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理事長 草場先生の部屋

2025年を振り返って

今年も残り1ヶ月を切りました。医療は日々の診療業務が連続していきますので、仕事にも切れ目がないことが多く、あっという間に一月、一年が過ぎゆく感覚が強い業種なのだとこの時期になるといつも感じます。
さて、今年1年を振り返ると、今まで繰り返し唱えられた「国民の4人に1人が後期高齢者となる超高齢化社会が進み、医療費や介護費の増大、労働力不足、社会保障制度への負担増など、様々な分野で深刻な影響が出る」と説明された2025年問題のその年ととなった1年でした。参議院選挙においては「現役世代の社会保険料の負担を下げるべきだ」という主張が国民の大きな共感を得ることになり、国会でも実現するための議論が進んでいます。その一方で、人件費や物価の高騰によって、医療機関の支出が増大し、医療にもっと資金を投入すべきだという医療側の主張も大きく取り上げられ、一定の理解を得ています。
この相反する主張に対してどのように折り合いをつけるのか? 当面は「補正予算」という一時的な赤字国債発行で乗り越えることになりそうですが、社会保険料や税金を増やさないと医療費を増やせないことは自明のことですから、根本的な解決には相当な難しさが伴います。富裕高齢者の保険料負担増加といった小手先の手段では限界があるでしょう。日本は中負担中福祉でここまで歩んできましたが、これからをどういう枠組みを目指すのか真剣に検討し答えを出す必要があることは避けられないでしょう。
その際、我々プライマリ・ケア医療従事者は医療のインフラをデザインする上で、日本なりのモデルを提示する必要があると考えています。この一年を通じて見えてきた社会情勢を踏まえ、2026年は中期的な視野に立った検討をしっかり進めていく予定です。
今年1年、学会員の皆様の様々な学会活動への貢献に心より感謝申し上げます。
どうか、ご家族、お仲間と共に、良い年をお迎え下さい。

草場鉄周

最終更新:2025年12月01日 15時03分

「プライマリ・ケア公式WEB」 編集担当

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「プライマリ・ケア公式WEB」 編集担当

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