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メンタルヘルス委員会活動報告

【プライマリ・ケアに活かすメンタルヘルスReport ! 】

【リポート後編】「共感」をどう教えるか —言語化とチームでの教育

はじめに

メンタルヘルス領域の教育では、コミュニケーションや対人援助のスキルが重要になりますが、その多くは言葉にしにくく、「背中を見て学ぶ」形になりがちです。

聖路加国際病院心療内科では、そうした暗黙知をできるだけ言語化し、共有する取り組みが行われています。

リポート前編(https://www.primarycare-japan.com/news-detail.php?nid=1805)では、聖路加国際病院心療内科の教育実践に関してリポートしました。後編では、教育システムの構築と技術の言語化に焦点を当てたリポートをお送りします。
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1.到達目標を共有する:チェックシートによる「見える化」

前編でも述べましたが、聖路加国際病院心療内科では1か月単位での研修を受け入れており、心療内科専攻医以外にも、循環器内科、救急科、総合診療科などさまざまな科の専攻医が研修します。そのため、それぞれの医師のニーズに合わせた「研修目標チェックシート」や「自己評価シート」を用いて到達目標を整理しています。

内容は、医師患者関係の捉え方、問診やアセスメント、治療や専門医紹介の判断などに分かれており、段階的に評価されます。単に「できたか、できなかったか」ではなく、「知っているけれど実践できない(レベル2)」から「意識しなくてもできる(レベル4)」まで、4段階で評価することで、指導医と専攻医の間で「今どこにいるのか」「次に何を意識するか」を共有しやすくなります。
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2.「共感」を技術(スキル)として教える

心療内科管理医長の山田宇以先生が強調するのは、「共感」や「コミュニケーション」を「背中を見て学んでもらう」のではなく、学習可能な「技術(スキル)」として指導することです。例えば、診察中に患者が沈黙した際、それをどう解釈し、どう待つか。あるいは、患者が過去の関係性から持ち込む多様な感情パターンを治療者に向ける現象(転移)と、それに対して治療者側に生じる感情(逆転移)を診療の手掛かりとして変換するか。これらは心身医学の重要な要素ですが、日常診療の中で意識されることは稀です。

同科の指導では、診察の合間に行われる「ミニレクチャー」や診察直後のフィードバックを通じ、指導医が自身の思考プロセスを徹底的に言語化します。「今の場面で私がこう言ったのは、患者さんのこの表情から不安を察知したからだ」という具体的な解説を、診察後の振り返りで確認します。どのような関わりが患者さんの反応につながったのかを言葉にすることで、再現しやすくなります。

3.多職種での関わりも教育資源とする

聖路加国際病院心療内科では、医師だけでなく心理職や看護師も診療に関わる他職種連携を大切にしています。初診では、身体合併症の評価とともに、心理職や看護師によるアセスメントも行い、それぞれの視点から評価を行います。心理職による検査結果のフィードバックや、看護師による患者支援の様子を間近で見学することは、専攻医にとって「多職種がそれぞれの専門性をどう発揮しているか」を学ぶ機会となります。また、特徴的な取り組みとして、ローテーション中にTEG(Tokyo University Ecogram: 東大式エゴグラム)といった心理検査の体験もプログラムに入れており、心理検査の特徴や患者さんの追体験もすることができます。 結果として、一人で抱え込まずに対応する視点が身についていきます。

4.指導医自身のアップデート:教えることで学ぶ

聖路加国際病院心療内科では、学内の研修医・専攻医だけでなく、外部からの見学や短期研修も受け入れています。限られた時間の中で教育効果を上げるためには、受け入れ側の体制整備が不可欠です。

山田先生は、教える側も「自分がわかっていないものは教えられない」という緊張感を持ち、常に自身の診療をブラッシュアップし続ける必要があると述べています。外部の視点が入ることで、自診療科の当たり前を問い直し、オープンな組織文化を維持することにもつながっているようです。教育内容をオンデマンド教材化したり、病院内外の研修医・専攻医からのフィードバックを得ることで、自施設での教育をアップデートし続けています。
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5.これから研修体制を整えたい指導医へのアドバイス

研修体制を整えるうえで、まずは以下の3点をおさえると良いかもしれません。

診察前の「作戦会議」: 診察前に5分でも指導の時間を取り、「この患者さんでは何を診るか」を一言すり合わせておくだけで、専攻医にとって診察そのものが学びの場に変わります。
「うまくいった理由」の検証: 振り返りは、うまくいかなかった症例に偏りがちです。しかし「なぜこの診察はうまくいったのか」を一緒に言葉にすることで、成功のほうにも再現性が生まれます。
教育を「開いておく」: プライバシーに配慮しながらも、診察の陪席を特別なことではなく「当たり前」の文化にしていく。フィードバックが自然に飛び交う、心理的安全性の高い環境づくりが土台になります。

おわりに

心療内科の教育では、知識とあわせて、患者さんとの関わり方をどのように身につけていくかが重要になります。聖路加国際病院心療内科の研修プログラムから学べるのは、メンタルヘルス教育を「特別なもの」とせず、他の臨床スキルと同様に、目標設定、観察、実践、フィードバックのサイクルに落とし込むことの重要性です。「指導医の技を盗む」という段階から一歩進み、なぜその一言が患者に響いたのか、なぜその処方を選択したのかを論理的に説明できる環境を作ること。聖路加国際病院心療内科で行われているような言語化の取り組みは、他の現場でも応用できる点が多いと考えられます。また、聖路加国際病院心療内科では外部からの研修も受け入れておられるので、ぜひ関心ある方はお問い合わせください。
研修責任者から皆様へ一言
心療内科の研修を受けられる施設は決して多くありません。しかし、日常のプライマリ・ケアで出会う患者層との親和性は極めて高く、身体症状に隠れた心理社会的因子を解き明かすアプローチは、実学的で強力な武器になります。 実際に心療内科で研修された医師からは、「臨床の視野が広がり、これまでアプローチに苦慮していた患者さんへの関わり方(コミュニケーション)が変わった」などの声もいただきます。心療内科学会等でもプライマリ・ケアの先生方が学べる機会を提供していますので、関心のある方はぜひ最初の一歩としてご参加ください。 

※本記事は、インタビュー内容の再構成の補助として生成AIを利用して作成し、掲載内容は委員会メンバーにて確認・編集を行っています。
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最終更新:2026年08月07日 15時02分

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