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離島・へき地医療の現場

vol.4/03「山間へき地の医療の現場(ダイジェスト動画あり)」/ 岩国市立本郷診療所 【看護師】森川真粧美さん(訪問リポート編/後編)

へき地の診療所について。
へき地の診療所と聞いて、皆さんはどのような景色を思い浮かべるでしょうか?日本プライマリ・ケア連合学会 島嶼およびへき地医療委員会ではこれまで、隠岐の島、利尻島など海で囲まれた離島、冬の山形県山間部で活躍する医師を紹介してきました。今回は海から離れた山あいのへき地にある診療所で活躍する看護師を訪問してまいりました。

岩国市本郷町の地域の医療を守る、看護師/森川真粧美さんにお会いしてきました!

- 訪問2日目。診療日の森川さんを取材しました

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    森川さんによる「エイエイオー」のかけ声と共に全員で拳を挙げてからの診療開始
訪問2日目の木曜日は診療日なので朝から準備が始まります。近隣の市立診療所からの応援の看護師1名、非常勤で処方薬調剤担当のベテラン看護師1名、事務担当の1名、そして森川看護師、本郷診療所 所長である西村謙祐先生の総勢5名が担当します。全員が診察室に集まり朝礼が始まり、連絡事項の確認後にただちに仕事開始かと思いきや、森川さんによる「エイエイオー」のかけ声と共に全員で拳を挙げてからの診療開始でした。毎回様々な気合い入れる方法を模索しているそうです。
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- 外来診療 マルチタスクをあざやかにこなす地域の頼れる存在

診察・処方・事務・検査をテキパキと行っている傍らには、注意点がびっしりと書き込まれたメモ帳がありました。看護業務に加えてこのようにマルチタスクが求められているのが、医療者の少ないへき地の医療機関の特徴であると言えます。患者さんに伺うと診療所に対する信頼と共に、健康にかかわらずどのような話題でも相談に乗っていただける森川看護師の存在は心強いそうです。森川看護師に伺うと、患者さんの病気のことに加えて、パーソナルヒストリーや家族の状況、さらにはご夫婦のなれそめまでご存じでした。このように疾患のみならず患者さんを取り囲む環境などの情報を持つことができるのが地域在住の看護師ならでの醍醐味だそうです。
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- 在宅往診 マルチタスクをあざやかにこなす地域の頼れる存在

午前中の診療終了間際に、在宅の方から連絡が入り、往診を行いましたが、診察して状態が安定していることが確認でき、安堵した表情が印象的でした。
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森川さんのリアルな働きぶりをご紹介

- ダイジェスト動画をぜひご覧ください

地域住民からの信頼も厚い森川真粧美さんにインタビュー

- 森川さんの原動力はどこにあるんですか?

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楽しいことが好きだし、みんなを楽しくするのも好きです。イベントのたびにマイクを持って司会をやったりします。中学の時はものすごく大人しい女の子だったのに、社会人になり、本郷に帰ってきて役割が増えたからかもしれません。ここでは600人分の1だから、やらなきゃいけないことが増えてきて、今までやろうと思わなかったことを振られてやってみると、意外と楽しいと感じるようになりました。

- 今後してみたいことはありますか?

いろんなへき地の看護師さんと出会って、日本全国に茶話会を広めたいというのが夢です。茶話会の実績を2年続けて日本プライマリ・ケア連合学会で全国の皆さんの前で発表しましたが、もっと広めたいと思っています。もっともっとへき地の看護師の繋がりを広め深めたいと思っています。
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    JPCA学術大会でも2年続けて発表

- その思いの原点はなんですか??

へき地の看護師は研修に行けなくて、相談する人もいなくて孤独です。病院の看護師さんとは境遇が違うので相談する相手がいません。そういった孤独な看護師さんや、へき地で頑張っている看護師さんを繋げて元気にさせてあげたいです。
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- 後任の看護師にはどんな人に来てほしいですか?

物事を柔軟に考えることが出来、咄嗟の判断力と応用力のある方に来て欲しいです。へき地は物品も十分そろっていないので、ある物で臨機応変に対応できる能力が必要です。また、看護業務以外の仕事も多いので、仕事の枠を決めない度量も必要です。また、患者さんは初めは慣れている私を呼ぶため、淋しく思われるかもしれませんが、やがては患者さんから声をかけてくれるようになります。時間をかけ、地域になじんでいって欲しいです。これまで、自然体でやってきたので言葉で教えるのは難しいと感じています。一緒に仕事をしながらお互いが補完し、学び合って新しい診療所を作っていきたいと思います。
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    地域への想いをしっかりお話くださりました

2日間、森川さんを密着して感じたこと

森川看護師のコレクションはカワイイキャラクターがついたカチューシャです。(これは強調して!とお願いされています)だいたい長く勤めていると「妖怪」なんて呼ばれてしまうので、自ら「妖怪ではなくて妖精、みんなに元気を与えるフェアリー」と称する森川看護師さんの活躍を傍で見て参りました。

出身地に勤務されていることで医療者側の立場だけでなく時に地元住民代表となり、ご自身も混乱することがあるそうです。本郷診療所の院長室には歴代院長の写真が飾られており、短期間の医師のローテーションで支えていることがうかがえます。看護師など医療スタッフは地元の方の採用が多く、その存在がなくして地域医療は成り立ちません。森川看護師も1999年から継続して務めています。インタビューにありますように、多忙でマルチタスクにもかかわらず学びの機会が少ないことが挙げられています。また、地域の医療も、自然環境のみならず医療支援体制など多くの因子が関わってその体制やスタイルが決定されます。
取材に同行いただいたいルーラルナーシング学会の大西美智恵理事長によると、関与する因子が多いため、学問体系として整理・構築することが難しく、その結果、へき地勤務を目指すための具体的スキルの規定やカリキュラムの策定が困難だと感じているそうです。
地域で活躍する看護師の活動を見ていると地域看護の実践など大切な経験の場所であることは確かです。個人のスキルに頼らない地域での学びが必要と感じました。

医師以上にマルチタスクが求められるへき地の看護職の活躍を目の当たりにしました。森川看護師はその中を、笑顔を絶やさず患者さんだけでなく、向かい合った相手を癒やすことを考えて活動されていると感じました。地域をまるごと看護してみたい方にとって素晴らしいロールモデルと感じながら取材を終えました。

取材を通じて岩国市立本郷診療所の皆様、岩国市立美和病院の皆様方に大変お世話になりました。この場を借りて感謝申し上げます。
 
午前休診休診休診診療診療
午後診療
(岩国市医療センター医師会病院)
診療
(岩国市立美和病院)
休診往診
訪問診療
学校健診
診療

参考資料) 診療所のスケジュール

診療所の診療スケジュール
訪問したのは水曜日と木曜日の二日間でした。
水曜日は休診日を活用した地域活動と、木曜日の診療を訪問してきました。

プロフィール

岩国市立本郷診療所
看護師 森川真粧美(もりかわ・まさみ)
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【略歴】
国立療養所広島病院付属看護学校卒業
国立がんセンター(国立がん研究センター)
国立療養所賀茂病院(賀茂精神医療センター)
本郷村保健センター(非常勤)
本郷村デイ・サービスセンター(本郷デイサービスセンター)
本郷村診療所(岩国市立本郷診療所)

【資格】
学会認定プライマリ・ケア看護師

訪問者

訪問者:JPCA 島嶼およびへき地医療委員会
白石吉彦(隠岐島前病院)
中桶了太(平戸市民病院)

 ご同行 日本ルーラルナーシング学会 理事長 大西美智恵
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    左から、所長 西村謙祐先生、白石吉彦先生、中桶了太先生、日本ルーラルナーシング学会 大西美智恵理事長、看護師 森川真粧美さん

最終更新:2026年02月10日 00時00分

島嶼およびへき地医療委員会

記事の投稿者

島嶼およびへき地医療委員会

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