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学会認定プライマリ・ケア看護師の会

【開催報告】第8回雑談会

日本プライマリ・ケア連合学会認定プライマリ・ケア 看護師支援部門では、偶数月に「雑談会」を開催し、様々な現場で活動している仲間と交流を図っています。

2025年9月27日は、「そこそこのACPを語ろう」がテーマでした。
参加者は、診療所、在宅、病院など多様な現場で働く看護師7人でした。

ACP(アドバンス・ケア・プランニング/人生会議)とは

ACP(アドバンス・ケア・プランニング/人生会議)とは、将来の医療やケアについて、本人が望む生き方や治療のあり方などを、本人・家族・医療・ケアチームが繰り返し話し合い、共有するプロセスです(厚生労働省より)。

今回は普段の暮らしに根ざしたACPのあり方を考えるため、「ACPを実際の現場でどのように進めているのか」という実践的な疑問に答える形で、それぞれの工夫や課題を話し合いました。

プライマリ・ケアの強み

特にクリニックや診療所といった地域医療の現場では、ACPは「特別な面談」ではなく、日頃から患者さんと築いている信頼関係の延長で、「日常の会話」から、ごく自然に始まるものと認識されていました。
面談といった形式にとらわれず、日々の診療や何気ない会話の中で、患者さんの意向を継続的にお聴きすることができます。
その方の価値観や大切にしていることについて対話を積み重ねることができるのは、プライマリ・ケアの大きな強みといえるでしょう。

これは、プライマリ・ケアが持つ「継続性(長く関わり続けること)」や「近接性(身近な存在であること)」といった重要な要素と深く結びついていると思います。

ACPの課題

チーム内でACPの捉え方が異なる

実践上の課題として、医療・ケアのスタッフ間でのACPの捉え方に違いがあることを話し合いました。
ACPには大きく2つの意味があります。

● 狭義「ACP=延命治療の意思確認」と命に関わる治療選択に限定する考え方
● 広義「ACP=その方の生き方や生活背景を理解する対話のプロセス」と広く捉える考え方

チーム内でACPの考え方が異なると、それが障壁となり、連携が図りにくくなる可能性があります。
患者さんのACPをチーム全体で支えるためにも、チームメンバー全員が同じ認識を持ち、知識やスキルを継続的に学ぶことの重要性を再確認しました。

実践場所でACPの重みが異なる

病院では、ACPが命に関わる緊急性の高い治療選択の場面で「重いテーマ」として扱われることが多々あります。
それに対し、診療所や在宅では、より日常的で自然な会話の中で扱われるという、実践場所の違いがあるのではないかと話し合いました。

再確認した3つの視点

ACPは「結論を出す場」ではない

ACPは「最終的な決定をすること」をゴールとするのではなく、患者さんが自分のことを考え続けられる環境を支える営みであり、対話そのものがプロセスとなること。

何度でも考え直すことができのがプライマリ・ケアの強みである

ACPは一度きりの話し合いではなく、時間の経過や状況の変化に応じて、何度でも立ち止まって考え直すことができること。
そして、ACPを支えられるのが継続的な関わりを持つプライマリ・ケアの最大の強みであること。

専門職との連携・協働が求められる

医師、看護師、介護職、医療ソーシャルワーカー(MSW)など、それぞれの専門職が患者さん中心に関わり、それぞれが得た大切な情報をチーム内で共有することが求められること。

終わりに

今回の雑談会を通して、患者さんやご家族それぞれの"人生会議"が日常の中で作られるよう、これからもプライマリ・ケアを模索しながら実践していきたいと決意を新たにしました。
 
次回の雑談会は11月に予定しています。
みなさまのご参加をお持ちしています。
 

看護師部会
認定者の会支援部門
濱野リカ
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最終更新:2025年10月24日 15時31分

看護師部会 広報活動部門

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