ホームニュースCurrent topics - プライマリ・ケア実践誌プライマリ・ケア言始め/Starfieldの4+3 (1992、1998) その1

ニュース

Current topics - プライマリ・ケア実践誌

プライマリ・ケア言始め/Starfieldの4+3 (1992、1998) その1

このコーナーでは、プライマリ・ケアにおける重要な(知ってるとちょっと差がつく)用語、人物、ことば、などを、岡田唯男の独断と偏見で選び、正式な定義に独自の解釈を加えて解説します。ここで取り上げてほしい人物や用語、出来事は、編集部(pc-magazine@primed.co.jp)までお寄せください。また、調査が不十分で、引用や定義が間違っている場合は、優しくご指摘ください。

プライマリ・ケア研究の第一人者であるBarbara Starfield(次回くわしく)は1992年および1998年のその著書のなかで、プライマリ・ケア機能を評価する際に①プライマリ・ケアに特有の特徴、②派生的な特徴、③プライマリ・ケアに特有ではないが必須の特徴の3種類の特徴を考慮する必要があるとしています(表)。
  • https://www.primarycare-japan.com/pics/news/news-1072-1.jpg
注目すべき点をあげておきます。

※②は①と③を高いレベルで達成するとその結果として2の機能が生まれてくるとしています。
※③は領域別専門医療も含め、「すべての」レベルのケアにおいて重要としています。HMD(IOM)によるACCCAのaccountabilityはおそらく③の特徴の多くによって提供される機能と思われます(責任ある医療を行わなければならないのは、プライマリ・ケアだけではありません)。
※前号まででHMD(IOM)のACCCA(1978、1996)、SaultzのACCCC(1999)を紹介し、四つは共通だが、五つ目がはっきりしない(mystery fifth)という話をしましたが、Starfieldは潔くその「ほぼ」共通の四つのみを特有の特徴としています。これに派生的な特徴の三つを加えて、個人的に「Starfieldの4+3」とよんでいます。特有の四つについては Starfield’s 4 Cardinal Cs of Primary CareもしくはStarfieldの4Cとよぶ人がいますが、後述の理由でContinuityの表現を採用すべきではないと考えています。
※HMD(IOM)による新定義(1996)では「家族やコミュニティの状況をふまえて」という言葉が加えられていました。SaultzのACCCCの五つ目のCでもあるcontextual careはここでは他の機能実現から結果的に生まれる特徴とされています。
※accessibilityやaccess to careでなくFirst contact careと書かれていることに注目ください。
※Continuity(of care)はプライマリ・ケアに特有「ではない」が必須の特徴のところにあげられており、必須の特徴にはLongitudinalityという単語をあげています。これはLongitudinality ≠ Continuity(of care)を意味します。くわしい解説は次号でいたします(とくに最後の二つ)。
※1991年の時点でプライマリ・ケアを評価するための特徴として特有の四つの特徴と、派生的な特徴のうち一つ目と三つ目の二つがあげられています。ただしこのときは六つが分けられずに並列であげられています。

プロフィール

岡田 唯男
鉄蕉会 亀田ファミリークリニック館山
日本プライマリ・ケア連合学会 学会のあり方・知的活性化プロジェクトチーム(通称チーム岡田)
引用元)岡田唯男. プライマリ・ケア実践誌. 4号,vol 2,No 2, p.6.

最終更新:2024年12月28日 13時15分

実践誌編集委員会

記事の投稿者

実践誌編集委員会

タイトルとURLをコピーする