ホームニュースCurrent topics - プライマリ・ケア実践誌ショートショート 指一本の診断術/頭痛編 診断!巨細胞性血管炎(側頭動脈炎)
ニュース
Current topics - プライマリ・ケア実践誌
ショートショート 指一本の診断術/頭痛編 診断!巨細胞性血管炎(側頭動脈炎)
巨細胞性血管炎(側頭動脈炎)は、体重減少や発熱など多様な症状を主に高齢者において示すので、診断は簡単ではないが、失明リスクに関連するので見落としは避けたい疾患である。それ故「診断に難渋した○○」系の症例検討ではランキング7位くらいの重要な疾患ではないかと思う(個人の感想です)。
分類基準は、診断時の年齢が50歳以上であることが条件で、側頭動脈生検陽性または超音波検査での側頭動脈ハローサイン(+5)、赤血球沈降速度≧50mm/時またはCRP≧1.0mg/dL(+3)、突然の視力低下(+3)、朝の肩または首のこわばり、顎跛行、新規の側頭部痛、頭皮の圧痛、血管検査での側頭動脈の異常、画像診断での両側腋窩病変、大動脈全体のFDG-PETで活動性(各+2)。累積スコアが6点以上で巨細胞性動脈炎と分類(感度87.0%、特異度94.8%)される。
簡単に診断できない疾患だが、指一本での診断価値を共有したい。高齢者で初発の頭痛があれば、側頭動脈部位(図)を触診するようにしている。こめかみ、眼鏡をかけている人ならツルがあるあたりに側頭動脈が走行している。ちなみに眼鏡のツルは、英語では「こめかみ」を意味するtemple(テンプル)である。通常は柔らかい拍動が触れる。
分類基準は、診断時の年齢が50歳以上であることが条件で、側頭動脈生検陽性または超音波検査での側頭動脈ハローサイン(+5)、赤血球沈降速度≧50mm/時またはCRP≧1.0mg/dL(+3)、突然の視力低下(+3)、朝の肩または首のこわばり、顎跛行、新規の側頭部痛、頭皮の圧痛、血管検査での側頭動脈の異常、画像診断での両側腋窩病変、大動脈全体のFDG-PETで活動性(各+2)。累積スコアが6点以上で巨細胞性動脈炎と分類(感度87.0%、特異度94.8%)される。
簡単に診断できない疾患だが、指一本での診断価値を共有したい。高齢者で初発の頭痛があれば、側頭動脈部位(図)を触診するようにしている。こめかみ、眼鏡をかけている人ならツルがあるあたりに側頭動脈が走行している。ちなみに眼鏡のツルは、英語では「こめかみ」を意味するtemple(テンプル)である。通常は柔らかい拍動が触れる。
基本診察における診断エビデンスの名著シリーズの一つから拾ってきたデータを紹介(表1)したい。触診の診断特性は、陽性尤度比が高い順に表のとおりである。側頭動脈を触った感じ(数珠状変化、拡張)の異常は、陽性尤度比が4以上と高めでアテになりそう。圧痛の有無は2.6と意外と尤度比は高くない。側頭動脈を触って何もないときの尤度比(陰性尤度比)は0.53で、すこし検査後確率を下げられるかもしれない。
ちなみに、診断エビデンスの名著は2002年の文献と古典的に思われるかもしれないが、2020年のレビューでもほぼ同様の結果と思われる(側頭動脈肥厚の陽性尤度比4.70:95%CI2.65-8.33、側頭動脈拍動消失の陽性尤度3.25:95%CI 2.49-4.23、側頭動脈圧痛の陽性尤度比3.14:95% CI 1.14-8.65)。
この文献から他の特徴を拾う(表2)と、四肢跛行は陽性尤度比6.01(95% CI 1.38-26.16)、顎跛行(食事中に顎が疲れる)は 4.90(95% CI 3.74-6.41)と跛行の症状があれば、それらしくなる。巨細胞性血管炎(側頭動脈炎)でないとする所見としては、60歳より高齢でない場合の陰性尤度比は0.15(95% CI 0.02-1.13)と低く、年齢は重要な因子である。
この文献から他の特徴を拾う(表2)と、四肢跛行は陽性尤度比6.01(95% CI 1.38-26.16)、顎跛行(食事中に顎が疲れる)は 4.90(95% CI 3.74-6.41)と跛行の症状があれば、それらしくなる。巨細胞性血管炎(側頭動脈炎)でないとする所見としては、60歳より高齢でない場合の陰性尤度比は0.15(95% CI 0.02-1.13)と低く、年齢は重要な因子である。
ここから先は
日本プライマリ・ケア連合学会の
会員記事です
最終更新:2024年12月18日 00時00分