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【がんとプライマリ・ケア】オンコジェネラリストになろう!!
オンコジェネラリストとは
がんは、それを持つ人(Person with cancer)(*1)にとって、人生を根底から覆すと感じられると言われます1(がん患者(Cancer Patient)よりも、がんを持つ人(Person with cancer)と呼ぶ方が、がんというstigmaを貼ることなく、がんもその人の持つ一つの側面にすぎず、その人を尊重する呼び方として、ここでは後者を採用しています)。総合診療医は、5大疾患の一つでもあり、国民の2人に1人ががんに罹患するという時代において、がんを持つ人のケアにどれだけコミットしているでしょうか。診断時や看取り、治療後の再発サーベイランスなどで関わることはあるでしょうが、がんを持ちながら旅をする(Cancer Journey, Fig.参照)その人に対して、それぞれの場面で私たちは関わり続ける必要があるのではないでしょうか。
私は、がんを特別視せずに、common diseaseの一つとして、『がんを持つ人の人生』という大局的視野でがん診療を実践できる医療者を、“オンコジェネラリスト"と呼んで実践し啓発・教育活動を行っています2。
私は、がんを特別視せずに、common diseaseの一つとして、『がんを持つ人の人生』という大局的視野でがん診療を実践できる医療者を、“オンコジェネラリスト"と呼んで実践し啓発・教育活動を行っています2。
オンコジェネラリストになるには
私は、オンコジェネラリストとして求められる要素を以下の10項目として掲げています3。
1. 主治医としての意識を持つ(主治医はがん治療医1人ではない)
2. 患者背景・希望を把握し、その中でがんを位置づける
3. がんの既往歴・治療歴・現状・治療目標を把握する
4. 3つのP(*2)を忘れない
5. スクリーニング目的に腫瘍マーカーやPETを用いない
6. 5大がんのillness trajectoryを知る
7. 抗がん治療の有害事象に気付き、対処出来る
8. オンコロジックエマージェンシー(+腫瘍随伴症候群, irAE(*3))に気付き、対処出来る
9. サバイバーシップに積極的に関わる
10. EOL care(End of Life care)、ACP(Advance Care Planning)に積極的に関わる
*2: 3つのP(Prevent symptoms, Palliate symptoms, Prolong survival)
*3: irAE, immune-related adverse event, 免疫関連有害事象
どの項目も総合診療医にとって重要な要素であり、これを体系的に学び経験することで、オンコジェネラリストになれると考えています。
折下、東京都立病院機構で総合診療医養成プロジェクトが立ち上がり、令和7年度から運用開始となります。同機構に所属する腫瘍・感染症を専門診療している都立駒込病院では、オンコジェネラリストを養成する総合診療医養成プログラムが始まることになりました4。私もそのアドバイザー兼講師としてサポートしています。
オンコジェネラリストを、本学会の皆さんの一つのキャリアパスとして考えていただくとともに、がんを持つすべての人に対し、私たちプライマリ・ケア医は、必要なケアを、最初は有意識でも、いずれは無意識で提供できるレベルにしたいと私は考えています。そのためには、がん患者(Cancer Patient)と考えるのではなく、がんを持つ人(Person with cancer)という考え方を共通認識とするところから始める必要があると考えています。
オンコジェネラリスト(略してオンコジェネ)がクールだと思われる時代はもうそこまで来ています!!
奈良県総合医療センター 総合診療科
総合南東北病院 総合内科
東京総合診療推進プロジェクトアドバイザー 兼 外部講師
東 光久
(2024年8月14日記載)
1. 主治医としての意識を持つ(主治医はがん治療医1人ではない)
2. 患者背景・希望を把握し、その中でがんを位置づける
3. がんの既往歴・治療歴・現状・治療目標を把握する
4. 3つのP(*2)を忘れない
5. スクリーニング目的に腫瘍マーカーやPETを用いない
6. 5大がんのillness trajectoryを知る
7. 抗がん治療の有害事象に気付き、対処出来る
8. オンコロジックエマージェンシー(+腫瘍随伴症候群, irAE(*3))に気付き、対処出来る
9. サバイバーシップに積極的に関わる
10. EOL care(End of Life care)、ACP(Advance Care Planning)に積極的に関わる
*2: 3つのP(Prevent symptoms, Palliate symptoms, Prolong survival)
*3: irAE, immune-related adverse event, 免疫関連有害事象
どの項目も総合診療医にとって重要な要素であり、これを体系的に学び経験することで、オンコジェネラリストになれると考えています。
折下、東京都立病院機構で総合診療医養成プロジェクトが立ち上がり、令和7年度から運用開始となります。同機構に所属する腫瘍・感染症を専門診療している都立駒込病院では、オンコジェネラリストを養成する総合診療医養成プログラムが始まることになりました4。私もそのアドバイザー兼講師としてサポートしています。
オンコジェネラリストを、本学会の皆さんの一つのキャリアパスとして考えていただくとともに、がんを持つすべての人に対し、私たちプライマリ・ケア医は、必要なケアを、最初は有意識でも、いずれは無意識で提供できるレベルにしたいと私は考えています。そのためには、がん患者(Cancer Patient)と考えるのではなく、がんを持つ人(Person with cancer)という考え方を共通認識とするところから始める必要があると考えています。
オンコジェネラリスト(略してオンコジェネ)がクールだと思われる時代はもうそこまで来ています!!
奈良県総合医療センター 総合診療科
総合南東北病院 総合内科
東京総合診療推進プロジェクトアドバイザー 兼 外部講師
東 光久
(2024年8月14日記載)
引用文献・サイト
1. 高田芳枝.マギーズ東京のヒューマンサポート―Cancer Journey とWhere Now ?―癌と化学療法. 2017: 44: 640-643.
2. 勝俣範之、東光久編. ジェネラリストのためのがん診療ポケットブック. 医学書院. 2022年4月25日. https://x.gd/3nkYg
3. 東光久. プライマリケア医のためのがん診療10の掟. 兵庫県保健医協会講演. 2019年10月19日. http://www.hhk.jp/gakujyutsu-kenkyu/ika/191019-100010.php
4. 東京総合診療推進プロジェクト. https://www.tmhp.jp/kikou/recruit/tokyo-generalist-alliance-project.html
2. 勝俣範之、東光久編. ジェネラリストのためのがん診療ポケットブック. 医学書院. 2022年4月25日. https://x.gd/3nkYg
3. 東光久. プライマリケア医のためのがん診療10の掟. 兵庫県保健医協会講演. 2019年10月19日. http://www.hhk.jp/gakujyutsu-kenkyu/ika/191019-100010.php
4. 東京総合診療推進プロジェクト. https://www.tmhp.jp/kikou/recruit/tokyo-generalist-alliance-project.html
最終更新:2024年08月14日 23時28分