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緩和ケアアウトリーチについて
がん診療に関するプライマリ・ケアワーキンググループ(以下WG)の伊藤圭一郎(東北大学大学院医学系研究科緩和医療学分野)です.
今回はWGとしてではなく個人の活動ではありますが,私が実践している緩和ケア・アウトリーチについて紹介せていただきます.
今回はWGとしてではなく個人の活動ではありますが,私が実践している緩和ケア・アウトリーチについて紹介せていただきます.
◆緩和ケアアウトリーチとは?
緩和ケアを必要とする患者さんの数は高齢化や疾病構造の変化の影響もあり,増加することが予測されています.しかしながら,緩和ケアの専門家の数は決して多くはなく,専門家の地域偏在という問題もあり,緩和ケアが専門ではない医師からも,質の高い緩和ケアの提供が行われるべきとされています.そこで,専門家が定期的に訪問し,診療に関わりながら地域医療の質の向上を図るのが「緩和ケアアウトリーチ」です.
◆栗原中央病院での緩和ケアアウトリーチ
大学からの派遣という形で,私自身も2024年4月から宮城県北にある栗原中央病院で月に一回のアウトリーチ活動を行っています.各病棟での終末期ケアの困りごとの相談に乗り,症状緩和や患者・家族とのコミュニケーションの難渋症例への対応を病院のスタッフの方々と一緒に取り組んでいます.
2024年11月は地域の介護施設の職員向けに「看取りについて考える~亡くなる前の変化とコミュニケーション」というテーマで講演を行いました.地域の介護関係のスタッフ100名以上から参加いただき,このテーマへの関心の高さがうかがえました.
2024年11月は地域の介護施設の職員向けに「看取りについて考える~亡くなる前の変化とコミュニケーション」というテーマで講演を行いました.地域の介護関係のスタッフ100名以上から参加いただき,このテーマへの関心の高さがうかがえました.
◆まとめ
緩和ケアに関する地域連携において「顔の見える関係」が強い影響をもたらし,お互いの顔と名前がわかるのみならず,人となりや考え方がわかり,信頼して一緒に仕事ができることにより地域連携が促進されることが示されています1)。緩和ケアへの理解が各地域で広まり、国民全員が緩和ケアが当たり前に受けられる時代になれるよう、精進していければと思っています。
参考文献
森田達也,他.地域緩和ケアにおける「顔の見える関係」とは何か? Palliative Care Research. 2012;7(1):323-33.
最終更新:2024年12月21日 18時16分