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外来の病院薬剤師の活動~ePROを利用した院外保険薬局との連携~
がん診療に関するプライマリ・ケアワーキンググループ(がんプラ)に所属する埼玉医科大学国際医療センターの薬剤師の髙山(こうやま)と申します。
前回は、外来でがん治療を受けている患者さんをめぐって、病院と保険薬局の薬剤師がどのように情報をやりとりしているかをご紹介しました。今回は前回の続きとして、患者さんご自身のスマートフォンを使った新しい連携の試みと、そこで見えてきたことをお伝えします。
前回は、外来でがん治療を受けている患者さんをめぐって、病院と保険薬局の薬剤師がどのように情報をやりとりしているかをご紹介しました。今回は前回の続きとして、患者さんご自身のスマートフォンを使った新しい連携の試みと、そこで見えてきたことをお伝えします。
これまでの連携で届きにくかったもの
当院では、点滴による抗がん薬治療を受けている患者さんに、治療内容や副作用をまとめた『外来化学療法に関する情報提供書』をお渡ししています。患者さんがそれを保険薬局に持っていくと、保険薬局薬剤師は点滴の内容を踏まえてお薬を確認できます。副作用が強い時などは、保険薬局から『服薬情報提供書(症状の記録)』が病院に届きます(図1)。
しかしながら、この仕組みだけでは、副作用の情報を伺うタイミングをつかめません。抗がん薬の副作用は治療から数日たって強く出ることが多いため、私たちは最もつらい時期を過ぎた後に、「実はつらかった」というお話を患者さんから伺うことが少なくありませんでした。
しかしながら、この仕組みだけでは、副作用の情報を伺うタイミングをつかめません。抗がん薬の副作用は治療から数日たって強く出ることが多いため、私たちは最もつらい時期を過ぎた後に、「実はつらかった」というお話を患者さんから伺うことが少なくありませんでした。
スマートフォンで症状を届ける
そこで私たちが試したのが、ePRO(電子的患者報告アウトカム)です。患者さんが感じている症状を、ご自身でスマートフォンに入力すると、そのまま医療者に届く仕組みです。今回は、患者さんの視点で副作用の程度を答えていただく質問票を、週に1回お送りしました。
強い副作用が報告されると、保険薬局の薬剤師に知らせが届きます。薬剤師は患者さんに電話をかけて症状を確かめ、状況をまとめて服薬情報提供書(症状の記録)として病院に送ります。届いた情報は、病院薬剤師が診察前の面談で活用し、医師も診察の参考にしました。
この取り組みは、経済産業省の2024年度の実証調査事業として行いました。ご協力いただいたのは、当院の外来で抗がん薬治療を受けている消化器がん・婦人科がんの患者さん50人です。連携している2つの保険薬局のうち、これまでどおり保険薬局薬剤師が電話で症状を確認する保険薬局Aでは20人、ePROを加えた保険薬局Bでは30人に参加していただき、最長24週にわたって比べました(図2)。
強い副作用が報告されると、保険薬局の薬剤師に知らせが届きます。薬剤師は患者さんに電話をかけて症状を確かめ、状況をまとめて服薬情報提供書(症状の記録)として病院に送ります。届いた情報は、病院薬剤師が診察前の面談で活用し、医師も診察の参考にしました。
この取り組みは、経済産業省の2024年度の実証調査事業として行いました。ご協力いただいたのは、当院の外来で抗がん薬治療を受けている消化器がん・婦人科がんの患者さん50人です。連携している2つの保険薬局のうち、これまでどおり保険薬局薬剤師が電話で症状を確認する保険薬局Aでは20人、ePROを加えた保険薬局Bでは30人に参加していただき、最長24週にわたって比べました(図2)。
見えてきたこと
保険薬局Bの患者さんを担当した医師14人全員が薬物療法の安全性向上につながったと答えました。副作用の情報が診察する際に有用な情報だった、病院薬剤師のお薬の提案に説得力が増した、という回答も全員一致し、病院と保険薬局の薬剤師の連携を続けてほしいという声も全員から挙がっています。問診のときの負担が軽くなったと答えた医師は92%でした。
患者さんからの回答率は、おおむね80%以上で推移しました。保険薬局から病院に届いた服薬情報提供書は、保険薬局Aの27件に対して、保険薬局Bでは87件と増えました。報告された症状で最も多かったのは発疹で、次いで疲労感、悪心・嘔吐が続きました。
患者さんからの回答率は、おおむね80%以上で推移しました。保険薬局から病院に届いた服薬情報提供書は、保険薬局Aの27件に対して、保険薬局Bでは87件と増えました。報告された症状で最も多かったのは発疹で、次いで疲労感、悪心・嘔吐が続きました。
保険薬局の薬剤師が入ることの意味
外来のがん患者さんの副作用を病院の中だけで拾おうとすると、人手が足りず、日々の業務に組み込むことが難しくなります。ePROは保険薬局を通さずに動かすこともできますが、今回あえて保険薬局薬剤師との連携を行ったのは、患者さんから届いた症状を受け止めて評価し、次の一手を判断する担い手を増やして患者さんに寄り添いたいと考えたからです。
患者さんがスマートフォンで送った症状を、保険薬局薬剤師が電話で確かめて意味づけをし、病院に届ける。この流れができたことで、医師の手元に届く情報が変わりました。ePROと薬薬連携の組み合わせは、外来のがん薬物療法を支える新しい形として広げていけると考えています。
今回ご紹介した取り組みも、すべての病院や保険薬局で行われているわけではありません。それでも、患者さんの毎日の生活が少しでも良くなるように、私たち薬剤師は施設の垣根を越えた工夫を重ねていきたいと思っています。
患者さんがスマートフォンで送った症状を、保険薬局薬剤師が電話で確かめて意味づけをし、病院に届ける。この流れができたことで、医師の手元に届く情報が変わりました。ePROと薬薬連携の組み合わせは、外来のがん薬物療法を支える新しい形として広げていけると考えています。
今回ご紹介した取り組みも、すべての病院や保険薬局で行われているわけではありません。それでも、患者さんの毎日の生活が少しでも良くなるように、私たち薬剤師は施設の垣根を越えた工夫を重ねていきたいと思っています。
参考
薬事日報 2026年4月22日 第13161号「【埼玉医大など事業】ePRO薬薬連携が高評価 薬物療法安全性向上を確認」
経済産業省 2024年度 医療機関におけるPHR利活用推進等に向けた実証調査事業
経済産業省 2024年度 医療機関におけるPHR利活用推進等に向けた実証調査事業
最終更新:2026年08月29日 13時15分










