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看護師対象 研修会・セミナー

【開催報告】看護学ワークショップ <2023年度選択領域編>臨床倫理~倫理的問題への関わり~

2024年3月24日(日)に、 プライマリ・ケア看護学 選択領域編 のワークショップをオンラインで開催しました。
テーマは「臨床倫理~倫理的問題への関わり~」についてで、講義と事例展開(演習)を行いました。
全国の病院、診療所、訪問看護ステーションなどから看護職30名が参加しました。

臨床倫理とは?

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はじめに、函館稜北病院の川口篤也医師より、「臨床倫理とは」と題した概論の講義をしていただきました。

臨床倫理は特別なものではなく日常臨床でモヤモヤする場面で倫理的な問題を抱えていることが多いこと、倫理とは「選択であり、患者の最大限の幸福を考え行動することである」と教えていただきました。
そして、臨床倫理の定義をおさえてから、臨床倫理検討法として「Jonsenの臨床倫理の4分割表・臨床倫理検討シート」を用いた事例検討の進め方を学びました。

事例を用いてご説明いただいたので、とても理解しやすかったです。

臨床倫理コンサルテーションの実際

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次に、調布東山病院の中村ゆかり医師より、「臨床倫理コンサルテーションの実際」について紹介がありました。

まず、調布東山病院の院内の取り組みとして、外来看護部の在宅療養支援の中で、倫理的に支援の方向性を話し合うプロセスを取り入れたことを教えていただきました。

その後、調布市のりんりんの会という地域の多職種で行っている臨床倫理事例検討会の活動内容について、会の立ち上げからカンファレンスの開催方法、どのような事例を検討してこられたかのお話しがありました。
この会では、所属先が病院か地域かに関わらず、医療職、介護職、福祉職、行政と多職種が一堂に介して、コンサルティ(相談する側)とコンサルタント(相談に応じる側)が対等に、互いに欠けている点を補って問題の明確化と問題解決に向かう話し合いを行っていることが印象的でした。
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受講生からは、
「中村先生の取り組みがとても参考になった」
「自施設でもやってみたいと思った」
「業務に追われるだけでなく、患者さんのことを考える時間を確保し、モヤモヤをそのままにしないで取り組んでいきたい」
といった感想が寄せられました。

事例検討(グループワーク)

グループワークでは、熊本大学大学院の橋野明香氏(慢性疾患看護専門看護師)から事例提供があり、終末期の特発性間質性肺炎患者さんへの支援について、臨床倫理の4分割を用いて倫理的問題の整理をし、最善の医療やケアについて話し合いました。
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倫理委員会との協働

看護学ワークショップでの臨床倫理の講義・演習は、学会の倫理委員会の方々と企画・運営をし、今回で3回目となりました。

受講者への事前アンケートからは、日常診療・看護の場面で、倫理的ジレンマを感じてモヤモヤしている方が多いことがわかりました。また、受講動機には、「地域活動の中で困っている」や「自分達の対応が良かったのか振り返りたい」などがあげられていました。

事後アンケートでは、「引き続き臨床倫理について学びを深めたい」という意見がありました。
また、本研修に参加後に、受講生から臨床倫理カンファレンスを実施したと以下の報告もいただきました。
「次に状態が悪くなった時に病院に搬送するのか、自宅でこのまま過ごされるかについて、答えを出すことではなく、ご本人の気持ちも『揺れている』ことを、本人と関係者皆で共有しました。そして、ケアマネジャーを中心に『本人の希望に沿った生活をサポートする』というチームの姿勢を再確認しました。臨床倫理の知識のおかげでご本人の思いを皆で受け止めるサポートができたように思います。今後も臨床倫理を学びたいです。」

臨床倫理に興味を持っている看護師が増えていることから、今後も学びの場を設けて、モヤモヤする事例を皆さんと一緒に検討していきたいと思います。
皆様のご参加をお待ちしています!

最終更新:2024年09月05日 15時58分

看護師部会 広報活動支援部門

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