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【地域で活躍する看護師紹介⑰】隠岐病院 芹田晃道さん編

プライマリ・ケア領域で活躍する看護師を知っていますか?
シリーズでお伝えする【地域で活躍する看護師紹介】。
今回は、隠岐病院の芹田晃道さんの活動を紹介します。

わたしが働いている地域

私が所属している隠岐病院は、島根県と隠岐島4町村で構成される隠岐広域連合立の病院です。

隠岐島は4つの有人島と180あまりの小島から構成される群島です。全島を大別し、3つの有人島からなる島前(どうぜん)と島後(どうご)と分けて呼ばれています。
隠岐病院は、島後の自治体である隠岐の島町に所在します。
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    隠岐の島風景
島後は日本の島嶼の中では13番目の面積であり比較的大きい島です。
島後の隠岐の島町の人口は約13,000人(令和6年5月現在)で、高齢化率は40%超、内閣府主導の人口戦略会議では消滅可能性自治体に分類されるなど社会的課題も多く、医療や福祉の持続性に関しては人手不足もあり、先行きは明るいとは思えない状況です。
島民の人情が厚く、海の物も山の物も美味で、食も文化も非常に豊かな地域です。

島根半島の港からフェリーや超高速船などの海路か、出雲空港か伊丹空港からは空路で来ることができるため、離島ではありますが本土からのアクセスは比較的整っています。
美味しい海産物やジオパークなどに興味がある方は、ぜひ観光にお越しください。

隠岐病院と離島での医療の特徴

隠岐の島町には、国保診療所や開業医の診療所が複数あります。
その中で、隠岐病院は島内で唯一の病院で、入院機能、救急告示病院として基本的に島内全ての救急搬送を受け入れており、隠岐医療圏(二次医療圏)の医療の中核を担いつつ、かかりつけ医としての機能や訪問診療まで幅広く対応しています。
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    総合診療科の同僚たち(と)
私が所属する総合診療科は、常勤と非常勤を合わせて17診療科の医師と医療および事務スタッフとで二次救急医療の機能を担っています。
患者様の重症度や緊急性が高く、隠岐病院では対応が困難な場合もあり、時には、本土の三次医療機関への搬送を迅速におこなう必要があります。
この場合、ドクターヘリや防災ヘリ、天候不順であれば海上保安庁や自衛隊などの他機関に依頼して搬送を実施しなくてはなりません。
それでも天候不順などの状況により、島外への搬送ができないこともあります。

一方で、島内でできる範囲での対応を希望される患者様もおられます。

このように、海で隔たれた離島であることが、島民の医療アクセスや人生の最終段階の医療に大きな影響を与えていることを実感します。

准看護師からナースプラクティショナー(NP)へ、そして、急性期からプライマリ・ケアへ

私は、准看護師から看護師となって、集中治療室などで看護師として働いてきました。
そして、生命維持管理装置装着中の患者様のケアに関心が強かったことから、臨床工学技士を取得した後、さらに専門性を高めるべく、大学院修士課程で急性期看護学について学びました。

その後は、集中治療室で働いたり、看護系大学で急性期看護学の教育に従事しましたが、当時、わが国で教育が開始されたばかりのNP養成教育を受けるため、再度大学院へ入学しました。
NP教育を受けようと思ったのは、もう少し自律的に看護をしたいと考えたことと、今後の看護教育への貢献のために自らをブラッシュアップしたいという思いがありました。
2年間の教育を受けた後、2012年度に実施された日本NP養成大学院協議会認定クリティカル領域の診療看護師(NP)認定試験に合格して、NPとしての活動を開始しました。

その後、5年間ほど胸部外科や集中治療室などで働き、充実した活動をしていました。
しかし、いくつかの印象的な患者様との出会いや、緩やかではあるが増えつつあるNPがプライマリ・ケア領域で活躍している話を当時はあまり聞かなかったこと、NP教育を受けた際にいつか離島で仕事をしたいと思っていたことから、一念発起してプライマリケアに転向し、山間へき地での活動を経て、現任地である隠岐病院に赴任しました。

わたしの現在の仕事

現在、私は、看護部ではなく、診療部に所属し、総合診療科NPとして活動をしています。
当院の総合診療科は、外来、救急、上部/下部に加え胆膵内視鏡、国保診療所への派遣、へき地診療所の代診、入院患者診療、書類作成、各種委員会・・・など、非常に多様な業務に忙殺され、医師の負担が重い状況でした。
このような状況を改善するため、総合診療科スタッフ医師のサポートと看護師からのコンサルテーションへの対応を主軸に業務の調整をしました。
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    地域での人生会議(ACP)啓蒙活動の様子
赴任より5年経過した現在は、訪問診療、医師と連携して実施する二次検診外来、患者搬送同行、病棟患者管理の諸般のサポートが私の仕事の中心です。
その他には、患者急変対応システム(Rapid Response System;RRS)の対応や、ミッドラインカテーテルやPICC留置、CVポート留置の支援などの対応なども比較的需要のある業務です。

また、今年度からは、臨床倫理コンサルテーションチームのアドバイザーとして活動しています。
急性期病院で得たスキルを活用し、多様な形で診療をサポートして、医療スタッフや患者を支援することを目標に活動しています。

訪問診療でのNPの役割

私が赴任した時には、医師のマンパワーの問題で、訪問診療が実施できない状況でした。
しかし、地域からの訪問診療の要望は強く、院内で協議した結果、NPが訪問診療患者様のすべてを受け持ち、主治医とともに対応しながら、医師に過度な負担をかけない形での訪問診療体制を開始することとなりました。
訪問診療を希望するすべての患者様に対応できるだけの医師の人員があるわけではないため、訪問診療の対象となる患者様は在宅での看取りを希望される患者様を中心に、医療依存度の高い難病の方、通院困難な慢性臓器不全などの患者様を優先しています。

すべての患者様は、基本的には主治医とNPのツーマンセル(2人1組)で対応し、基本的にすべての訪問診療の導入にはNPが関与します。
夜間・休日などは当番医が対応する体制を構築し、日常より総合診療科内で訪問診療患者の状況について共有して、安心・安全な訪問診療体制の構築に向けて日々努力しています。
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    訪問診療でポータブルエコー実施中
一般的な訪問診療の役割でいえば、私はドライバーと看護師の役割に加え、主治医とともに診療を担当する役割をしていると言えるかもしれません。
他にも患者様やご家族との連絡調整、訪問看護師からの電話相談や報告、臨時の訪問、各医師の訪問計画の調整、各種書類の対応など多様な活動をしながら、患者様が安心してご自宅で療養できるように努めています。

今後の目標

目標はいろいろありますが、島のためにしたいことをいくつか紹介します。

一つは、地域の医療アクセスの改善のために貢献したいと思っています。
NPとはいえ、わが国では、国家資格上は看護師です。
遠隔診療で医師と連携しながら、国保やへき地診療所などで、地域住民の健康管理に貢献したいと考えています。
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    グリーフ訪問
需要はありそうですが、診療所と病院が同じ設置母体ではないことにより、私自身が診療所で活動することができないなどの身分上の理由や、設備投資に係る経費などが別途必要であるため、実施には時間を要すると感じています。

もう一つは、島外から「離島でNPとして働いてみたい!」という方を呼び込むだけでなく、現在島で働いている看護師から、NPや特定行為研修を修めた看護師などを育成できないかと考えています。
私自身、島外からのIターンで、何かの理由で島を離れなければならないことが起きないとは言えませんし、年齢も50を過ぎました。
島で生まれ育って、島を愛していて、島の文化が魂のレベルですり込まれている看護師からNPが誕生し、NPとしての役割を引き継いぎたいと考えています。
そして、そのNPがさらにその役割を発展させてもらえたら最高であり、NPになった甲斐があると思えるのではないかと思っています。

さらに、同じ病院で働いている看護師にも、これから看護師になろうと考えている中高生にも、今後NPになりたいと思ってもらえるように、役割モデルを示し続けていきたいと考えています。
島の医療を支えたいと思ってもらえるような活動をして、この目標を成し遂げられたらと考えています。

編集後記

今回は、診療看護師の資格をお持ちの芹田さんに、プライマリ・ケア領域で働く看護の魅力を教えていただきました。

「ナースのお仕事」では、素敵な看護師の活動を引き続き紹介していきたいと思います。

あなたもぜひプライマリ・ケア領域の看護師の仲間になりませんか?
お待ちしています!

最終更新:2026年02月02日 00時59分

看護師部会 広報活動部門

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看護師部会 広報活動部門

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