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プライマリ・ケア現場でのうつ病診療/15分の認知行動療法③-切り売りの認知行動療法-

認知行動療法はプライマリ・ケア領域の診療の場面で活用可能か?

あるプライマリ・ケア医からの問いに対して、私なりの返答の過程では「精神科医として、きちんとした認知行動療法をプライマリ・ケア医に伝えねばならない」という、「べき」思考の自問自答に陥り、なかなか形にすることができないまま、逡巡していた。しかし、友人知人・諸先輩から励ましと効果的な入れ知恵を得て、今回は明日からでも15分の診療の枠組みのなかではじめられる認知行動療法的な面接技法として、医師からの「言葉」を切り売りで紹介する。
ある一言が、認知行動療法的になる、といえば聞こえはよいが、ソーシャルスキルズ・トレーニング(筆者の得意分野)など、認知行動療法の辺縁領域の技も節操なく紹介する、いわば、にわか精神療法をするための裏マニュアルと思っていただきたい。

よく使うフレーズ①「そのとき、どう感じましたか?」

日常会話でも使うフレーズだが、これは認知行動療法の創始者アーロン・ベックの格言「認知に至る王道は感情である」に沿った質問である。クライアントの感情・気分、つまり「悲しい」、「恥ずかしい」、「不安」、「虚しい」など一言で表せる心の状態について、あえてたずねてみる。
心理面接では認知=考えに意識が集中してしまい、感情は置き去りに、面接が進んでしまうのだが、うつ病患者の面接で改善したい目標は抑うつ「気分」の改善である。治療の目標を見失わず、感情に焦点を合わせつつ対話を続けるのがコツである。

よく使うフレーズ②「そのとき、どう考えましたか?」

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最終更新:2024年05月22日 00時00分

実践誌編集委員会

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