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AYA世代がんサバイバーを地域で支える:第30回日本緩和医療学会レポート
AYA世代がんサバイバーの晩期合併症対策とプライマリ・ケアの役割
がん診療とプライマリ・ケアワーキンググループの菅家智史(福島県立医科大学 総合内科・総合診療学講座)です。2025年7月4日・5日、福岡国際会議場で開催された第30回日本緩和医療学会へ、AYA世代のがんサバイバーシップケアに関するシンポジウム登壇のため参加しました。
会場では本学会でお会いする方々にも多く再会し、改めて緩和医療とプライマリ・ケアのつながりを実感しました。緩和医療分野で日頃からお会いできる先生方にもお会いし、緩和医療の非専門医でもがん性疼痛を適切に実施できるよう構築された「がん疼痛治療アルゴリズム」の構築・評価研究についてのレクチャーなど、日頃の診療に役立てられる内容で大変勉強させていただきました。
参考)がん緩和ケアと地域連携 苦痛緩和の体系的治療とアルゴリズム
がん関連苦痛症状の体系的治療の開発と実践および専門的がん疼痛治療の地域連携体制モデル構築に関する研究班
https://www.jigyou.com/cancer-pain-symptom-management/pain_relief.html
今回印象的だったのは、緩和医療学会においても「がんサバイバーシップケア」が話題となっていたことです。がん治療期から長期フォローアップ、そして人生の最終段階まで──患者さんを「切れ目なく支える」ことの重要性は、緩和医療とプライマリ・ケア双方に共通するテーマです。実際に現場で患者さんやご家族と向き合うなかで、プライマリ・ケア医が果たすべき役割はますます大きいと改めて感じました。
そんな中、私は[合同シンポジウム5]「AYA世代がん患者のより良いサバイバーシップを実現する晩期合併症対策」に登壇し、福島での取り組みを紹介しました。
会場では本学会でお会いする方々にも多く再会し、改めて緩和医療とプライマリ・ケアのつながりを実感しました。緩和医療分野で日頃からお会いできる先生方にもお会いし、緩和医療の非専門医でもがん性疼痛を適切に実施できるよう構築された「がん疼痛治療アルゴリズム」の構築・評価研究についてのレクチャーなど、日頃の診療に役立てられる内容で大変勉強させていただきました。
参考)がん緩和ケアと地域連携 苦痛緩和の体系的治療とアルゴリズム
がん関連苦痛症状の体系的治療の開発と実践および専門的がん疼痛治療の地域連携体制モデル構築に関する研究班
https://www.jigyou.com/cancer-pain-symptom-management/pain_relief.html
今回印象的だったのは、緩和医療学会においても「がんサバイバーシップケア」が話題となっていたことです。がん治療期から長期フォローアップ、そして人生の最終段階まで──患者さんを「切れ目なく支える」ことの重要性は、緩和医療とプライマリ・ケア双方に共通するテーマです。実際に現場で患者さんやご家族と向き合うなかで、プライマリ・ケア医が果たすべき役割はますます大きいと改めて感じました。
そんな中、私は[合同シンポジウム5]「AYA世代がん患者のより良いサバイバーシップを実現する晩期合併症対策」に登壇し、福島での取り組みを紹介しました。
AYA世代のがんサバイバーシップケアの課題
AYA(Adolescent and Young Adult:15〜39歳)世代でがんを経験した方々は、治療後もさまざまな課題に直面します。
晩期合併症:抗がん剤や放射線治療に伴う心血管毒性、内分泌障害、不妊、二次がんなど
社会的課題:学業・就労への影響、社会的孤立
心理的課題:再発不安、将来設計の難しさ
しかし、長期フォローアップ体制は全国的に整備途上であり、拠点病院だけでは十分に対応しきれません。医療機関・相談支援・心理職・行政が連携し、地域ごとの支援モデルを構築することが求められています。本シンポジウムではこの現状と課題、今後の展望を議論しました。
私の発表テーマは、「がんサバイバーの長期健康管理における拠点病院と地域医療機関の連携」です。
福島県立医科大学附属病院では、拠点病院がだけが中心となる「単一ハブ」型ではなく、地域医療機関を「第二のハブ」として位置付けるサバイバーシップケアモデルの構築に取り組んでいることをご紹介しました。
プライマリ・ケアは、がんサバイバーにとって身近な相談窓口であり、“第二のハブ"の担い手として重要な役割を果たせると考えますし、がん治療医・拠点病院からの期待も感じます。しかし、プライマリ・ケア従事者には次のような課題もあります。
サバイバーシップケアに関する知識・経験の不足
若年層のがんサバイバーに関連する多職種・多機関との連携体制が未整備
限られた外来時間で対応せざるを得ない現状
これらの課題を踏まえて、がん治療医だけでなく、プライマリ・ケア医・拠点病院・行政・地域資源が有機的に連携することで、AYA世代を含むがんサバイバーが「安心して将来を描ける社会」を作っていけるよう取り組んでいきたいと考えています。
今後も、がん診療とプライマリ・ケアワーキンググループでは、がんを経験したサバイバーの方々がよりよいケアを受けやすくなる社会をめざして取り組んでいきます。
晩期合併症:抗がん剤や放射線治療に伴う心血管毒性、内分泌障害、不妊、二次がんなど
社会的課題:学業・就労への影響、社会的孤立
心理的課題:再発不安、将来設計の難しさ
しかし、長期フォローアップ体制は全国的に整備途上であり、拠点病院だけでは十分に対応しきれません。医療機関・相談支援・心理職・行政が連携し、地域ごとの支援モデルを構築することが求められています。本シンポジウムではこの現状と課題、今後の展望を議論しました。
私の発表テーマは、「がんサバイバーの長期健康管理における拠点病院と地域医療機関の連携」です。
福島県立医科大学附属病院では、拠点病院がだけが中心となる「単一ハブ」型ではなく、地域医療機関を「第二のハブ」として位置付けるサバイバーシップケアモデルの構築に取り組んでいることをご紹介しました。
プライマリ・ケアは、がんサバイバーにとって身近な相談窓口であり、“第二のハブ"の担い手として重要な役割を果たせると考えますし、がん治療医・拠点病院からの期待も感じます。しかし、プライマリ・ケア従事者には次のような課題もあります。
サバイバーシップケアに関する知識・経験の不足
若年層のがんサバイバーに関連する多職種・多機関との連携体制が未整備
限られた外来時間で対応せざるを得ない現状
これらの課題を踏まえて、がん治療医だけでなく、プライマリ・ケア医・拠点病院・行政・地域資源が有機的に連携することで、AYA世代を含むがんサバイバーが「安心して将来を描ける社会」を作っていけるよう取り組んでいきたいと考えています。
今後も、がん診療とプライマリ・ケアワーキンググループでは、がんを経験したサバイバーの方々がよりよいケアを受けやすくなる社会をめざして取り組んでいきます。
最終更新:2025年08月25日 17時17分