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在宅医療
専門性の高い病院『外来』から在宅医療へのケア移行:ベストプラクティスインタビュー ~地域包括支援センター編
専門性の高い病院外来から在宅医療へのスムーズなケア移行は、今後の地域包括ケアにおいて鍵となります。しかし、実際には様々な課題があります。そこで、高齢者医療・在宅医療委員会二人主治医制チームでは、アンケート調査を行い、より良いケア移行のための活動集の作成などをしてきました。
今回は、地域包括支援センターの立場から長年地域連携に取り組んできた実践者にお話を伺いました。
インタビューをさせていただいたのは、千葉市あんしんケアセンター磯辺 主任介護支援専門員の清水直美様です。
※専門職の呼称については、インタビュー時の表現をそのまま使用しております。
医師と一緒に、多職種連携の場をつくる
―地域で長年、多職種連携の場づくりをされていますが、きっかけは何だったのでしょうか?
千葉に来たばかりの頃は、地域の医療機関もよくわからなくて、とにかくいろいろな勉強会に参加していました。その中で、在宅医療をされている先生から「これから在宅医療を広げていくには、みんなで話し合う場を作った方がいい。それは地域包括の仕事だよ」と言われたんです。
そこからいろいろな方に声をかけて、行政にも協力してもらいながら、多職種連携の会を立ち上げました。
もう十数年続いていますが、医師の先生方の協力が本当に大きいですね。
「名前だけ貸して」が、参加のきっかけになる
―病院の先生方にも参加していただけているのが印象的です。
最初は「委員に名前だけ貸してください」とお願いしたんです(笑)。
そうしたら案内を送るうちに、律儀に参加してくださるようになって。
急性期病院の先生、医師会の在宅担当の先生、プライマリ・ケアの先生、歯科の先生など、いろいろな先生に委員として入っていただいています。
テーマによって参加される先生も変わりますね。COVID-19の時は呼吸器の先生、意思決定支援の時も多くの先生が集まりました。
多いときは医師だけで10人ぐらい来てくれます。やはり、先生方が関心を持てるテーマ設定が大事だと思っていますので、テーマは先生達に相談させてもらっています。
グループワークが「顔の見える関係」をつくる
―勉強会を継続する中で、工夫されていることはありますか?
講義だけで終わらないことですね。
アンケートを見ても、グループワークをした回の方が評価が高いんです。
ちょっとでも意見交換できる時間があると、関係性ができます。
急性期の先生と在宅の先生が直接話したり、多職種が同じテーブルで話したりすることで、日頃の相談もしやすくなります。
地域ケア会議には、医師の視点が必要
―地域ケア会議が行き詰まることもありますか?
あります。
そういう時は、医師の意見が聞けてないことが多いですね。
予後の見通しや医学的な見立てがわからないままだと、支援方針を立てにくい。
だから、勉強会の時に先生と挨拶してもらって、担当と医師の顔をつなぐことを意識しています。そうすると声をかけやすくなります。
病院の先生に求めすぎない
―病院外来から在宅につなぐ難しさをどう感じていますか?
問題はあると思いますが、基幹病院の先生が、プライマリ・ケア機能まで知るのは難しい。専門分野をしっかり診るのが先生方のお仕事ですから。
だからこそ、こちらから情報を届けることが大事です。
地域にこういう資源がありますよ、こういう生活ができていますよ、と伝える。症例で伝えられると特にいいですね。
先生たちは患者思いの方が多いので、本当に任せて大丈夫かを心配しています。情報が届けば理解してくださることが多いです。
また、患者さんの側から訪問診療を提案されたと言えるようになれば。二人主治医とか、ケア移行できるようになります。
手紙が、ケア移行の後押しになる
―具体的にはどのようにつないでいるのでしょうか?
患者さんの相談にのったときにケア移行を提案することがあります。その際には、「病院を移ってもなにかあったらまたもとの病院に行けるよ」と話すと、患者さんがそういうことを相談してもいいと思える。そうすると今度の受診のときに言ってみますと言ってくれる。
患者さんが言いにくそうな時は、先生にお手紙を書くこともあります。
「もし先生がよろしければ訪問診療の先生の紹介についても情報提供させて頂きます」と書いています。もし許可をもらえたら、看護師さんを通して訪問先の先生を伝えたり
同行もありますが、時間がかかりますし、手紙だと先生があとで読めるので
医師同士が安心できる橋渡しをする
―かなり細やかに調整されているんですね。
紹介って、ある意味“営業"みたいなものだと思うんです。
患者さんには「この先生はこういうことが得意ですよ」と説明しますし、訪問診療の先生にも「こういう患者さんなんですがお願いできますか」と確認する。
病院医師のことももっと知ってもらえるといいと思います。先生方の忙しさとか。
お互いが安心してつながれるようにすることが大事です。
あとは、勉強会で得た情報も役立っていますね。
「あの先生、こういう話をしていたな」と思い出して、相談先を考えています。
市民にも、在宅医療を知ってもらう
―専門職連携以外に必要だと感じることはありますか?
市民への啓発ですね。
「できれば家にいたいけど、最後は施設に入るんでしょう」と言われることが結構あります。
在宅医療という選択肢は、まだよく知られていない。
専門職同士の勉強会も大事ですが、市民向けのヘルスプロモーションも必要だと思っています。
インタビュー者の感想
清水様のお話で印象的だったのは、「病院医師に求めすぎず、地域側から歩み寄る」という姿勢でした。専門性の高い病院医師の役割や立場、状況を理解し、その上で地域資源や患者の生活を丁寧に届ける。両者を繋ぐこの細やかな心配りが連携の潤滑油であることが確認されました。
また、「名前だけ貸してください」という一見さりげない声かけから関係性が生まれ、それが十数年続く連携につながっている点も非常に示唆的でした。多くの地域で課題になっている多職種連携の勉強会に病院の医師が来てくれないという問題のヒントを求めてインタビューしましたが、実はなにがコツかははっきりとは見えませんでした。しかし、清水様のこの細やかな心配りこそが、勉強会に医師を引き付ける根源なのかもしれません。
今回は、地域包括支援センターの立場から長年地域連携に取り組んできた実践者にお話を伺いました。
インタビューをさせていただいたのは、千葉市あんしんケアセンター磯辺 主任介護支援専門員の清水直美様です。
※専門職の呼称については、インタビュー時の表現をそのまま使用しております。
医師と一緒に、多職種連携の場をつくる
―地域で長年、多職種連携の場づくりをされていますが、きっかけは何だったのでしょうか?
千葉に来たばかりの頃は、地域の医療機関もよくわからなくて、とにかくいろいろな勉強会に参加していました。その中で、在宅医療をされている先生から「これから在宅医療を広げていくには、みんなで話し合う場を作った方がいい。それは地域包括の仕事だよ」と言われたんです。
そこからいろいろな方に声をかけて、行政にも協力してもらいながら、多職種連携の会を立ち上げました。
もう十数年続いていますが、医師の先生方の協力が本当に大きいですね。
「名前だけ貸して」が、参加のきっかけになる
―病院の先生方にも参加していただけているのが印象的です。
最初は「委員に名前だけ貸してください」とお願いしたんです(笑)。
そうしたら案内を送るうちに、律儀に参加してくださるようになって。
急性期病院の先生、医師会の在宅担当の先生、プライマリ・ケアの先生、歯科の先生など、いろいろな先生に委員として入っていただいています。
テーマによって参加される先生も変わりますね。COVID-19の時は呼吸器の先生、意思決定支援の時も多くの先生が集まりました。
多いときは医師だけで10人ぐらい来てくれます。やはり、先生方が関心を持てるテーマ設定が大事だと思っていますので、テーマは先生達に相談させてもらっています。
グループワークが「顔の見える関係」をつくる
―勉強会を継続する中で、工夫されていることはありますか?
講義だけで終わらないことですね。
アンケートを見ても、グループワークをした回の方が評価が高いんです。
ちょっとでも意見交換できる時間があると、関係性ができます。
急性期の先生と在宅の先生が直接話したり、多職種が同じテーブルで話したりすることで、日頃の相談もしやすくなります。
地域ケア会議には、医師の視点が必要
―地域ケア会議が行き詰まることもありますか?
あります。
そういう時は、医師の意見が聞けてないことが多いですね。
予後の見通しや医学的な見立てがわからないままだと、支援方針を立てにくい。
だから、勉強会の時に先生と挨拶してもらって、担当と医師の顔をつなぐことを意識しています。そうすると声をかけやすくなります。
病院の先生に求めすぎない
―病院外来から在宅につなぐ難しさをどう感じていますか?
問題はあると思いますが、基幹病院の先生が、プライマリ・ケア機能まで知るのは難しい。専門分野をしっかり診るのが先生方のお仕事ですから。
だからこそ、こちらから情報を届けることが大事です。
地域にこういう資源がありますよ、こういう生活ができていますよ、と伝える。症例で伝えられると特にいいですね。
先生たちは患者思いの方が多いので、本当に任せて大丈夫かを心配しています。情報が届けば理解してくださることが多いです。
また、患者さんの側から訪問診療を提案されたと言えるようになれば。二人主治医とか、ケア移行できるようになります。
手紙が、ケア移行の後押しになる
―具体的にはどのようにつないでいるのでしょうか?
患者さんの相談にのったときにケア移行を提案することがあります。その際には、「病院を移ってもなにかあったらまたもとの病院に行けるよ」と話すと、患者さんがそういうことを相談してもいいと思える。そうすると今度の受診のときに言ってみますと言ってくれる。
患者さんが言いにくそうな時は、先生にお手紙を書くこともあります。
「もし先生がよろしければ訪問診療の先生の紹介についても情報提供させて頂きます」と書いています。もし許可をもらえたら、看護師さんを通して訪問先の先生を伝えたり
同行もありますが、時間がかかりますし、手紙だと先生があとで読めるので
医師同士が安心できる橋渡しをする
―かなり細やかに調整されているんですね。
紹介って、ある意味“営業"みたいなものだと思うんです。
患者さんには「この先生はこういうことが得意ですよ」と説明しますし、訪問診療の先生にも「こういう患者さんなんですがお願いできますか」と確認する。
病院医師のことももっと知ってもらえるといいと思います。先生方の忙しさとか。
お互いが安心してつながれるようにすることが大事です。
あとは、勉強会で得た情報も役立っていますね。
「あの先生、こういう話をしていたな」と思い出して、相談先を考えています。
市民にも、在宅医療を知ってもらう
―専門職連携以外に必要だと感じることはありますか?
市民への啓発ですね。
「できれば家にいたいけど、最後は施設に入るんでしょう」と言われることが結構あります。
在宅医療という選択肢は、まだよく知られていない。
専門職同士の勉強会も大事ですが、市民向けのヘルスプロモーションも必要だと思っています。
インタビュー者の感想
清水様のお話で印象的だったのは、「病院医師に求めすぎず、地域側から歩み寄る」という姿勢でした。専門性の高い病院医師の役割や立場、状況を理解し、その上で地域資源や患者の生活を丁寧に届ける。両者を繋ぐこの細やかな心配りが連携の潤滑油であることが確認されました。
また、「名前だけ貸してください」という一見さりげない声かけから関係性が生まれ、それが十数年続く連携につながっている点も非常に示唆的でした。多くの地域で課題になっている多職種連携の勉強会に病院の医師が来てくれないという問題のヒントを求めてインタビューしましたが、実はなにがコツかははっきりとは見えませんでした。しかし、清水様のこの細やかな心配りこそが、勉強会に医師を引き付ける根源なのかもしれません。
最終更新:2026年05月21日 07時01分








