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プライマリ・ケア現場でのうつ病診療/精神科医の「こころ」をつくる本10選-書籍とともに歩むやさしい精神医学-

「精神科の◯◯(領域や疾患名が入る)を勉強するのに、わかりやすい本を何か教えてください」という、しばしば訊かれてきたこの質問に答えるのは意外にむずかしい。
この領域が専門の私にとって有用であっても、プライマリ・ケア医にも同様であるとは限らず、難解すぎたり、興味深くても適応したい臨床の世界とずれていることもあり、質問を投げる人と本の紹介がうまい具合にマッチングされないこともあった。そんな反省もしつつ、今回は今までの私の診療、友人、諸先輩、指導医、上司の助言を振り返り、精神科医としての「こころ」をつくってくれた本、すなわち、治療を進めるうえで、病をもつ人のおかれた状況、苦悩を察し、治療上役立つ存在に近づくための学びがあった本を中心に、精神科診療の世界に入っていける本を紹介する。今回選んだ本はすべて、精神科以外の分野が専門の人でも理解可能な難易度であると考える。

笠原 嘉『精神科における予診・初診・初期治療』(1997年、星和書店)

精神科医として働きはじめた途端、あるいは外来診療をはじめることになった時点で、大半の新入医局員が先輩から読むように勧められる本。手にとると薄く軽く、ほかにも勧められる硬派な厚めの教科書は読めなくても、これだけは読みきることができるという意見も多く聞かれる。
うつ病の「小」精神療法と銘打った部分は非常に有名で、時代は流れ、若干モディファイされつつも風化しない秀逸な章といえる。うつ病以外の精神疾患にも応用ができる、というより、患者を人として、対話で癒すには具体的にはどうするのか、が書かれた壮大な「小」である。
精神科医としては読むべき本というより、読んでいないと恥ずかしいレベルの一冊。

中井久夫、山口直彦『看護のための精神医学第2版』(2004年、医学書院)

「看護のための」と前おきしているが、精神科医もよく読んでいる。語り口はわかりやすいが、記載内容は精神医学の診断治療の基本理念が簡潔にまとめられており、精神医学の世界観を俯瞰し、理解するのに適切である。これも精神科医として働きはじめて最初に読む一冊となることが多い。

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最終更新:2024年09月18日 00時00分

実践誌編集委員会

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