ホームニュースプライマリ・ケア Field LIVE!vol.42/「互いに刺激し視野を広めながら、ともに活躍できる家庭医へ」【専攻医】山田龍之介先生・浦田恵里先生
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プライマリ・ケア Field LIVE!
vol.42/「互いに刺激し視野を広めながら、ともに活躍できる家庭医へ」【専攻医】山田龍之介先生・浦田恵里先生
今回ご登場いただく山田龍之介先生と浦田恵里先生は家庭医としての活躍が期待される若き専攻医。ご夫婦でもあるお二人は初期研修の時に出会い、浦田先生が山田先生にプライマリ・ケアの魅力を伝えたとのことです。そんなお二人からこれまでの歩みとプライマリ・ケアに対する思い、これからの夢などについて様々に語っていただきました。
プライマリ・ケアとのそれぞれの出会い
― 最初にお二人が医師を目指すようになったきっかけからお伺いしたいと思います。
浦田:私の祖母が難病になり、母がよく病院の付き添いをしていたんです。そういう祖母と母の姿を見て、医学的にアドバイスができるようになりたいと思ったことが原点ですね。そして患者だけではなく、その患者を支える家族のサポートもしたいと思っていました。
山田:私は医療系ドラマを見るのが好きで、漠然と「医者ってカッコイイな」と憧れを持っていました。それがより現実的な思いに変わったのは小学校時代の親友が脳腫瘍になってしまったことが大きかったですね。見舞いに行く中で彼は医師に対する憧れを持っている様子でした。自分も「医師になろう」と考えるようになった記憶があります。母も一度大きな手術を経験したことがあり、医師の仕事の重要性を実感したということもあげられますね。
山田:私は医療系ドラマを見るのが好きで、漠然と「医者ってカッコイイな」と憧れを持っていました。それがより現実的な思いに変わったのは小学校時代の親友が脳腫瘍になってしまったことが大きかったですね。見舞いに行く中で彼は医師に対する憧れを持っている様子でした。自分も「医師になろう」と考えるようになった記憶があります。母も一度大きな手術を経験したことがあり、医師の仕事の重要性を実感したということもあげられますね。
― プライマリ・ケアに興味を持ったのはいつ頃でしょうか?
山田:
大学を受験する際に「医療」についていろいろと調べたことがあります。その時に地域医療のことを知り、将来的に関わっていきたいと思ったのが最初ですね。大学ではどの診療科にも興味を持っていたこと、医師不足地域で働くには様々な患者を見れる医師がよいのではないかと思ったことから総合診療に興味を持ちました。長野県内だと諏訪中央病院に総合診療の先生がいらっしゃると知っていました。ただ正直、当時はあまり総合診療、特に家庭医療については深くは知りませんでした。
その後研修医として、その諏訪中央病院にお世話になったのですが、そこで同期として一緒に学んでいた浦田から総合診療・家庭医療の魅力を聞かされました。その時にとてもインパクトを受けて「自分の目指していた医師像はこれなのかもしれない」と思いました。
浦田:私は地域医療に漠然と興味を抱いていたんですが、そんな折に大学構内で「地域医療実習生募集」というポスターを目にしたんです。気になって申し込み、そのときお世話になったのが岐阜県の揖斐川町にある久瀬診療所です。訪問診療や外来の様子などを見学させていただいて、「こういうのを家庭医療って言うんだよ」と教えてもらいました。大学4年生の時でしたね。この体験をきっかけにプライマリ・ケアへの関心が高まって日本プライマリ・ケア連合学会のセミナーにも参加するようになりました。いろんな先生と出会ったり、プライマリ・ケアに関する知識が広がる中で「自分の目指す医療はこれだ」と確信するようになりました。大学でもこの分野のことを広めたいと思い、サークルを立ち上げ(PISCO:大阪医科薬科大学プライマリ・ケア勉強会)、大学内外で活躍されている家庭医の先生に講師をしていただきました。今もそのサークルは活動が続いています。
大学を受験する際に「医療」についていろいろと調べたことがあります。その時に地域医療のことを知り、将来的に関わっていきたいと思ったのが最初ですね。大学ではどの診療科にも興味を持っていたこと、医師不足地域で働くには様々な患者を見れる医師がよいのではないかと思ったことから総合診療に興味を持ちました。長野県内だと諏訪中央病院に総合診療の先生がいらっしゃると知っていました。ただ正直、当時はあまり総合診療、特に家庭医療については深くは知りませんでした。
その後研修医として、その諏訪中央病院にお世話になったのですが、そこで同期として一緒に学んでいた浦田から総合診療・家庭医療の魅力を聞かされました。その時にとてもインパクトを受けて「自分の目指していた医師像はこれなのかもしれない」と思いました。
浦田:私は地域医療に漠然と興味を抱いていたんですが、そんな折に大学構内で「地域医療実習生募集」というポスターを目にしたんです。気になって申し込み、そのときお世話になったのが岐阜県の揖斐川町にある久瀬診療所です。訪問診療や外来の様子などを見学させていただいて、「こういうのを家庭医療って言うんだよ」と教えてもらいました。大学4年生の時でしたね。この体験をきっかけにプライマリ・ケアへの関心が高まって日本プライマリ・ケア連合学会のセミナーにも参加するようになりました。いろんな先生と出会ったり、プライマリ・ケアに関する知識が広がる中で「自分の目指す医療はこれだ」と確信するようになりました。大学でもこの分野のことを広めたいと思い、サークルを立ち上げ(PISCO:大阪医科薬科大学プライマリ・ケア勉強会)、大学内外で活躍されている家庭医の先生に講師をしていただきました。今もそのサークルは活動が続いています。
夫婦であることの強みと安心感
― 大学卒業後、お二人は諏訪中央病院で初期研修を受けられます。
山田:私はいろんな科を学びたいという思いがあって、それに当てはまる地元の病院を探していました。いくつか候補があがる中で選んだのが先ほども話が出た諏訪中央病院です。同院は地域ぐるみの活動をしていて、そこに魅力を覚えたのが理由の一つ。また、名誉院長の鎌田實先生のご著書を読んでいたので、先生への憧れもありました。決め手になったのは同院の温かみのある雰囲気で、学びが深く得られそうに思いました。結果としてここで浦田に出会いましたし、彼女からプライマリ・ケアのことを教えられたので、その選択はターニングポイントだったと言えますね(笑)。
浦田:諏訪中央病院では医師としての基礎を叩き込まれました。「主治医として患者さんにどうやって向き合うべきか」といった姿勢を教えてもらったと思います。医師としての責任感、あるいはプロフェッショナリズムと言えばいいでしょうか。例えば担当している患者さんに関して言うと、「主治医たるもの誰よりもその患者さんのことを知っているべき」と言われました。医学的には指導医に教えてもらう立場ですが、受け持った患者さんのことは担当の研修医が一番よく知っていなければならないということです。
浦田:諏訪中央病院では医師としての基礎を叩き込まれました。「主治医として患者さんにどうやって向き合うべきか」といった姿勢を教えてもらったと思います。医師としての責任感、あるいはプロフェッショナリズムと言えばいいでしょうか。例えば担当している患者さんに関して言うと、「主治医たるもの誰よりもその患者さんのことを知っているべき」と言われました。医学的には指導医に教えてもらう立場ですが、受け持った患者さんのことは担当の研修医が一番よく知っていなければならないということです。
― その後、専攻医としての研修先もずっと同じですね。
山田:これは別に夫婦だからと言うわけではなく(笑)、私たちが選んだ関西家庭医療学センターの総合診療専門医・家庭医療学専門医コースはプログラとして研修先が決まっているからなんです。私たちの場合は2022年が京都の金井病院、2023年が再び諏訪中央病院、そして2024年は滋賀の浅井東診療所ですね。現在はこの浅井東診療所で働いています。ずっと同じ研修先で働いているので、相手が置かれている状況はわかりますし、その分家庭では家事担当の配分を調整したりしています。また、仕事に関して相談事があるとすぐに話せるのはありがたいですね。
浦田:初期研修も後期研修もずっと同じ病院で働いてきましたが、これから先はまた違った方向に行くのかなとは思っています。それぞれの興味や得意分野が出てくるでしょうし、別の分野に進んだとしても二人で視野を広げていければと思いますね。根本の大事にしたいところは重なっているので、その点では夫婦であることの強みというか、安心感はあります。お互いにしたいことをしていけばいいし、協力していけるところがあれば協力していけばいいと思っています。
浦田:初期研修も後期研修もずっと同じ病院で働いてきましたが、これから先はまた違った方向に行くのかなとは思っています。それぞれの興味や得意分野が出てくるでしょうし、別の分野に進んだとしても二人で視野を広げていければと思いますね。根本の大事にしたいところは重なっているので、その点では夫婦であることの強みというか、安心感はあります。お互いにしたいことをしていけばいいし、協力していけるところがあれば協力していけばいいと思っています。
― ご夫婦揃って家庭医というのも珍しいですよね。
山田:珍しいかどうかはわかりませんが(笑)。先ほども言ったように、同じところで働いているので状況がわかってもらえるという点でストレスはありません。家でも仕事の話はするので診療の延長戦になっているという面もありますが、一番身近な人間に相談できるというのはやはり心強いですね。
浦田:夫婦ということでいえば、一人ではできないことを二人で力を合わせてできることもあるかもしれません。逆に夫婦だからこそ衝突してしまうことも多々あるので、互いに歩みよりながら新しいことにチャレンジしていけるといいなと思います。
浦田:夫婦ということでいえば、一人ではできないことを二人で力を合わせてできることもあるかもしれません。逆に夫婦だからこそ衝突してしまうことも多々あるので、互いに歩みよりながら新しいことにチャレンジしていけるといいなと思います。
自分たちの学び・経験を地域に還元していく
― 後期研修が終わった後はどうされる予定なのですか?
山田:具体的なことは決まっていないのですが、いつか長野には戻るつもりです。これまで様々な経験をしてきた中で、いろんなことに興味を持つようにもなりました。例えば中小規模の病院でホスピタリストとして働く楽しさも知りましたし、教育というものにも関心を持つようになりました。この先どこでどんなふうに働いていくかは未知なのですが、どのような形であっても自分たちの学びを長野に還元できたらなとは思います。これまで学んできた技術や知識を活かしながら診療に取り組み、その一方でプライマリ・ケアに関心のある後輩たちの指導にもあたっていきたいですね。
浦田:諏訪中央病院を例にとると、地域の人たちにとって同院は大きな存在で「病気になったら諏訪中央病院」という感じでした。その背景には地域に病院が少ないこともあるかもしれませんが、だからこそ医師としてできることはたくさんあるんじゃないかと思います。そういう地域へのアプローチのあり方を考えると、家庭医として自分が手がけていきたいことに合っているのかなという気もしますね。
浦田:諏訪中央病院を例にとると、地域の人たちにとって同院は大きな存在で「病気になったら諏訪中央病院」という感じでした。その背景には地域に病院が少ないこともあるかもしれませんが、だからこそ医師としてできることはたくさんあるんじゃないかと思います。そういう地域へのアプローチのあり方を考えると、家庭医として自分が手がけていきたいことに合っているのかなという気もしますね。
― 将来的に「こんな医師になりたい」という目標はありますか?
浦田:患者さんの意思決定を「そうしましょう」と、どんなことでも一緒に支えられる医師になりたいと思います。それは全ての要望に応えるというわけではなく、患者さんの価値観や人生観を尊重して行った意思決定を医師としての技術が伴わなかったがゆえにできないということにはしたくない。例えば「病院には行きたくない」という患者さんを在宅医療で支えたり、「苦痛のない範囲で全ての治療をしてほしい」という患者さんには選択できる限りの治療をしたい。もちろん自分ですべてをカバーしようとするのは難しいと思いますが、そういう場合には他の医師や多職種と連携することも視野にコーディネートできることも必要な力だと思います。
山田:私は常に患者さんのそばにいられる医師でいたいという気持ちがありますね。声をかけやすいとか相談をしやすい医師として親近感を持ってもらえればと思います。同時に、先ほども言いましたが、家庭医療の魅力というものを、教育という面から後輩たちに伝えていきたいとの思いもあります。自分自身がプライマリ・ケアとの出会いが遅かったと考えていることもあって、なおさらそうした気持ちが強いのかも知れません。プライマリ・ケアとの出会いを通じて自分の中に理想の医師像が確立されたと言えるので「教育」は大切だと本当に思います。自分の進む方向に悩んでいる医学生たちに道を示すことができれば、それもそれで医師として果たせる一つの役割だと思います。
山田:私は常に患者さんのそばにいられる医師でいたいという気持ちがありますね。声をかけやすいとか相談をしやすい医師として親近感を持ってもらえればと思います。同時に、先ほども言いましたが、家庭医療の魅力というものを、教育という面から後輩たちに伝えていきたいとの思いもあります。自分自身がプライマリ・ケアとの出会いが遅かったと考えていることもあって、なおさらそうした気持ちが強いのかも知れません。プライマリ・ケアとの出会いを通じて自分の中に理想の医師像が確立されたと言えるので「教育」は大切だと本当に思います。自分の進む方向に悩んでいる医学生たちに道を示すことができれば、それもそれで医師として果たせる一つの役割だと思います。
プロフィール
関西家庭医療学センター 浅井東診療所 専攻医
浦田恵里先生(専攻医3年目)
2020年3月 大阪医科大学 卒業
2020年4月 組合立諏訪中央病院 初期臨床研修プロフラム
2022年4月 関西家庭医療学センター 総合診療専門医・家庭医療学専門医コース(2022年度 金井病院、2023年年度 諏訪中央病院、2024年年度 浅井東診療所)
所属団体(学会)日本プライマリ・ケア連合学会
関西家庭医療学センター 浅井東診療所 専攻医
山田龍之介先生(専攻医3年目)
2020年3月 秋田大学 卒業
2020年4月 組合立諏訪中央病院初期研修医
2022年4月 関西家庭医療学センター総合診療専門医・家庭医療学専門医コース(2022年度 金井病院、2023年度 諏訪中央病院、2024年度 浅井東診療所)
所属団体(学会)日本プライマリ・ケア連合学会
浦田恵里先生(専攻医3年目)
2020年3月 大阪医科大学 卒業
2020年4月 組合立諏訪中央病院 初期臨床研修プロフラム
2022年4月 関西家庭医療学センター 総合診療専門医・家庭医療学専門医コース(2022年度 金井病院、2023年年度 諏訪中央病院、2024年年度 浅井東診療所)
所属団体(学会)日本プライマリ・ケア連合学会
関西家庭医療学センター 浅井東診療所 専攻医
山田龍之介先生(専攻医3年目)
2020年3月 秋田大学 卒業
2020年4月 組合立諏訪中央病院初期研修医
2022年4月 関西家庭医療学センター総合診療専門医・家庭医療学専門医コース(2022年度 金井病院、2023年度 諏訪中央病院、2024年度 浅井東診療所)
所属団体(学会)日本プライマリ・ケア連合学会
取材後記
山田先生は長野のご出身で、浦田先生のご出身は大阪。進学した大学も違うお二人が出会ったのは研修医時代。インタビューにもあったように長野の諏訪中央病院だった。今回お話を伺う中で得た印象は、お二人は出会うべくして出会ったということだ。プライマリ・ケアに対する共通の思いもそうだが、互いに互いをリスペクトしながら家庭医として成長していこうという姿勢もパートナーとしての理想のあり方の一つだろう。家庭医同士のご夫婦というお二人がこれからどのように成長し、そして活躍していくのか。大いになる期待を持って見守っていきたい。
最終更新:2024年10月30日 11時25分