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理事長 草場先生の部屋

曲がり角を迎える在宅医療

2026年度が始まり、全国で新たな職場にて気持ち新たに活躍されている会員がたくさんいらっしゃると思います。新年もそうですが、こうした区切りは挑戦する勇気を我々に与えてくれる良い機会だと思います。
さて、前回診療報酬改定について取り上げましたが、そこでもふれた在宅医療への評価の変化から感じることがあります。私が在宅医療を知ったのは1999年の臨床研修医の診療所研修の時で、脳血管疾患の後遺症で寝たきりになった方、頚椎損傷で自宅療養している方、胃癌末期でターミナルケアを提供する方など、どうしても外来通院が難しく、在宅医療が必須の方ばかりでした。ただ、当時は報酬は比較的低めで、外来診療の延長として、あるいは家族からの強い期待に応えて、採算を意識せずに取り組むやり甲斐のある医療という認識でした。
その後、2006年に在宅時医学総合管理料と在宅療養支援診療所制度がスタートしたことをきっかけに、報酬が大きく引き上げられ、やり甲斐だけでなく、経営上のメリットも拡大し、それからの20年は基本的に在宅医療は広がったといって良いでしょう。ただ、その中でプライマリ・ケアや地域医療という文脈の延長にある在宅医療というよりも、臓器別専門医療の延長にある都市部での専門的な在宅医療というフィールドが拡大していき、病院医療に限界を感じる医師達の参入が続き現在に至っています。量的な拡大という意味では政府の狙いはある程度達成できたわけですが、質にはある程度目をつぶったのも事実でしょう。

在宅医療は質に対する評価へ

2026年改定では質に対する評価へと大きく舵を切ったわけですが、その中で重要なのはプライマリ・ケアの延長線にある医療という位置づけを明確にすることでしょう。今回、在宅医療充実体制加算が新設されましたが、ここには3名以上の医師の配置、重症度の高い患者を一定割合以上を受け持つこと、在宅医療に関する教育(医学生、研修医、専攻医)の提供といった要件が盛り込まれました。かなり高い要件ですが、専門医養成などに取り組んで来た学会員の皆さんの運営する診療所の中には、この要件を満たすところが比較的多いのではと考えています。
20年を経て、在宅医療も本来のあり方へと転換しつつあります。日本の医療の中にプライマリ・ケアを定着させることの難しさを感じる毎日ですが、10年、20年という単位で考えていく大切さを、今回改めて気づかされる良い機会となりました。目の前のことに焦らず、あるべき方向に着実に進んでいく学会でありたいと思います。


草場鉄周

最終更新:2026年04月06日 11時12分

「プライマリ・ケア公式WEB」 

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