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理事長 草場先生の部屋
生成AIと医療
最近、ChatGPTなどの生成AIが普及版として誰もが使えるとして登場したこともあり、医療を初めとする専門領域は大きく影響を受けるだろうという論説をあちこちで目にするようになりました。私自身もChatGPTを使って「日本で家庭医療を広めるためには?」と確認したところ、「情報発信を増やす」「医療従事者への啓発」「在宅医療の推進」「家族・介護者への教育・支援」「政策の支援」というかなり的確な回答が即座に届いたことで、その実力は侮りがたいなと実感する一方で、「家庭の医学」と誤解しているような表現も随所に見られ、様々なメディアや言説から巧みに情報を生成しているに過ぎないという限界も垣間見えました。
人間を診るということの本質を改めて考えることが求められる
知の主体がそこにあるわけで無く、あくまでも過去に入力された膨大な情報を整理し統合したものであり、人間のように見せるための情報を入力すれば無論それらしくなりますが、直観やひらめき、共感といった自発的な知の発露はもちろん期待できないわけです。医療において、一般化された疾患に対して過去の医療情報やエビデンスを緻密に適応する点については確かに生成AIの提供する情報は効果的でしょう。ただ、人生の積み重ねを経て生まれた独自の人生観を持ち、不安や希望など様々な感情があふれる人間が持つ病いに向き合うという点では、生成AIは無力でしょう。
我々医療従事者は生成AIを適切に活用しつつ、我々人間が人間を診るということの本質を改めて考えることが求められるのだと思います。大きな挑戦ですが、むしろプライマリ・ケアが果たす役割はますます大きくなるのだろうと期待も膨らみます。
我々医療従事者は生成AIを適切に活用しつつ、我々人間が人間を診るということの本質を改めて考えることが求められるのだと思います。大きな挑戦ですが、むしろプライマリ・ケアが果たす役割はますます大きくなるのだろうと期待も膨らみます。
最終更新:2023年07月11日 15時30分