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メンタルヘルス委員会活動報告
心療内科との合同企画!第9回 公開スーパービジョンを開催しました
9月8日、メンタルヘルス委員会にて公開スーパービジョンをオンラインで開催しました。
平日の夜にもかかわらず、約50名の方にご参加いただき、誠にありがとうございました。
今回はみんなの内科外科クリニックの中村真希先生より、「不安が疼痛の増悪と鎮痛薬の頻回使用に関与したと考えられた症例」をテーマとした事例をご提示いただきました。
また、日本心療内科学会に所属する心療内科専門医の先生方にもご参加いただき、心身医学の視点も交えながら、参加者の皆さまとディスカッションを行いました。
西山順滋先生、大武陽一先生、波夛伴和先生、松田能宣先生、山田宇以先生には、多くの貴重なコメントをいただきました。改めて御礼申し上げます。
平日の夜にもかかわらず、約50名の方にご参加いただき、誠にありがとうございました。
今回はみんなの内科外科クリニックの中村真希先生より、「不安が疼痛の増悪と鎮痛薬の頻回使用に関与したと考えられた症例」をテーマとした事例をご提示いただきました。
また、日本心療内科学会に所属する心療内科専門医の先生方にもご参加いただき、心身医学の視点も交えながら、参加者の皆さまとディスカッションを行いました。
西山順滋先生、大武陽一先生、波夛伴和先生、松田能宣先生、山田宇以先生には、多くの貴重なコメントをいただきました。改めて御礼申し上げます。
今回のディスカッションで話題になったこと
ディスカッション① 身体症状にどう関わるか
最初のテーマは、身体的な要因だけでは十分に説明しにくい症状に対して、限られた診療時間の中でどのように関わるかでした。
まず話題になったのが、「痛みに注目しすぎない」ことです。医療者が診察するたびに痛みについて詳しく尋ねることで、患者さん自身も「痛みを観察しておかなければ」と意識するようになり、かえって痛みへの注意が強まる可能性があります。そのため、痛みがあっても、あえて日常生活や最近できたことなど、別の話題から診療を始めるという方法が提案されました。
一方で、症状を軽視するのではなく、身体診察を行い、「きちんと診てもらえている」という安心感をつくることも重要です。そのうえで、身体診察から得られた所見も活用しながら、不安や緊張によって痛みの感じ方が強くなっている可能性を伝えていく方法が紹介されました。
また、心身相関への気づきを必ずしも患者さん自身に求めなくてもよいのではないかという意見も出ました。不安やストレスと身体症状のつながりを理解し、それに対処できる方には心身相関の共有が役立ちます。一方で、ストレスを変えることや、それを言語化して対処することが難しい場合もあります。そのような場合には、「不安に効くからリラクセーションをしましょう」と説明するのではなく、「身体に力が入っていますね。少しほぐしてみましょうか」と身体から介入するなど、本人が受け入れやすい形で対処法を提案する方法が紹介されました。
さらに、疼痛日誌などの記録についても、心身の関連への気づきにつながる一方、患者さんによっては痛みへの注意を強める可能性があります。何のために記録するのか、その方にとって本当に有益なのかを考えながら使う必要があるという議論になりました。
まず話題になったのが、「痛みに注目しすぎない」ことです。医療者が診察するたびに痛みについて詳しく尋ねることで、患者さん自身も「痛みを観察しておかなければ」と意識するようになり、かえって痛みへの注意が強まる可能性があります。そのため、痛みがあっても、あえて日常生活や最近できたことなど、別の話題から診療を始めるという方法が提案されました。
一方で、症状を軽視するのではなく、身体診察を行い、「きちんと診てもらえている」という安心感をつくることも重要です。そのうえで、身体診察から得られた所見も活用しながら、不安や緊張によって痛みの感じ方が強くなっている可能性を伝えていく方法が紹介されました。
また、心身相関への気づきを必ずしも患者さん自身に求めなくてもよいのではないかという意見も出ました。不安やストレスと身体症状のつながりを理解し、それに対処できる方には心身相関の共有が役立ちます。一方で、ストレスを変えることや、それを言語化して対処することが難しい場合もあります。そのような場合には、「不安に効くからリラクセーションをしましょう」と説明するのではなく、「身体に力が入っていますね。少しほぐしてみましょうか」と身体から介入するなど、本人が受け入れやすい形で対処法を提案する方法が紹介されました。
さらに、疼痛日誌などの記録についても、心身の関連への気づきにつながる一方、患者さんによっては痛みへの注意を強める可能性があります。何のために記録するのか、その方にとって本当に有益なのかを考えながら使う必要があるという議論になりました。
ディスカッション② 「自立」を目標にしすぎない
二つ目のテーマは、支援が停滞している状況の中で、本人の自己効力感をどのように支えていくかでした。
ここでは、そもそも「自立すること」を一律に目標にしてよいのかという問いが出されました。患者さんを自立させようとすることが、かえって「もう助けてもらえない」と感じさせてしまう可能性もあります。そのため、「支援を減らす」のではなく、「支援の使い方を変える」と捉えることが提案されました。たとえば、レスキューをただ減らすのではなく、「レスキューを使う前に5分だけ別の方法を試してみる」といった小さな変化を一緒に考えるという方法です。
また、現在「できないこと」だけではなく、これまでその人がやってきたことに目を向けることも重要ではないかという意見が出ました。今回の患者さんが一人で子育てをしてきた経験など、ライフレビューを通して過去に困難を乗り越えてきた経験や役割を振り返り、そこにある本人の力やリソースを見つけていくことも、自己効力感を支える方法になり得ます。
参加者からも、「痛みがない時間」「痛みがあってもできていること」「日々の良かったこと」「過去の趣味ややってみたいこと」などに目を向け、問題を減らすことだけでなく、本人の健康的な部分や強みを見つけ、それを広げていくという視点が共有されました。
ここでは、そもそも「自立すること」を一律に目標にしてよいのかという問いが出されました。患者さんを自立させようとすることが、かえって「もう助けてもらえない」と感じさせてしまう可能性もあります。そのため、「支援を減らす」のではなく、「支援の使い方を変える」と捉えることが提案されました。たとえば、レスキューをただ減らすのではなく、「レスキューを使う前に5分だけ別の方法を試してみる」といった小さな変化を一緒に考えるという方法です。
また、現在「できないこと」だけではなく、これまでその人がやってきたことに目を向けることも重要ではないかという意見が出ました。今回の患者さんが一人で子育てをしてきた経験など、ライフレビューを通して過去に困難を乗り越えてきた経験や役割を振り返り、そこにある本人の力やリソースを見つけていくことも、自己効力感を支える方法になり得ます。
参加者からも、「痛みがない時間」「痛みがあってもできていること」「日々の良かったこと」「過去の趣味ややってみたいこと」などに目を向け、問題を減らすことだけでなく、本人の健康的な部分や強みを見つけ、それを広げていくという視点が共有されました。
ディスカッション③ 「依存」をどう捉えるか
三つ目のテーマは、特定の支援者との関係が強くなり、医療者側にも「なんとかしてあげたい」という思いや、反対に苛立ちや無力感が生じている状況をどう考えるかでした。
議論の中では、依存そのものをすべて悪いものとして捉える必要はないという意見が出ました。
完全な自立を目指すよりも、「上手に頼る」「相談の仕方を変える」といった、より成熟した頼り方を一緒に探していく。その意味では、特定の支援者との関係をただ切るのではなく、頼れる相手や頼り方の選択肢を少しずつ増やしていくことも、自立支援の一つと考えられます。
また、患者さんが強い不安や過呼吸を示したときに、一緒に慌ててしまう看護師との関係についても検討されました。
興味深かったのは、その看護師が患者さんにとって、単に「依存する相手」なのではなく、自分ではうまく言葉にできない感情を一緒に感じ、表現してくれる存在になっていた可能性です。
「どんな気持ちですか」と尋ねても言葉にならない場合には、治療者自身に生じる身体感覚や感情にも目を向け、「私はこんな感じがするけれど、どうですか」と少し代弁してみる。そうすることで、身体症状として表現されていたものが、少しずつ言葉になっていく方法も示されました。
一方、スタッフ側については、「ここまでは対応できる」という範囲を多職種で話し合い、できるだけ対応をそろえることも重要です。
また、患者さんに対して苛立ちや無力感などの陰性感情を抱くこと自体を問題視するのではなく、それをチームで言語化し共有することが、スタッフケアや治療関係を考える手がかりになるという意見も出ました。
議論の中では、依存そのものをすべて悪いものとして捉える必要はないという意見が出ました。
完全な自立を目指すよりも、「上手に頼る」「相談の仕方を変える」といった、より成熟した頼り方を一緒に探していく。その意味では、特定の支援者との関係をただ切るのではなく、頼れる相手や頼り方の選択肢を少しずつ増やしていくことも、自立支援の一つと考えられます。
また、患者さんが強い不安や過呼吸を示したときに、一緒に慌ててしまう看護師との関係についても検討されました。
興味深かったのは、その看護師が患者さんにとって、単に「依存する相手」なのではなく、自分ではうまく言葉にできない感情を一緒に感じ、表現してくれる存在になっていた可能性です。
「どんな気持ちですか」と尋ねても言葉にならない場合には、治療者自身に生じる身体感覚や感情にも目を向け、「私はこんな感じがするけれど、どうですか」と少し代弁してみる。そうすることで、身体症状として表現されていたものが、少しずつ言葉になっていく方法も示されました。
一方、スタッフ側については、「ここまでは対応できる」という範囲を多職種で話し合い、できるだけ対応をそろえることも重要です。
また、患者さんに対して苛立ちや無力感などの陰性感情を抱くこと自体を問題視するのではなく、それをチームで言語化し共有することが、スタッフケアや治療関係を考える手がかりになるという意見も出ました。
心療内科医からのレクチャー
ディスカッション後には、聖路加国際病院心療内科の山田宇以先生から、今回の事例をもとに、心身医学的な見立てと介入についてレクチャーいただきました。
身体症状を「身体か心理か」と二分するのではなく、生物・心理・社会それぞれの要因と、その相互作用をみることが重要であることが解説されました。
今回の事例でも、
「痛み → 不安・緊張 → 痛みへの注意 → 活動性低下 → 孤立 → さらに不安や痛みが強まる」
といった悪循環を仮説として考えることができます。こうした病態仮説を医療者側で持ちながら、患者さんが受け入れられる範囲で少しずつ共有していくことが、心身医学的なアプローチの一つになります。
具体的な関わりとしては、患者さんのできていることやこれまでの努力を認める「コンプリメント」、物事の意味づけを変える「リフレーミング」、同じような経験をする人は少なくないと伝える「一般化」などが紹介されました。さらに、ストレッチ、筋弛緩法、呼吸法など、薬以外に患者さん自身ができる対処法を増やしていくことも紹介されました。
今回の事例を「依存的な患者さん」とだけ捉えるのではなく、これまで自分で問題を解決してきた人が、病気を契機にそれまでの対処法や家族内での役割を失い、孤立や無力感の中で身体症状を通して「助けて」と伝えているのかもしれない――。
そのように患者さんの見方を変えることで、医療者側の関わり方も変わり得ることが示されました。
身体症状を「身体か心理か」と二分するのではなく、生物・心理・社会それぞれの要因と、その相互作用をみることが重要であることが解説されました。
今回の事例でも、
「痛み → 不安・緊張 → 痛みへの注意 → 活動性低下 → 孤立 → さらに不安や痛みが強まる」
といった悪循環を仮説として考えることができます。こうした病態仮説を医療者側で持ちながら、患者さんが受け入れられる範囲で少しずつ共有していくことが、心身医学的なアプローチの一つになります。
具体的な関わりとしては、患者さんのできていることやこれまでの努力を認める「コンプリメント」、物事の意味づけを変える「リフレーミング」、同じような経験をする人は少なくないと伝える「一般化」などが紹介されました。さらに、ストレッチ、筋弛緩法、呼吸法など、薬以外に患者さん自身ができる対処法を増やしていくことも紹介されました。
今回の事例を「依存的な患者さん」とだけ捉えるのではなく、これまで自分で問題を解決してきた人が、病気を契機にそれまでの対処法や家族内での役割を失い、孤立や無力感の中で身体症状を通して「助けて」と伝えているのかもしれない――。
そのように患者さんの見方を変えることで、医療者側の関わり方も変わり得ることが示されました。
参加者の声より
参加者の皆さまからも、多くのご感想をいただきました。その一部をご紹介します。
「これまで痛みにばかり焦点をあてがちだったが、他に焦点をあてるように話をすることを意識した方がよいことを学びました。」
「自分で対応できない人というイメージで症例を聞いていましたが、『ご自分で対応してきた人』という見方ができました。」
「壁にぶつかっているように感じた時も、目の前の人がこれまで経験してきたことや歴史に関心をもって聞くことで、『問題』と見えていた状況の見え方が変わり、相手を認め、関係性を作ることにつながると学びました。」
「BPSモデルや心身相関においてもシステムで考えること、注意固着のメカニズム、ライフレビューから強みを見つけることなど、多くの学びがありました。」
「リフレーミングや一般化など、実際の診療でも実践してみたいと思いました。」
「スタッフへの依存は必ずしも悪いことではなく、むしろ患者さんにとっては一つのよりどころになっているのかもしれない、という視点が印象に残りました。」
「これまで痛みにばかり焦点をあてがちだったが、他に焦点をあてるように話をすることを意識した方がよいことを学びました。」
「自分で対応できない人というイメージで症例を聞いていましたが、『ご自分で対応してきた人』という見方ができました。」
「壁にぶつかっているように感じた時も、目の前の人がこれまで経験してきたことや歴史に関心をもって聞くことで、『問題』と見えていた状況の見え方が変わり、相手を認め、関係性を作ることにつながると学びました。」
「BPSモデルや心身相関においてもシステムで考えること、注意固着のメカニズム、ライフレビューから強みを見つけることなど、多くの学びがありました。」
「リフレーミングや一般化など、実際の診療でも実践してみたいと思いました。」
「スタッフへの依存は必ずしも悪いことではなく、むしろ患者さんにとっては一つのよりどころになっているのかもしれない、という視点が印象に残りました。」
メンタルヘルス症例の公開スーパービジョンについて
スーパービジョンでは、症例そのものだけでなく、学習者(スーパーバイジー)の思考や感情、学びのプロセスを理解し、それを深めることが重視されます。
メンタルヘルス領域では個別性が高く、一つの「正解」があるとは限りません。そのため、多様な視点から事例を捉え、支援者自身の理解を深めていくスーパービジョンの形式が適していると考えています。
今回も、参加者それぞれの経験や専門性から多様な視点が共有され、一つの症例を多角的に考える貴重な機会となりました。対話を通じて学び続けることの大切さを、改めて実感する会となりました。
メンタルヘルス領域では個別性が高く、一つの「正解」があるとは限りません。そのため、多様な視点から事例を捉え、支援者自身の理解を深めていくスーパービジョンの形式が適していると考えています。
今回も、参加者それぞれの経験や専門性から多様な視点が共有され、一つの症例を多角的に考える貴重な機会となりました。対話を通じて学び続けることの大切さを、改めて実感する会となりました。
次回のご案内
次回の公開スーパービジョンは、2027年冬頃の開催を予定しています(詳細は後日ご案内いたします)。
また、ディスカッションした内容は実践誌『プライマリ・ケア』にて、『スーパービジョンから学ぶメンタルヘルスケア』として連載しております。ご関心のある方は、ぜひご覧ください。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
事例のご提供も随時募集しておりますので、どうぞお気軽にお声掛けください。
また、ディスカッションした内容は実践誌『プライマリ・ケア』にて、『スーパービジョンから学ぶメンタルヘルスケア』として連載しております。ご関心のある方は、ぜひご覧ください。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
事例のご提供も随時募集しておりますので、どうぞお気軽にお声掛けください。
最終更新:2026年09月15日 13時15分









