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プライマリ・ケア Field LIVE!
日本プライマリ・ケア連合学会 中部ブロック支部長(取材当時) 佐藤寿一先生インタビュー
日本プライマリ・ケア連合学会の北海道から九州まで、8つの地域で活動するブロック支部。
『プライマリ・ケアFieldLive!』の特別編として、各ブロック支部の取り組みや活動についてご紹介する本企画。
今回は東海・北陸7県で組織される<中部ブロック>の支部長(取材当時)佐藤寿一先生にお話を伺いました。
『プライマリ・ケアFieldLive!』の特別編として、各ブロック支部の取り組みや活動についてご紹介する本企画。
今回は東海・北陸7県で組織される<中部ブロック>の支部長(取材当時)佐藤寿一先生にお話を伺いました。
「大学病院と地域が手を取り合うことで次世代のプライマリ・ケアは育まれます」
東海・北陸7県を網羅する広大なネットワーク。大学病院と地域中核病院が「教育の質」を共創する。
― 中部ブロック支部の概要や、このエリアならではの医療的背景についてお聞かせください。
中部ブロック支部は、愛知・静岡・岐阜・三重の東海4県と富山・石川・福井の北陸3県という、非常に広範なエリアを担当しています。2026年時点での会員数は約1500名にのぼり、都市部から過疎地、僻地まで多様な地域課題が混在していることがエリア特性としてあげられます。北陸3県などは全国的に見ても高齢化率が高く、僻地医療の問題はどの県も共通して抱えています。一方で医療資源に目を向けると、中部ブロックには名古屋大学や藤田医科大学、浜松医科大学、岐阜大学、三重大学、そして北陸の各大学と、大学病院を中心とした総合診療専門研修プログラムが非常に充実しているという大きな強みがあります。各大学にプライマリ・ケアを牽引してきた「顔の見える」リーダーが存在し、彼らが中心となって大学と地域の中核病院、診療所が密接に連携する教育体制を脈々と築き上げてきました。
― 「大学関連のプログラムが盛ん」というのはアドバンテージになりそうですね。
そうですね。大学病院が教育機関としてしっかりと機能し、多様なプログラムを走らせていることで「指導医側の人材が非常に豊富である」という点において、当ブロックは大きなアドバンテージを持っています。各拠点に熱意ある指導医が配置され、若手からベテランまでを包括的にサポートできる環境が整っているわけです。他の地域では「プログラムに入ったものの実質的な指導者がいなくて困る」という声を聞くこともありますが、中部ブロックではそうした悩みはほとんど耳にしません。むしろ課題は、この潤沢な教育リソースに対して、いかにリクルートを強化し、総合診療・家庭医療を志す若手を増やしていくかという点にあります。教育の質には自信があるからこそ、その魅力をどうアピールし、中に入ってもらうかが現在の重要なテーマとなっています。
― 豊富な教育環境を維持・発展させるために、支部としてどのような活動をされていますか?
支部の主要な行事として、
春の「専攻医オリエンテーション」、秋の「ブロック支部学術集会」、そして3月の「ポートフォリオ発表会」
という3つの柱を継続しています。
特に学術集会は各県の持ち回りで開催しており、2025年の福井大会では「一筆啓上、あなたの心にしみるプライマリ・ケア」をテーマに、地域に根ざした熱量の高い学びの場となりました。また、ポートフォリオ発表会では、専攻医が日々の経験を言葉にし、指導医から個別のフィードバックを受けることで、専門医取得に向けた着実なステップアップを支援しています。コロナ禍を経て現在は対面とオンラインを組み合わせるなど、広大なエリアであっても「顔の見える関係」を絶やさないための工夫を凝らしており、物理的な距離を超えた「信頼のネットワーク」こそが支部の連帯感を支える根幹であると考えています。
春の「専攻医オリエンテーション」、秋の「ブロック支部学術集会」、そして3月の「ポートフォリオ発表会」
という3つの柱を継続しています。
特に学術集会は各県の持ち回りで開催しており、2025年の福井大会では「一筆啓上、あなたの心にしみるプライマリ・ケア」をテーマに、地域に根ざした熱量の高い学びの場となりました。また、ポートフォリオ発表会では、専攻医が日々の経験を言葉にし、指導医から個別のフィードバックを受けることで、専門医取得に向けた着実なステップアップを支援しています。コロナ禍を経て現在は対面とオンラインを組み合わせるなど、広大なエリアであっても「顔の見える関係」を絶やさないための工夫を凝らしており、物理的な距離を超えた「信頼のネットワーク」こそが支部の連帯感を支える根幹であると考えています。
看護師・薬剤師部会の設立がもたらす新たな活力。多職種連携を「顔の見える協働」へと進化させる挑戦。
― 若手育成や多職種連携の推進について具体的な変化や取り組みを教えてください。
今、中部ブロックが最も勢いづいている分野の一つが「看護師部会」と「薬剤師部会」の正式な設立です。以前から多職種連携の重要性は叫ばれてきましたが、当支部では現場の看護師や薬剤師の方々から「自分たちの部会を作りたい」という自発的なリクエストがあり、それを支部として承認・認定させていただきました。2025年末に正式発足した薬剤師部会などは、認定薬剤師を目指す方々のためのポートフォリオ相談会や地域での活動報告会をオンラインで隔月開催するなど、非常に活発なボトムアップの活動を展開しています。医師だけの集まりではなく、看護師や薬剤師が主体的に参加し、それぞれの専門性が輝く場ができることで組織全体にこれまでにない新しい活気が生まれているのを肌で感じています。
― 多職種が支部活動に加わることで、現場の医療にどのようなメリットがあるとお考えですか?
プライマリ・ケアの現場では、もはや医師一人の能力で解決できる課題は限られています。リハビリ職や介護福祉職を含めた多職種が対等な立場で繋がり、お互いの「顔」と「考え方」を知ることはケアの質を劇的に向上させます。例えば支部の会合で知り合った他職種の仲間に、日常の診療でふと困ったことを相談できる。こうした「顔つなぎ」の関係性ができることこそが、最大のメリットです。実際に、かつて愛知県で開催していた研究会などでも、コ・メディカルの方々が集まる場は非常に熱気が溢れていました。彼らがプライマリ・ケアの理念を共有し、喜びを持って現場で協働できる環境をブロック全体でバックアップしていくことが地域住民に届ける医療の質を底上げすることに直結すると確信しています。
― 一方で、若手医師のリクルートについては制度上の課題も大きいようですね。
そこは非常に切実な問題です。現在の制度では、初期研修2年目の終わりに「内科」か「総合診療」かを決めなければならず、内科を捨てて総合診療を選ぶには相当な勇気が必要です。興味を持って学生実習に参加してくれた若者が、いざ専門を決める段階で専門科に流れてしまうケースは後を絶ちません。しかし、だからこそ私たちは「地域にはこんなに素晴らしいロールモデルがいるんだ」ということを、ブロックの活動を通じて見せていく必要があります。大学プログラムの強みを活かしつつも、地域の中核病院や診療所での実践の魅力を伝え、若手を地域全体で温かく見守り育てる風土を醸成したい。彼らが「この先生たちと一緒に働きたい」と思えるような魅力あるコミュニティであり続けることが、リクルーティングに対する私たちなりの答えだと考えています。
キャリアチェンジを志す「リカレント教育」の受け皿へ。垣根を超え、誰もが学び合える「安心のコミュニティ」の未来。
― 中堅以上の医師やキャリアチェンジを考える先生方への支援についてはどうお考えですか?
実は「リカレント教育(学び直し)」やキャリアチェンジを志す先生方からのニーズは非常に高いんです。例えば、出産や育児でブランクがあった先生や、長年臓器別の専門医として活躍してこられた先生が、将来の開業や地域医療への貢献を見据えて総合診療のスキルを学びたいというケースです。中部ブロックの各大学では、こうした先生方のための臨床再研修プログラムを古くから提供しており、実際に応募して研修に来られる先生も少なくありません。金沢大学に設立された「総合診療共創センター(GMCC)」のように、専門領域や世代を超えて学び合える包括的な場づくりも始まっています。こうしたリカレント世代をブロック全体で応援し、情報を適切に提供できる体制をさらに強化していきたいと考えています。
― 今後の展望として、特に力を入れたい活動や新しいチャレンジについてお聞かせください。
今後の大きな課題は「横串」を通した交流のさらなる活性化です。現在は各県支部や職種別部会の活動が中心ですが、これらを横に繋ぎ、エリアを跨いだ情報共有や多職種連携をさらに加速させたい。例えば他プログラムへのサイトビジットや相互訪問などを通じて、互いの優れた実践を学び合う機会を増やしたいと考えています。また、一般市民の皆様に「プライマリ・ケア」や「総合診療」をより深く知っていただく努力も欠かせません。それは安心感にも結びついていくわけですから、医療従事者だけでなく、行政や市民を巻き込んだ啓発活動も模索していく必要があります。2026年7月からは宮崎景先生に支部長を引き継ぎますが、こうした「繋がり」と「支え合い」の精神は、新体制でもさらに力強く継承されていくと確信しています。
― 中部ブロックで活動する会員の皆様やこれから関わろうとする方々へメッセージをお願いします。
中部ブロックの最大の魅力は、圧倒的な指導医層の厚さと多職種が互いを尊重し合う温かい風土にあります。一人で抱え込まず、この強固なネットワークに飛び込んでみてください。ここで得られる「顔の見える仲間」との繋がりは、日常の診療における困難を乗り越える大きな力になり、自分自身の成長と地域への貢献を同時に実感させてくれるはずです。学会に入っているけれどもまだ支部の活動に触れたことがないという方も、ぜひ一度、各県の集会や部会のミーティングに足を運んでみてください。私たちは若手からベテランまで、そして全ての職種の皆様が「参加してよかった」「繋がってよかった」と感じられる支部づくりをこれからも続けてまいります。皆様の積極的な参画が、中部ブロックの、そして日本のプライマリ・ケアの未来を広げていくと言えるでしょう。
― 中部ブロック支部 ホームページもご覧ください
最終更新:2026年07月27日 11時01分














