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メンタルヘルス委員会活動報告
第6回 公開スーパービジョンを開催しました ― メンタルヘルス委員会Presents
7月20日、メンタルヘルス委員会にて「公開スーパービジョン」を開催しました。
休日にもかかわらず、約50名の方にご参加いただき、誠にありがとうございました。
今回は、亀田ファミリークリニック館山の河邉健人先生より、パニック症を持つ方に関する事例をご提示いただき、その後、参加者を交えたディスカッションを行いました。
休日にもかかわらず、約50名の方にご参加いただき、誠にありがとうございました。
今回は、亀田ファミリークリニック館山の河邉健人先生より、パニック症を持つ方に関する事例をご提示いただき、その後、参加者を交えたディスカッションを行いました。
話題になった主な内容
・パニック症の診断(主に器質疾患・身体症状症・全般性不安症との鑑別)
・SSRIの選択、導入にあたっての説明の工夫
・SSRIの継続期間、中止するにあたっての診療の進め方
・暴露療法の実際、不安階層表の活用
・不安の扱い方
・パニック症はじめ精神疾患を持つ方の目標の考え方
・発達障害を持つ方がいる家族支援(家族ライフサイクルの観点から)
・精神科と家庭医の診療の構造の違い
・発達的特徴のある方のスティグマを助長しないためのカルテ記載
会の進行中には多くのご意見・ご質問をいただき、より充実したディスカッションとなりました。ご参加くださった皆さまに、心より御礼申し上げます。
・SSRIの選択、導入にあたっての説明の工夫
・SSRIの継続期間、中止するにあたっての診療の進め方
・暴露療法の実際、不安階層表の活用
・不安の扱い方
・パニック症はじめ精神疾患を持つ方の目標の考え方
・発達障害を持つ方がいる家族支援(家族ライフサイクルの観点から)
・精神科と家庭医の診療の構造の違い
・発達的特徴のある方のスティグマを助長しないためのカルテ記載
会の進行中には多くのご意見・ご質問をいただき、より充実したディスカッションとなりました。ご参加くださった皆さまに、心より御礼申し上げます。
印象的だった内容
今回のスーパービジョンで印象的だったのは、「精神科と家庭医の診療の構造の違い」についての議論です。
精神科では、同一家族の複数の方がそれぞれ個別の患者として受診されている場合、各患者のプライバシーと情報の独立性を保つため、担当医を分ける配慮が一般的に行われます。「それぞれの語りを独立して守る」「個人の診療情報を適切に管理する」といった原則が背景にあります。
一方、プライマリ・ケアの現場では、同じ担当医が同一家庭内の複数の個別患者に関わることが多く、診療の手がかりにつながるやり取りが得られる反面、「誰の語りを中心に据えるのか」「誰の同意のもとで何を誰にどこまで共有するのか」といった判断が常に求められます。
たとえばもともとみていた患者さんのお子さんも一人の患者となった場合、その子どもが自分で自分の意思を伝えることができるのであれば、いつまでも「患者さんのお子さんも病気を持っている」として捉えるのはもともとの関係性のある患者(養育者)中心の考え方になっていて、子である患者個人のエンパワメントの構造をいつまでも医療者が奪ってしまっている可能性があるということに注意が必要です。
同一家族内で複数の方がそれぞれ患者として受診されている場合では、個々の診療内容が互いに影響し合う可能性を考慮し、必要に応じて担当を分けることで、それぞれが安心して語れる環境を整えることも重要な選択肢です。
あらためて、「誰が、どこまで、どのように関わるか」を意識した個別診療の構造づくりの重要性を実感しました。
精神科では、同一家族の複数の方がそれぞれ個別の患者として受診されている場合、各患者のプライバシーと情報の独立性を保つため、担当医を分ける配慮が一般的に行われます。「それぞれの語りを独立して守る」「個人の診療情報を適切に管理する」といった原則が背景にあります。
一方、プライマリ・ケアの現場では、同じ担当医が同一家庭内の複数の個別患者に関わることが多く、診療の手がかりにつながるやり取りが得られる反面、「誰の語りを中心に据えるのか」「誰の同意のもとで何を誰にどこまで共有するのか」といった判断が常に求められます。
たとえばもともとみていた患者さんのお子さんも一人の患者となった場合、その子どもが自分で自分の意思を伝えることができるのであれば、いつまでも「患者さんのお子さんも病気を持っている」として捉えるのはもともとの関係性のある患者(養育者)中心の考え方になっていて、子である患者個人のエンパワメントの構造をいつまでも医療者が奪ってしまっている可能性があるということに注意が必要です。
同一家族内で複数の方がそれぞれ患者として受診されている場合では、個々の診療内容が互いに影響し合う可能性を考慮し、必要に応じて担当を分けることで、それぞれが安心して語れる環境を整えることも重要な選択肢です。
あらためて、「誰が、どこまで、どのように関わるか」を意識した個別診療の構造づくりの重要性を実感しました。
参加者の声より(一部抜粋)
・「薬を減らす必要がある」と伝えると、「薬=悪いもの」と受け取られてしまう可能性があると気づかされました。伝え方の工夫が必要だと感じました。
・「薬に頼らずに」という表現が、薬をネガティブに捉える印象につながると聞き、印象に残りました。
・医療者が10点満点だと思っていても、患者がそう感じていないことがある。その差を掘り下げることで、次の一手が見えてくるという視点が勉強になりました。
・治療が順調に見えても、患者さんの実感とはずれているかもしれない。「今どのくらい良くなっているか」を患者本人に確認する大切さを学びました。
・薬局薬剤師として、精神科の先生から「余計なことは言わないでほしい」と言われる意味を、今回の学びで実感しました。自分の発言が治療の妨げにならないよう、より学んでいきたいです。
・不安は本来誰にでもある自然な情動であり、なくすのではなく「うまく付き合う」ことが重要だと気づきました。
・「ASD傾向」と安易に表記しないことの大切さを再認識しました。
・診療の中で、患者本人の話から息子への話題に広がった展開が印象的で、より深い学びにつながりました。
・パニック症の診断から薬物治療まで、教科書では学べない“実際のさじ加減"が参考になりました。
・家族歴やメンタル以外の背景も含め、丁寧に診ていく「家庭医としての見方」に触れることができました。
・「薬に頼らずに」という表現が、薬をネガティブに捉える印象につながると聞き、印象に残りました。
・医療者が10点満点だと思っていても、患者がそう感じていないことがある。その差を掘り下げることで、次の一手が見えてくるという視点が勉強になりました。
・治療が順調に見えても、患者さんの実感とはずれているかもしれない。「今どのくらい良くなっているか」を患者本人に確認する大切さを学びました。
・薬局薬剤師として、精神科の先生から「余計なことは言わないでほしい」と言われる意味を、今回の学びで実感しました。自分の発言が治療の妨げにならないよう、より学んでいきたいです。
・不安は本来誰にでもある自然な情動であり、なくすのではなく「うまく付き合う」ことが重要だと気づきました。
・「ASD傾向」と安易に表記しないことの大切さを再認識しました。
・診療の中で、患者本人の話から息子への話題に広がった展開が印象的で、より深い学びにつながりました。
・パニック症の診断から薬物治療まで、教科書では学べない“実際のさじ加減"が参考になりました。
・家族歴やメンタル以外の背景も含め、丁寧に診ていく「家庭医としての見方」に触れることができました。
メンタルヘルス症例の公開スーパービジョンについて
スーパービジョンと事例検討は、同じ意味で使われることもありますが、本来は異なります。
スーパービジョンでは、学習者(スーパーバイジー)の思考や感情、学びのプロセスを理解し、それを深めることが重視されます。
メンタルヘルス領域では、個別性が強く、アプローチが複数あることも多いため、スーパービジョンのスタイルがより適しています。
支援者として、そして一人の人間として成長できる場として、この会がその役割を果たせればと願っています。
スーパービジョンでは、学習者(スーパーバイジー)の思考や感情、学びのプロセスを理解し、それを深めることが重視されます。
メンタルヘルス領域では、個別性が強く、アプローチが複数あることも多いため、スーパービジョンのスタイルがより適しています。
支援者として、そして一人の人間として成長できる場として、この会がその役割を果たせればと願っています。
次回のご案内
次回の公開スーパービジョンは、2025年秋頃の開催を予定しています(詳細は後日ご案内いたします)。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。事例のご提供も随時募集しておりますので、どうぞお気軽にお声掛けください。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。事例のご提供も随時募集しておりますので、どうぞお気軽にお声掛けください。
最終更新:2025年08月04日 13時11分