    クリニックの内観
私たちは横浜市港南区にある「ホームケアクリニック横浜港南」で働いています。
港南区は、人口は21.5万人、高齢化率は29.2%に達しており、港南区及び周辺地域は既に超高齢社会を迎えています。
 
当クリニックは医師9名(うち非常勤3名)、看護師13名(うち非常勤3名)で外来と訪問診療を行っており、土日も診療しています。
さらに医事、ケアマネジャー、管理栄養士、音楽療法士、医療ソーシャルワーカー(MSW)と多職種が在籍しています。

訪問診療では、機能強化型在宅療養支援診療所かつ在宅緩和ケア充実診療所として、認知症、がん末期の方、難病の方など、小児から高齢者まで幅広く診療しています。
高齢者施設の訪問診療も行っています。

看護師は、医師とともに患者さんのご自宅や施設へ伺います。
診療補助をしながら、患者さんがよりよい在宅療養をしていくために必要なことは何なのかを常に考え、看護師の視点から患者さんを支えられるように心掛けています。
また、その人らしい生活が送れるように様々な調整をしながら、ご家族や施設スタッフ、サービス関係者と連携しています。
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    施設訪問診療に向かうところ
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    施設診療:利用者さんの足のむくみを観察中
また、院内では容態の変化に対する往診の手配、療養の電話相談、新規診療依頼の電話にコーディネーターとして対応しています。

外来診療では、予防接種や健康診断から慢性疾患など、様々な患者さんが来院されます。
これまで外来通院されていた方でも病気の状態によって通院困難となった場合は、随時外来通院から訪問診療へ切り替えが可能です。
訪問診療への切り替え時は、訪問サービスや通所サービスの確認、ご家族のご都合などから訪問日程の調整を行います。
訪問診療同行時、外来診療時、コーディネーターの際は、トリアージの能力やコミュニケーション能力、各制度の知識などを総動員して看護をしています。

毎日の業務に加え、担当を決めて行っている業務もあります。
分担して行っている業務には、医師のスケジュールや新規診療の調整などを行う地域担当、施設関連の調整を行う施設担当、医療保険材料を始めとする物品調整を行う物品担当、緩和ケア支援担当、地域のイベント担当、外来業務調整担当、精神科外来調整担当、ワクチン関連調整担当、看護学生実習担当、災害関連検討担当と多くあり、いずれも看護師が中心となって頑張っています。

看護師間では、月1回、ナースカフェミーティングを行い、日々の業務で気になっていることなどを話し合っています。
お茶を飲みながら堅苦しくならないような雰囲気で行って皆が意見を出しやすいようにしたり、業務の改善点や患者様の対応などを検討して看護師みんなで看護チーム力を高めています。

また、毎日朝、夕に院内で医師、看護師、医事、ケアマネジャー、管理栄養士、音楽療法士を交えてカンファレンスを行い、気になる方については多職種での検討もおこなっています。
外来、在宅問わず、地域で生活する方々を支えるスタッフとしてそれぞれが活躍しています。

Q.プライマリ・ケア領域で働く魅力(やりがい)はなんですか?

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    施設診療後の打ち合わせ 医師、薬剤師、施設スタッフと利用者さんについての話し合い
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    院内での医師との打ち合わせ
「患者さんの生活を支える」ことだと感じています。

実は、訪問診療同行看護師として働き始めたときは、かなり戸惑いと驚きがありました。
病棟と在宅療養とでは療養の環境が全く違っていたからです。
処方された薬はほとんど飲めていなかったけれども病院では飲んでいると言っているので家に薬があふれている方、入浴したい(させてあげたい)けれど介護力が不足しているために1年以上入浴できていない方、老々介護を含め家族が介護に疲れ果てている方などのケースを目の当たりにしました。
患者さんもご家族も「何とかしたいけれど、どうしたらよいのかわからない」と思っている方から「もうどうしようもない」と諦めている方まで様々いらっしゃいます。
このような中で診療補助以外に、私たちにできることは何であろうかと考えていた時に、学会認定プライマリ・ケア看護師の制度があることを知りました。

 学会認定プライマリ・ケア看護師として

当院では学会認定プライマリ・ケア看護師が2名在籍しています。
認定を受けるにあたり、事例レポートをまとめるのは難しかったので、お互い相談し励まし合いながら挑戦できたことは心強かったです。
また、認定を受けるために勉強をしていく中で、地域の診療所で働いているという選択に自信が持てるようになりました。

認定を取得してからは、患者さんがご自身の「家=HOME」でどのように療養できるか、また、より良い療養のためにはどうしたら良いかを提案して、患者さんと一緒に検討することをより心がけるようになりました。
一緒に検討していくことで患者さんから学ぶことも沢山ありますし、専門職としてまだまだ知識をアップグレードしていく必要性に気づかされることもあります。
また、在宅療養には地域の様々なサービスや多職種が関わります。
私たちはプライマリ・ケア看護師として、多職種で患者さんや家族の生活を支えられるように、多職種との橋渡し役を担うようにしています。

また、クリニックの他の看護師からも療養の相談を受けたり、困ったケースについては学会認定プライマリ・ケア看護師同士でお互いに相談しながら、ケアの方法などを一緒に検討しています。
学会認定プライマリ・ケア看護師の資格を取るために、学会の研修会等に2人で一緒に参加したことから、その研修会での学びを共通言語として、日々の実践を振り返ったり、日々の活動に生かしていこうと話し合うことができます。

外来診療でも訪問診療でも、患者さん、ご家族、人それぞれが歩んできた人生と価値観が存在しています。
ある人にとってはベストであることも別のある人にはそうでないかもしれない。
何かが正解で何かが間違っているということではなく、その人を知り、その人らしさを受け止めることが必要です。
我々2名の学会認定プライマリ・ケア看護師の日々の実践や学会活動により、院内のスタッフからも、プライマリ・ケアに関心を持ってもらえるようになりました。
このような学会認定プライマリ・ケア看護師の輪を広げていきたいです。

Q.プライマリ・ケア領域で働く看護職や働こうと考えている仲間へのメッセージ

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    在宅の患者さんへの体調確認
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    看護師仲間と
看護師の働く職場は多岐に渡りますが、その中でもプライマリ・ケア看護師はその人の人生に一番身近な存在であると思います。
また、住み慣れた地域の中でプライマリ・ケア看護師が貢献できることは多いです。

診療所の外来ではワクチンや健診といった、あらゆる世代の未病の方と出会うことができます。
その世代にある悩みに相談できる存在になりたいと思います。

私たちもまだまだ学びの最中ですが、学会活動への参加は日々更新されていく新しい知識を獲得できます。
頑張っている全国の仲間が活躍している姿を見ると刺激を受け、やる気もチャージできます。

皆様、ぜひ学会でお会いしましょう!

編集後記

今回は、日本プライマリ・ケア連合学会 学会認定プライマリ・ケア看護師の資格をお持ちの吉田さんと上村さんに、プライマリ・ケア領域で働く看護の魅力を教えていただきました。

「ナースのお仕事」では、素敵な看護師の活動を引き続き紹介していきたいと思います。

あなたもぜひプライマリ・ケア領域の看護師の仲間になりませんか?
お待ちしています!

最終更新:2024年11月01日 22時48分

看護師部会 広報活動支援部門

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看護師部会 広報活動支援部門

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