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理事長 草場先生の部屋
「国宝」から感じる家族の重み
まだまだ9月も暑い日本ですが、いかがお過ごしでしょうか?夏休みなどでゆっくり休養する時間が取れたようでしたら何よりです。私も富士山付近で家族とゆったり楽しむことができました。
さて、この夏に話題となった映画で「国宝」という作品がありましたがご覧になりましたか?私も上映開始からすぐに観劇したのですが、俳優の素晴らしい演技と素晴らしいストーリーに魅了されました。元々、歌舞伎のファンで仕事の合間で拝見する機会もあったので、鷺娘や曽根崎心中など素敵な演目もふんだんに取り入れられていたことも感激でした。美しい映像美を皆さんにも是非堪能していただきたいところです。
ただ、私の心に響いたのは、物語の主題となる主人公とそのライバルの葛藤入り乱れる生涯の描き方でした。歌舞伎の一族に産まれた御曹司と実力派の俳優が互いに弾かれつつもぶつかり、そして最後に昇華する様は見事としか言いようがありません。家庭医療の世界では家族の関係性を分析しながらアプローチすることが求められますが、この二人の関係の背景にあるような家族の持つ歴史が現在に色濃く影響していることを時に感じることもあります。「なぜ、かつては親密だった二人が、今こうした衝突を繰り返しているのだろうか」と疑問を感じるときには、こうした家族の歴史を掘り下げることが解決につながるかもしれません。
皆さんも時には映画やドラマの世界から得られるインスピレーションを日々の臨床の刺激にしてみてはどうでしょうか? 暑い夏の一服の清涼剤になれば幸いです。
草場鉄周
草場鉄周
最終更新:2025年09月01日 11時38分