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離島・へき地からの研究

シンポジウム「島を守る・未来へ繋ぐ~みんなで考える離島輸血医療の解決策~」開催報告

日本プライマリ・ケア連合学会は、全国国保診療施設協議会、一般社団法人日本輸血・細胞治療学会、へき地・離島救急医療学会と協働して、離島における輸血療法に関する問題に取り組んでいます。
【参考】離島における輸血療法に関する学会等の連携について〔一部抜粋〕
    2025年8月9日、日本プライマリ・ケア連合学会理事会承認、同年11月2日発効

 2019年度に日本赤十字社による「血液備蓄医療機関制度」が廃止されたことに伴い、離島地域における血液製剤の備蓄および供給体制は大きく変化を余儀なくされた。その結果、離島医療機関は血液製剤を自ら確保・管理する責務を負うこととなり、経済的・運営的負担の増加に加え、緊急時における輸血対応に深刻な支障を来している。中には、生血輸血をやむなく実施する事例も報告されており、医療安全および倫理的観点から強い懸念が寄せられている。
 これまで、血液製剤の廃棄を抑制すべく、離島に備蓄された製剤を使用期限前に需要の多い医療機関へ移送する「Blood Rotation(BR)」や、航空搬送による供給体制の実証研究が進められてきたものの、現時点において社会実装には至っていないのが現状である。
 すべての国民が、その居住地にかかわらず質の高い医療を安定的に享受できる社会の実現は、我が国の医療制度の根幹をなす理念である。なかでも、著しい人口減少と高齢化が進行し、地理的にも厳しい条件に置かれた離島地域においては、医療体制の確保は喫緊かつ重要な課題である。
 かかる課題に対し、へき地・離島を含む地域における総合的な医療提供、救急医療体制の確保、ならびに輸血療法の安全性・有効性の向上に取り組む下記4団体──日本プライマリ・ケア連合学会、全国国保診療施設協議会、日本輸血・細胞治療学会、へき地・離島救急医療学会──は、その解決に向けて連携・協働することに合意した。各団体の専門性と特性を生かした多角的な視点に基づく以下の取り組みを通じて、離島における輸血療法の安全確保および持続可能な体制の構築を目指すものである。
今回、郡山市で開催された第33回日本輸血・細胞治療学会秋季シンポジウム(2026年10月23日)において上記4団体合同で「島を守る・未来へ繋ぐ~みんなで考える離島輸血医療の解決策~」というシンポジウムを開催いたしました。

座長 髙山隼人先生(NHO 長崎医療センター、へき地・離島救急医療学会)
   長井一浩先生(NHO 長崎医療センター臨床検査科、日本輸血・細胞治療学会)

シンポジスト
 森江祥平先生(隠岐広域連合立隠岐病院総合診療科) 「隠岐の島の現状と課題」
 八坂貴宏先生(長崎県対馬病院) 「離島輸血医療の課題と解決策」
 松﨑浩史先生(日本赤十字社九州ブロック血液センター) 「ブラッドローテーションの利用」
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    会場のビッグパレットふくしま
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    森江祥平先生
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    八坂貴宏先生
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    松崎浩史先生
森江先生は、離島という環境下で一定の緊急備蓄量を維持する必要がある一方,小規模施設では血液製剤の期限切れによる廃棄が経営的にも問題となることを、まず述べられました。人口減少や手術件数の減少に伴う周術期輸血の減少,大量輸血を要する消化管出血の減少,さらには本土高次医療機関への搬送体制の充実など,地域を取り巻く医療環境の変化もあり、離島の現状に応じた体制の確保が求められています。
八坂先生からは、離島の中核病院として24 時間365日、救急医療、周産期医療、外傷診療などを担っている対馬病院の状況のご説明がありました。離島では気象条件や運航状況の影響を受けやすく、安定供給には常にリスクが伴ない、緊急時に備えた在庫確保と廃棄ロスの最小化を両立する在庫管理が求められています。可搬冷蔵庫Active Transport Refrigerator(ATR)を用いたBlood Rotation(BR)や、ドローンによる血液製剤の搬送など新しい技術にも期待が語られました。
松崎浩史先生からはBRの開発の経緯や社会実装に向けての課題についても説明いただきました。BRにおいて、可搬冷蔵庫Active Transport Refrigerator(ATR)が適切に使用されれば血液製剤の品質に問題がないことは証明されていますが、適切に管理する責任を誰が負うのか、誰が費用負担をするのかなどが現実的に問題となることについても言及いただきました。
ディスカッションでは、フロアを交えて活発な議論が行われました。BRの社会実装も重要ですが、それだけが解決策ではなく、医療機関同士の融通、ドローンを使った血液製剤の搬送、異型適合輸血の使用、他に代替する方法がない場合の院内輸血(健常ボランティアから血液の提供を受ける)など、さまざまなオプションも考えておく必要があることなど、さまざまな意見交換がなされました。
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開会式直後のメイン会場での開催ということで、多くの方にご参加いただけました。大会長の北澤淳一先生(青森県立中央病院)に心よりお礼を申し上げます。
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4団体では、現在、離島へのアンケート調査を実施中です。今後とも、現状把握とともに、改善に向けての情報発信、ステートメントの発出を目指してまいります。

最終更新:2026年11月08日 22時31分

島嶼およびへき地医療委員会

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